SSPSの組立に用いるロボットに限らず,工業的に作られるロボットは,いかに精密に作ら れていても,各種センサやアクチュエータ,フレームの強度などに僅かではあるが,個体差が 生じる.この差は,組立や移動の速度の差に繋がるため,協調して一つのタスクをするロボッ
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図5.13 層数に対するロボット数の増加 図5.14 パネル枚数に対する最小平均組 立時間の増加
トを設計する際に無視することが出来ない.特に,SSPS組立のような大規模構造物を組み立 てるロボットは,ロボット自体も膨大な数が必用であるため,個体差は大きくなることが懸念 される.また,宇宙空間のような極限環境下では,日照時間の変化による急激な温度変化など によって,個体の動作に大きな差が出来ることも考えられる.
ここでは,ロボット間で大きな速度低下がない場合について,個体差や移動と組立速度の差 について比較し,提案手法の有効性を検証する.
5.4.1 シミュレーション設定
ロボットの個体差や移動と組立速度の差を見るため,表 5.5に示すシミュレーションケース を比較する. この表では,1単位時間の行動によって1回の移動が完了する時間をvとしたと きの,1単位時間で1回の移動が完了する1.0vという速度と,1単位時間では1回の移動が完 了しない0.8vという速度について列を分け,行については,組立の速度を表しており,(1)移 動速度と同じ場合,(ii)移動速度の半分の速度という二つに分ける.また,各速度設定につい て,均一の速度で行動する場合と,ロボット間に個体差がある場合をそれぞれ見る.例えば,
Case 1aでは,移動速度1.0v,展開・接続速度1.0vにおいて,全てのロボットの速度が均一
である.
なお, 1回の行動には移動・展開・接続・主従交換があり, それぞれ(i)発電パネルのある頂 点からその隣の頂点への移動, (ii)パネルを開き始めて完全に開くまでの行動, (iii)開ききった パネルを接続し始めて接続が完了するまでの行動, そして(iv)主従関係の1回, を意味する. また,個体差については,全てのロボットの移動速度は,その行列が示す速度を平均速度とし,
標準偏差は平均速度の5% とする.組み立てるパネル枚数,ロボット数については,理想環境 下シミュレーションと同じとする.
5.4.2 評価基準
評価基準については,これまで同様に組立成功率と平均組立時間を比較する. 平均組立時間 については,絶対的な速度の影響があるため,組立時間で正規化する.正規化については以下 の式を用いる.この式において,展開接続時間はパネルの展開と接続にかかる時間を示してい る.パネル枚数は固定であるため,展開接続時間はパネル枚数分の展開と接続の合計,即ちパ ネル枚数の2倍になる.これは,組立時間中のパネル展開にかかった時間を計算するために利 用する.
正規化された組立時間 = 展開接続時間
ロボット数 + (組立時間− 展開接続時間
展開接続速度∗ロボット数)∗移動速度 (5.1)
5.4.3 結果
組立成功率の結果は全てのケースで100%であったため割愛する.正規化した平均組立時間 を図 5.15に示す. この図において横軸は最大ロボット数,縦軸は正規化された平均組立時間 を表す.各点はそれぞれ表 5.5の各ケースに対応している.図から,Case 1aとCase 3aは他 ケースよりも組立時間が短いため,この二つ以外のケースについて拡大したものを図 5.16に 示す.図の見方は図 5.15と同じである.
これらの図から,Case 1aとCase 3aについては他ケースよりも効率が良いことがわかる.
Case 1aとCase3の共通点としては,移動速度が均一であり,1単位時間中に1回の移動を完
了できる.
また,ロボット間の個体差を比較すると,Case 1a及びCase 3aを除いて,同じ平均速度の 場合は殆ど差がない.展開接続速度が移動と同じ速度の場合に対し,半分の速度になるケース では,組立時間が若干遅くなることが明らかである.
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図5.15 正規化された平均組立時間の比較
図5.16 正規化された平均組立時間の比較(拡大)
以上の結果から,ロボットの速度は均一離散速度で設定することが理想的であることが明ら かである.しかし,現実的にはロボットには個体差があり,移動を離散値で運用することは不 可能であるため,離散値の設定をロボットの設計上の指針とすることは出来ない.
図5.17 離散均一の挙動(左)実数均一の挙動(右)
■展開接続速度の低下に対する影響
展開接続速度と移動速度に差がある場合は全てのケースで展開接続速度に差がある場合に効 率低下を観察出来る.これは,展開接続中はそのロボットは移動出来ず,他ロボットの移動を 阻害するのみであるため,速度減少に対しては組立時間が大きく減少することに繋がったと言 える.
■個体差環境下での組立
離散速度の場合を除いて,ロボットに個体差を加えた場合と均一速度の場合では組立速度に 大きな差がなく,また,個体差があっても組立成功率は100%であるため,提案手法は個体差 環境に対して耐性があるといえる.これは,次節の速度低下がある場合に対しても,ある程度 耐性があることを示唆している.