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連続アウトカムにおける必要症例数の計算

6.2 EZR による症例数設計

6.2.2 連続アウトカムにおける必要症例数の計算

Senario4. 2

値アウトカムに対する非劣性試験での症例設計

いま,新しい手術法による創感染症の発現割合に対する無作為化比較第

III

相試験を検討している.これまでの手 術での創感染症発現割合は,7%であることがわかっている.新しい手術においても同程度の

7%であると期待してい

るものの,13%までであれば臨床的に創感染症発現割合が上昇していないと判断したいと考えている(非劣性試験) このとき,有意水準 α=0.025,検出力

1-β=80%での必要症例数を検討しなさい.

Senario5.

連続アウトカムに対する単群試験での症例設計

いま,手術による心理的不安を軽減するためのカウンセリングを実施したいと考えている.これまでの調査では,平

100,標準偏差 50

であることがわかっている.本カウンセリングによって平均

80

まで軽減することを期待してい

る.片側対立仮説のもとで,有意水準α=0.05,検出力

1-β=80%での必要症例数を計算しなさい.

148

EZR

には,連続アウトカムに対する単群試験での症例設計を行うことができない.ここでは,SWOG(SouthWest

Oncology Group)の Web

サイト(https://stattools.crab.org/)の

CRAB(Cancer Reseach And Bistatistics)のツール(One

Arm Normal)を用いる.このときの Web

の画面を以下に示す.

この

Web

サイトによる症例設計の方法を以下に示す.

連続アウトカムに対する単群試験での症例設計

1: Web

サイトの画面において

・「

Select Calculation and Test Type」で「Sample Size」を選択する.

・「

Select Calculation and Test Type」で「1 Sided」を選択する.

・「Select Hypothesis Test Parameters」の「Null Mean」に「100」と入力する.

・「Select Hypothesis Test Parameters」の「Alternativel Mean」に「80」と入力する.

・「Select Hypothesis Test Parameters」の「Standard Deviation」に「50」と入力する.

・「Power」に「0.80」と入力する.

2:

「Calculate」ボタンを押す

すると,「Sample Size」に「39」が表示される.すなわち,必要症例数は

39

症例である.なお,この検定は

1

標本

t

検 定に基づいて計算されている.

149 このとき,EZRでの計算は以下のようになる.

連続アウトカムに対する単群試験での症例設計

1:

「統計解析」→「必要サンプルサイズの計算」→「1群の平均値の信頼区間をある幅におさめるため のサンプルサイズの計算」を選択する.

2:

次のようなメニューが表示される.

このとき,

・「想定する標準偏差」に「50」と入力する.

・「信頼区間の幅」に「20」と入力する.

・「Confidence level」に「95」と入力する.

3:

「OK」ボタンを押す

このとき,次のような出力が表示される.

仮定 標準偏差 50 信頼区間 20 Confidence level 0.95 計算結果 必要サンプルサイズ 97

この結果は,母平均に対する

95%信頼区間に基づいて計算したものである.

したがって,必要症例数は

97

例であ る.このとき,信頼区間の幅に対する必要症例数のグラフが表示される(図

6.3

と同様の解釈になるので,ここでは割 愛する).

本試験では,既存薬の平均は

30

であり,新薬では

45

なので,2 群間の平均値の差(新薬

既存薬)は,15であ る.このとき,EZRでの計算は以下のようになる.

連続アウトカムに対する比較試験での症例設計

1:

「統計解析」→「必要サンプルサイズの計算」→「2群の平均値の比較のためのサンプルサイズの計 算」を選択する.

2:

次のようなメニューが表示される.

Senario6.

連続アウトカムに対する観察研究での信頼区間に基づく症例設計

いま,ある地域における心臓病疾患に対する治療成績に関する前向き観察研究を検討している.ここでのアウトカ ムには,収縮期血圧を用いることにしている.当該地域の医療機関での治療成績から,集種期血圧の標準偏差が

50

であることが報告されている.今回の前向き研究では,多施設で実施したいと考えており,信頼区間の幅(上側信 頼限界-下側信頼限界)は,20程度を想定している.必要症例数を計算しなさい.

Senario7.

連続アウトカムに対する比較試験での症例設計

いま,薬剤による臨床検査値の軽減に対する比較試験を検討している.既存薬では,平均

30,標準偏差 40

の軽減 効果が報告されている.新薬では,45の軽減を期待している.両側対立仮説のもとで,有意水準α=0.05,検出力

1-β=80%での必要症例数を計算しなさい.

150 このとき,

・「2群間の平均値の差」に「15」と入力する.

・「2群共通の標準偏差(SD)」に「0.07」と入力する.

・「αエラー(0.0 – 1.0)」に「0.025」と入力する.

・「検出力(1-βエラー(0.0 – 1.0))」に「0.80」と入力する.

・「グループ

1

2

のサンプルサイズの比(1:X)」に「1」と入力する.

・「解析方法」で「両側」を選択する.

3:

「OK」ボタンを押す

このとき,次のような出力が表示される.

仮定

2群間の平均値の差 15 標準偏差 40 αエラー 0.05 両側検定 検出力 0.8 N2N1のサンプルサイズの比 1 必要サンプルサイズ 計算結果 N1 112 N2 112

である. したがって,必要症例数は

1

群あたり

112

例(全体で

224

例)である.これは,母平均の差の検定(2標本

t

検定)に基づいて計算されている.このとき,検出力に対する必要症例数のグラフも表示される(図

6.2

と同様のグラフ であるが,解釈は行わないため省略する).

ここで,既存薬の効果は

30

であり,新薬で期待される効果は同程度なので,平均の差は,0である.このとき,EZR での計算は以下のようになる.

連続アウトカムに対する非劣性試験での症例設計

1:

「統計解析」→「必要サンプルサイズの計算」→「2群の平均の比較(非劣性)のためのサンプルサイ ズの計算」を選択する.

2:

次のようなメニューが表示される.

Senario8.

連続アウトカムに対する非劣性試験での症例設計

いま,薬剤による臨床検査値の軽減に対する非劣性試験を検討している.既存薬は,平均

30,標準偏差 10

の軽 減効果が報告されている.一方で,副作用が少ないと考えられる新薬の効果は同程度であると期待されるが,90%

程度の

27

までは許容されると考える.したがって,非劣性マージンは

3

である.このとき,有意水準α=0.05,検出

1-β=80%での必要症例数を計算しなさい.

151 このとき,

・「平均値の差(被験群 – 対照群)」に「0」と入力する.

・「臨床的に意味のある差」に「3」と入力する.

・「共通の標準偏差(SD)」に「10」と入力する.

・「αエラー(0.0 – 1.0)」に「0.05」と入力する.

・「検出力(1-βエラー(0.0 – 1.0))」に「0.80」と入力する.

・「解析方法」で「One-sided」を選択する.

3:

「OK」ボタンを押す

このとき,次のような出力が表示される.

仮定 2群間の平均値の差 0 意味のある差 3 標準偏差 10 αエラー 0.05 片側検定 検出力 0.8 必要サンプルサイズ 計算結果 N1 138 N2 138

である. したがって,必要症例数は

1

群あたり

138

例(全体で

276

例)である.これは,母平均の差の検定(2標本

t

検定)に基づくハンディキャップ検定を用いて計算されている.このとき,検出力に対する必要症例数のグラフも表示さ れる(図

6.2

と同様のグラフであるが,解釈は行わないため省略する).