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セクタ解析の結果

ドキュメント内 監視データを用いた航空交通の分析 (ページ 71-78)

4.4 解析結果

4.4.1 セクタ解析の結果

4.3.5 高度変更ワークロード

高度変更ワークロードは,高度変更を行なう際にかかるワークロードであり,式(4.7) によって与えられる.

AC AC(t) C

W  (4.7)

ここで,WACは高度変更ワークロード,CACはある時刻においてセクタ内に在空する 航空機のうちセクタ内で高度変更を行なった航空機の機数を表す.

高度変更ワークロードは,高度変更を行なうために航空管制官の承認が必要であるこ とから導入したものである.

図 4.1 福岡FIR内の4つのACC

図 4.2 東京ACC周辺

date

5 10 15 20 25 30 35 40 45

total number of aircraft [/day]

104

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

T 01 T 02 T 03 T 04 T 05 T 06 T 07 T 09 T 10 T 11 T 12 T 13 T 14 T 15 T 17 T 21 T 22 T 23 T 24 T 26 T 27 T 28

図 4.3 各セクタにおける1日の合計機数ワークロード(42日分)

表 4.1 機数ワークロードの上位5つのセクタ 順位

(密度)

セクタ名 平均値 標準偏差 1 (4) Kanto West 13.2 5.1 2 (7) Kanto South A 8.4 3.0

3 (3) Mikawa 8.0 3.5

4 (10) Kanto North 7.8 3.5

5 (2) Tokai 7.3 3.5

表 4.2 密度ワークロードの上位5つのセクタ 順位

(機数)

セクタ名 平均値 標準偏差 1 (7) Harima 11.9 5.7

2 (5) Tokai 11.0 5.2

3 (3) Mikawa 9.3 4.1

4 (1) Kanto West 8.2 3.2 5 (17) Shonan 6.9 3.3

続いて,42 日分の密度ワークロードの平均値について,セクタごとに比較し上位 5

セクタを表 4.2に示す.

表 4.2より,機数ワークロードの高い空域と密度ワークロードの高い空域は,必ずし も一致しないことがわかる.これは,空域の構成が,単純に通過機数のみで決められて いるわけではなく,その密度も考慮されていることを示し,航空管制官のワークロード を定量化する際にも,密度ワークロードの考え方を導入すべきであるといえる.

加えて,最も機数ワークロードが高いT12 Kanto West Sectorについて,それぞれの日 の最大値,最小値および平均値を図 4.4 に示す.図 4.4 では,一日の中で機数ワーク ロードのばらつきが大きいことがわかる.これは,日中と夜間の航空機数の違いによる ものである.また,最大値に注目すると,40 機近くまで値が上昇していることもわか る.現在ではセクタの処理容量を超えることが予想された場合,航空交通流制御が行わ れることになっている.したがって,T12 Kanto West Sectorの機数ワークロードの最大 値付近に,通過機数に対する航空管制官の処理限界があると予想される.

count

図 4.4 T11 Kanto West Sectorの平均機数ワークロード(42日分)

また,図 4.5には,密度ワークロードについて,42日間それぞれの平均値を示す.

average of density (aircraft)

図 4.5 各セクタにおける1日の平均密度ワークロード(42日分)

図 4.5からも,機数ワークロードと同様に,セクタによって密度ワークロードに大き な差があることがわかる.また,密度ワークロードの平均値は,年間を通してわずかに 増加していることも読み取ることができる.

latitude

55,000 [機]以上

50,000 []以上 55,000 []未満 45,000 [機]以上 50,000 [機]未満

図 4.6 機数ワークロードの高いセクタ(2012年5月7日)

latitude

3.5 以上 3.0 以上 3.5未満 2.5 以上 3.0未満

図 4.7 密度ワークロードの高いセクタ(2012年5月7日)

ここまでの分析において,2012年 5 月 7日における機数ワークロードおよび密度ワ ークロードの高いセクタの位置を,図 4.6および図 4.7 に示す.図 4.6 において,赤 色のセクタは55,000 [機]以上,橙色のセクタは50,000 [機]以上55,000 [機]未満,緑色の セクタは45,000 [機]以上50,000 [機]未満を表している.図 4.7において,赤色のセクタ は密度ワークロード3.5以上,橙色のセクタは3.0以上3.5未満,緑色のセクタは2.5以 上3.0未満を表している.図 4.6および図 4.7より,概ね東京国際空港周辺およびその 西側で値が高くなっていることがわかる.

次に,各セクタにおけるそれぞれのワークロードの1日の変化を示す.例として,2012 年5月7日のKanto West Sectorの結果を示す.

time of day (JST)

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

the number of aircraft [/10 sec]

0 5 10 15 20 25 30 35

40 count

図 4.8 Kanto West Sectorの機数ワークロード(2012年5月7日)

図 4.9 Kanto West Sectorの密度ワークロード(2012年5月7日)

図 4.10 Kanto West Sectorの密集ワークロード(2012年5月7日)

図 4.11 Kanto West Sectorの調整ワークロード(2012年5月7日)

図 4.12 Kanto West Sectorの高度変更ワークロード(2012年5月7日)

図 4.8より,6時ごろから機数ワークロードが増加し始め,21時ごろに値が小さくな っている.また,10,18,20 時台にピークがある.機数ワークロードが最も高い時間 帯では,概ね 30前後にまで到達している.図 4.9 および図 4.10 から概ね同じ時間帯 にワークロードが発生していることがわかるが,ピーク時間帯はワークロードごとに異 なっている.図 4.11 および図 4.12 では,ワークロードが離散値となっており,どち らも比較的高い値を示すことはない.

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