第 5 章 Astro-H 衛星検出器周りのデザ イン最適化に向けてイン最適化に向けて
5.2 エネルギースペクトルの導出
第 5 章 Astro-H 衛星検出器周りのデザ
について、ピークとなっているPHAを59.5 keV、PHA=0となるときのエネルギーが
0 keVであるという仮定の下にエネルギー較正を行ったとしている。
図5.1: 59.5 keVが入射したときの反応量の分布。縦軸は全体の反応量のうちの何%が
その位置で起きたかを示す。
スペクトルのFWHMについての比較を行う。移動度µと寿命τが比較的大きい電 子の寄与が強いAnodeでは、バイアス電圧ごとのFWHMは大きな違いはない。図5.3 より、100、300、500、1000 Vとバイアス電圧を上げるとそれにともないエネルギー 分解能FWHMも優れた値を示す。だが、100 Vで1.3 keV、1000 keVで1.15 keVであ り、割合にして10%ほどしか改善しない。反対に移動度µと寿命τが小さいホールの 寄与が強いCathodeでは、バイアス電圧を上げることで、FWHMが飛躍的に改善する。
100 V下ではFWHMが2.3 keVとなっているが、300V以上の電圧を印加することで FWHMは1.0 keV代になる。1000 VでFWHMは1.5 keVであり、100 Vのときと比べ 0.8 keV、割合にして35%改善する。Anode、Cathode共通の傾向として、FWHMの変 化率はバイアス電圧を上げるごとに徐々に0へと近づいていく。
テール成分の量について述べる。ここでのテール成分の定義は59.5 keVのピークに
対し58.3 keV以下の成分のこととしている。また58 .3 keV以上の成分は全て非テー
ル成分としている。図5.4の縦軸は非テール成分のカウント数に対するテール成分のカ ウント数を表しており、この値が小さいほど、スペクトルはテール成分を持たないと 判断することができる。AnodeとCathodeを比較した場合、バイアス電圧が100 Vの
条件でもAnodeはテール成分の割合は少ないがCathodeは非常に強いテール成分を持
ち、その数は非テール成分の1.6倍となっている。バイアス電圧を上げることでこの 割合を減らすことができる。バイアス電圧を1000 Vまで上げるとテール成分の割合は Anode、Cathodeともに0.01%となり、その変化率はAnode、Cathodeともに0に近づ いてくる。これから、1000 Vは理論上はテール成分を減らすには十分なバイアス電圧 であるということになる。
図5.2: HXI用CdTeストリップ検出器による59.5 keVのスペクトル。左がAnode、右 がCathode。ただしスレッショルドを5 keVとして1hitのみのスペクトルである。
図5.3: HXI用CdTeストリップ検出器のFWHM。左がAnode、右がCathode。横軸が
HV、縦軸がFWHMとなっている。
図5.4: HXI用CdTeストリップ検出器のテール成分。左がAnode、右がCathode。横軸
がHV、縦軸が非テール成分のカウント数に対するテール成分のカウント数となって
いる。