■結果1:組立成功率
図 5.23 は組立成功率の結果を示し,横軸が故障ロボット数, 縦軸が組立成功率を表す. 図5.23から,どのロボット数でも組立成功率が80%を達成している故障率は0.15%である. 全 体のロボットに対してどの程度ロボットが故障したか明らかにするため, 横軸を総ロボット数 に対する故障ロボットの割合でプロットし直したものを図 5.24に示す. この図で横軸は故障 ロボットの割合を, 縦軸は組立成功率を表している. 本研究では, 故障率はロボットが1回の 行動で故障する確率を表し, 故障ロボット割合は, 1回の組立試行での総ロボット数に対する 故障ロボット数の割合を表す. 同一形状の点は同一の故障率における組立成功率を各ロボット 数毎にプロットしたものである. 中央の縦線は80%の組立成功率を達成出来る境目を現してお り, この線より故障ロボット割合が少ない場合は常に80%以上の組立成功率を達成し, 逆に故 障ロボット割合がこの値より大きい場合は80%の組立成功率を達成できない場合がある.
この図から, ロボットの故障率が0.2%よりも低い場合に組立成功率が80%を超えており, 一 方で故障率が0.2%よりも高い場合は組立成功率が80%を下回っている. 故障率が0.2%のとき は, ロボット数によって組立成功率が変動する. ロボットの故障割合から見ると, 故障割合がロ ボット総数に対して 1/3以下であることが80%の組立成功率を維持するために必要な条件で あることが明らかであり, そのボーダーラインは故障率0.2%上に存在する.
これらの結果より, 二体一組手法をロボットが故障する環境に適用した場合, 1/3以上のロ ボットが壊れない限り, 80%の組立成功率を維持できることが明らかとなった.
■結果2:リカバリーレート
リカバリーレートの結果を図 5.25に示す. この図で横軸は故障ロボットの割合を, 縦軸はリ カバリーレートを表す. この図から, 故障率0.2% のとき, 特にその中でロボット数が 24体の ときにリカバリーレートが最大となる.
これらの結果から, ロボット故障率が0.25% を超えた場合, リカバリーレートが急激に下が るため, 故障環境に対する提案手法の故障率の限界は0.2%であると言える. また, この故障率 でロボット数を調整することで組立成功率は80%という高い値も達成することが出来るため, これは同時に提案手法の最大パフォーマンスを引き出す故障率であると言える. ロボットの設
5.6 近実環境下における解析:故障ロボットを回収しない場合 67
図5.23 組立成功率とロボット数
図5.24 組立成功率と故障ロボット割合
図5.25 リカバリーレート
5.6.4 考察
組立成功率の結果から, 80% を超える組立成功率を維持するための条件は, 故障ロボットの 総ロボットに対する割合が1/3以下, つまりロボットの故障率が0.2% 以下であることを示し ており, 一方リカバリーレートの結果より, 提案手法の性能を発揮するために許容される最大 の故障率もまた 0.2% である. この故障率は異なる観点から導き出されて一致しているため, 80%の組立成功率を達成するために許容出来る最大故障率を明らかにするためのアプローチと して信頼性があると言える.
更に, 組立成功率を80%以上に保ちつつ, リカバリーレートを最大限上げる最適なロボット 数も設計することも出来る. 本研究のシミュレーションでは, ロボットの故障率 0.2%でリカ バリーレートを最大化するために必要なロボット数は24体である. このロボット数はシミュ レーション結果から導かれたものであり, 今後の課題として理論的アプローチからの証明が必 要である. 具体的な証明方法は, 故障率0.2% から正確な故障ロボット割合を算出し, 実測値と 比較する.