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重み付けポテンシャルによる漏れ込みヒットイベント

ドキュメント内 master thesis sugimoto (ページ 48-62)

第 3 章 CdTe 両面ストリップ検出器応答 のモデル化のモデル化

3.4 重み付けポテンシャルによる漏れ込みヒットイベント

図3.18: 0.75 mm厚、100 Vでの反応深さにおける各チャンネルの出力値。色とストリッ プの関係は上に示した。-0.375がCathode電極、+0.375がAnode電極である。また、0

〜160µmの数値は、中央のストリップのどの位置に光子が落ちたのかを表す。一つの 電極がここでは400µmであり、赤色に相当する電極の両端をそれぞれ-200µm、+200 µmとしている。

ネルギーの大きさを100 keVとすることにする。残りの値は全て100 keVとの比を取 ることで求めることができる。このようにして任意の深さ位置において、各ストリッ プにおける検出エネルギーを計算できるので、スレッショルドエネルギーを設定する ことで、その深さ位置でいくつのストリップがヒット判定を受けるかが分かる。また、

ストリップ中心に近い位置と、ストリップの境界線に近い位置で反応したときは信号 の大きさが異なるので(図3.18)、400µm幅のストリップを19分割し、それぞれの位 置に当たったときの信号を計算した。よって反応の深さ位置とヒット数の関係が19通 りつくれるので、これから期待値を求めた。図3.21と図3.22にはその結果を示す。

図 3.19: 0.75 mm厚、300 Vでの反応深さにおける各チャンネルの出力値。色とスト リップの関係は図3.18と同様。ストリップ上での反応位置は160µmである。

図3.20: 2.0 mm厚、300 Vでの反応深さにおける各チャンネルの出力値。色とストリッ

プの関係は図3.18と同様。ストリップ上での反応位置は160µmである。

図3.21と図3.22は、異なる3つのエネルギーを入射させたときの、AnodeとCathode で見られる正信号のヒット数と負信号のヒット数の期待値である。ここでは負の信号 も考慮するため正信号のスレショルドを5 keV、負信号のスレッショルドを-3 keVと した(-3 keV以下のときに負信号のヒットと判定)。正のスレッショルドエネルギーと 負のスレッショルドエネルギーを用意しこれを超えるようなエネルギーを検出したス トリップの数を各反応位置ごとに数え、平均を取った。図3.21、3.22から正の信号の ヒット数ではAnodeは入射するエネルギーの大小に関わらず1ヒットが基本であると わかる。また負の信号のヒット数では、Cathodeでは入射するエネルギーの大小に関わ らず0ヒットが基本である。異なるHV、厚みにおいて、計算結果は同様の結果を示し たので、今後図を掲載する際は、正のAnodeヒット数と負のCathodeヒット数につい ての期待値及び総量は特に断りがない限り省略する。

図3.23には0.75 mmt、100 , 500 Vでのヒット数の期待値を示す。Anodeでのマイナ ス信号について、バイアス電圧が100 Vと低い場合には60 keVの入射でもAnode付近 にスレッショルド以下の負信号が発生する。Cathode側のプラス信号について、60 keV の入射では中央ストリップ以外では、スレッショルド5 keV以上の信号は見られない。

122 keVから徐々に見え始め、662 keVが入射した際には3ストリップにおいて5 keV 以上のヒットが見られる。500 Vを印加した場合にはAnode、Cathodeともに662 keV が入射しない限り、スレッショルドをこえるマイナス信号、複数のプラス信号は見ら れなかった。これより、0.75 mmtでは500 keVのバイアスをかければ高エネルギーの 入射がない限り重み付けポテンシャルによる漏れ込みヒットイベントは発生しないこ とがわかった。

図3.24には2.0 mmt、100,500 Vでのヒット数の期待値を示した。2.0 mm厚ではバ イアス電圧を500 VにしてもAnode、Cathode両面で負正の漏れ込みヒットイベントが 数多く見られる。特に662 keV入射時にはその量は光子の反応場所がある一定の深さ を超えると急激に増加しているため、実験データでのCathodeのヒットパターンが図 3.2のような結果を示したことや、またCathodeのスペクトルでのみ10keV付近のカウ ント数が非常に多くなってくる原因はこの重み付けポテンシャルの影響であると考え られる。

図3.21: 0.75 mm厚、300V下で、異なる深さでの反応位置ごとの正の信号のヒット数 の期待値。スレッショルドは5 keVとしている。入射エネルギーは60、122、662 keV の3パターンである。Anodeでは基本的に5 keV以上の信号が出るのは光子の反応が あったストリップのみであり、1ヒットが続いている。Cathodeでも複数のヒットが出始 めるのは、入射エネルギーが662 keVになったときだけである。またそのとき、Anode 側に近い位置で反応するほど、ヒット数の期待値も増加する。

図3.22: 0.75 mm厚、300V下で、異なる深さでの反応位置ごとの負の信号のヒット数の 期待値。スレッショルドは-3 keVとしている。入射エネルギーは60、122、662 keVの 3パターンである。Cathodeでは基本的に-3 keV以下の信号が出ることがなく、0ヒッ トが続いている。Anodeでも負のヒットが出始めるのは、入射エネルギーが122 keV になり、かつ反応が極めてAnodeの近くで起きたときである。662 keVが入射した場 合にはAnodeとCathodeの中間点よりもAnode側で反応が起きたときに、スレッショ ルド以下の信号が増加してくる。

図3.23: 厚さ0.75 mmのCdTeのヒット数の期待値。上は100 V、下は500 Vである。

またAnodeは負の信号のヒット数の期待値であり、Cathodeは正の信号のヒット数の

期待値を表す。スレッショルドはそれぞれ-3 keV、+5 keVである。

図3.24: 厚さ2.0 mmのCdTeのヒット数の期待値。上は100 V、下は500 Vである。ま

たAnodeは負の信号のヒット数の期待値であり、Cathodeは正の信号のヒット数の期

待値を表す。スレッショルドはそれぞれ-3 keV、+5 keVである。

反応位置の深さと漏れ込みヒットイベント数の期待値の関係では、Anode側では正 の信号の期待値は基本的に1、Cathode側では負の信号の期待値は基本的に0、という 結果になった。しかし、低バイアス電圧、検出器の厚みが厚い、入射エネルギーが大 きい、という条件が重なるとAnodeでも正の信号の複数ヒットイベント、Cathodeで は負の信号が発生する。図3.25にはそのような結果を示す。図3.25は厚さが2.0 mm、 バイアス電圧100 V、入射エネルギー662 keVという条件の下での計算結果である。こ れまでの傾向と違い、それぞれの期待値はCathode付近で反応が起きるほどに大きく なる。

図3.25: 厚さ2 mmのCdTeのAnodeの正スプリットとCathodeの負信号。スレッショ ルドは+5 keVと-3 keVである。

3.4.3 漏れ込みヒットイベントの総量

入射エネルギーごとのヒット数の期待値と反応深さの関係を求めたので、それを全 深さ方向に積分することで全ヒット数の分布を求めることができる。また本論文では 全てのシミュレーションと理論計算において、光子はCathode方面から入射すると仮定 している。図3.26、3.27にはその計算結果を、厚さ0.75 mmのCdTe両面ストリップ検 出器についてまとめる。また図3.28、3.29には2.0 mmのCdTeストリップ検出器につ いて同様のことを行っている。また0.75 mmのCdTeストリップ検出器ではAnodeの 正信号は全ての計算結果で1ヒットが100%、Cathodeの負信号は0ヒットが100%で あったため、省略した。また2.0 mmでもほぼ同じような傾向であったが、100 V、662 keV入射の場合はAnodeでも正信号の複数ヒット、Cathodeでは負信号があったため、

図3.30にてその結果を示す。

この結果から歪んだ重み付けポテンシャルの影響による漏れ込みヒットは内部電場 の強さと入射エネルギーに大きく依存し、特に数百keVが入射したときには4〜5本以 上のストリップに信号が発生するイベントが支配的となることがわかった。

図3.26: 厚さ0.75 mmのCdTeストリップ検出器のAnodeの負信号ヒットパターンの カウント数割合。スレッショルドは-3 keV。0ヒットの数が1となるように規格化して いる。

図3.27: 厚さ0.75 mmのCdTeストリップ検出器のCathodeの正信号ヒットパターンの カウント数割合。スレッショルドは5 keV。1ヒットの数が1となるように規格化して いる。

図3.28:厚さ2.0 mmのCdTeストリップ検出器のAnodeの負信号ヒットパターンのカ ウント数割合。スレッショルドは-3 keV。0ヒットの数が1となるように規格化して いる。

図3.29: 厚さ2.0 mmのCdTeストリップ検出器のCathodeの正信号ヒットパターンの カウント数割合。スレッショルドは5 keV。1ヒットの数が1となるように規格化して いる。

図3.30: 厚さ2.0 mmのCdTeストリップ検出器のAnode正信号(左)、Cathode負信号

(正)のヒットパターンのカウント数割合。バイアス電圧100 V、入射エネルギー662 keV。スレッショルドはそれぞれ5 keV、-3 keVであり、Anodeは1ヒットのカウント

数が1、Cathodeは0ヒットのカウント数が1となるように規格化している。

第 4 章 シミュレーションと実験データ

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