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第 3 章
宇宙太陽発電衛星
この章では,本研究で取り扱う,宇宙太陽発電衛星の組み立てを説明する.この問題は,ロ ボットが(i)パネルのフレーム上のみしか移動出来ない, (ii)荷物受け渡しは出来ない, (iii)局 所通信のみを利用する, という大規模構造物組み立て問題における3つの制限を強いられる上 に,宇宙という過酷な環境下での組み立てであり,組み立てロボットには太陽の熱や宇宙線の 影響によって個体差の拡大や,故障が発生するなど,組み立てへの影響が懸念される.
本研究では,大規模構造物組み立てにおける最も困難な一例として宇宙太陽発電衛星を取り 扱い,その環境下で提案手法の有効性を示すことで,提案手法の大規模構造物組み立てへの適 用可能性を議論する.
電した電力を,地球側にある直径100〜150mの送電部から前者同様,マイクロウェーブに変 換されて地上に送られる.NASA Reference Systemにおいては,太陽電池パネルの部分が,
Sun Towerでは送電部が複数パネルを組み合わせて一つの巨大なパネルとなっているため,ロ
ボットによる組み立てが必須だが,太陽側は常に高温に,反対側は低温に晒される過酷な環境 である.
図 3.1 NASA Reference System [DOE/NASA, 1978] (C) NASA
図 3.2 Sun Tower [Mankins, 2002]
(C) NASA
また,図3.3 もNASA が提案するモデルである.このモデルは,Integrated Symmetric
Concentrator(ISC)と呼ばれており,図の左右に表される2対の巨大な集光ミラーを用いて中
央の太陽電池パネル及び送電アンテナで構成される部分に太陽光を集め,発電する.このモデ ルでは集光パネルが非常に巨大なものとなり,ロボットで組み立てる必要があり,またこの部 分は高熱に晒される.
3.1.2 ISAS モデル
図3.4に宇宙科学研究所(The Institute of Space and Astronautical Science: ISAS)が提
案するSPS2000[小田, 2004]を示す.このモデルでは,三角形の2つの上辺が巨大な太陽電池
パネルとなっており,下辺の送電部から地上に送られる.下辺の送電部は常に地上を向く必要 があるため,発電部は太陽側と反対側を向くことになり,構造物を組み立てるロボットは激し
3.1 宇宙太陽発電衛星 23
図3.3 Integrated Symmetric Concentrator(ISC) [DOE/NASA, 1980] (C) NASA
図3.4 SPS2000 (C) ISAS
い温度差に晒される非常に過酷な環境である.
3.1.3 USEF モデル
図3.5に無人宇宙実験システム研究開発機構(Institute for Unmanned Space Experiment Free Flyer: USEF)が提案するモデル[小田, 2004]を示す.このモデルでは,発電と送電の両 機能が備わったパネルを組み合わせて一つの巨大なパネルとしている.このモデルも,ISAS モデルと同様に常には太陽方向を向かないため,組み立てロボットは温度差が激しい環境下で の組み立てを強いられる.
図3.5 USEFモデル(C) USEF
図3.6 JAXAモデル(C) JAXA
3.1.4 JAXA モデル
図3.6はJAXAが提案する,フォーメーションフライト技術によるモデルである.このモ デルは,NASAのISCモデルと似ており,集光部と発電及び送電をする部分に分けられてい るが,集光部と送電・発電部が物理的に独立しており,一定の軌道関係を保って飛行すること で,相対的な位置関係を維持している.このモデルも ISC同様に巨大で組み立てる必要があ る集光部は太陽側を常に向いている過酷な環境下である.