第4章 被災高架橋の損傷評価
4.4 実験結果と考察
4.4.1 荷重一変位関係と損傷状況
(1)試躾体VCl
降伏変位は正側,負側ともに10.5Ⅲ皿であり,正側の降伏荷重は85.6kN,負側の降伏
荷重は‑86.4kNであった.最大荷重は+2∂yで104.OkNであり,降伏荷重を下回った載 荷ステップは‑6∂yであった.終局は‑8∂y載荷時に,軸力保持不能となったため,ここ で載荷を終了した.荷重一変位履歴曲線を図4.9に示す.
なお,3試験体ともに,軸方向鉄筋の降伏位置は柱基部であり,荷重一変位履歴曲線 における変位の基準点は,試験体VClはフーチング天端から載荷点位置までの高さで あり,試験体VC2および試験体VC3はスラブ天端から載荷点位置までの高さである.
ひび割れの進展状況は,予備載荷において,柱基部と柱基部から0.5D(D:柱幅)付 近に曲げひび割れが発生し,1∂y載荷時には,曲げひび割れは基部から3D区間まで広 がった.2∂,載荷時には,曲げひび割れが斜めひび割れに進展し,5∂y載荷時では,曲 げひび割れ間を結ぶ柱軸方向の縦ひび割れが発生した.かぶりコンクリートの剥落は 6∂y載荷時で始まり,‑8∂y載荷時において,圧縮側の軸方向鉄筋の座屈が観察された・
各載荷ステップ終了後のひび割れ状況を図4.10〜4.17に,終局時の損傷状態を写真4.2, 4.3に示す.
0
0
0
0 5
5
0
(毒〉嘲柱
■
‑150 ‑100 ‑50 0 50 100 150
変位(mm)
同4.9 試躾体VClの荷重一変位履歴曲線
A面 B面 C面 D面
̲.̲ノ
120 120
90 90
60 60
30 30
0 0
図4.100.756y載荷役のひび割れ状況
ー 67 ‑
A面 B面 C面 D面
ヽ、
\
̲一ノ
図4.1116y載荷後のひび割れ状況
A面 B面 C面 D面
\
\
\
ノ1\
ロ
一\
\ ′
ヽ
キヽ
図4.12 26y載荷籠のひび割れ状況
A面 B面 C面 D面
\
\
\/ l ヽ、
\
臼 一\
k
̲̲ノ
ノう
、 ヽ
キミ 人
図4.14 46y載荷役のひび割れ状況
A面 B面 C面 D面
//′
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ノヽ
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ヽ一\\
じ 1「
一一・′
幅 ヽ
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.γ
、 ヽ
キミ 人
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⑳:剥落箇所
国4.16 66y載荷後のひび割れ状況
120 120 A面 B面 C面 D面
\
〈
\
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p
く ノ
/う ノ、▲
ヽ
キミ
図4.13 36y載荷籠のひび割れ状況
A面 B面 C面 D面
\
ノ、
\
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u
\
p ゝ「
̲一■′
、 ヽ
キミ 人
図4.15 56y載荷役のひび割れ状況
A面 B面 C面 D面
⑳‥剥落箇所
図4.17 76y載荷役のひび割れ状況
写真4.2 終局状態(D両) 写文4.3 終局状態(B面) 柱下端部を模擬した無補強RC柱の損傷箇所および損傷状況をまとめると,以下のと おりである.
(1)Y点(降伏荷重点)は,ひび割れは柱の3D区間に発生するが,残留変位,ひび割 れ幅ともに極めて小さい.
(2)M点(最大荷重点)では,無数の曲げひび割れが発生し,曲げひび割れはせん断ひ び割れに進展するが,かぶりコンクリートの剥離,剥落は生じていない.
(3)剥落は,N点(耐力低下領域の降伏荷重点)の90%程度の変位から開始した.
(4)剥落箇所は柱4面であり,柱基部から1.3Dの範囲で生じた,
(5)N点以降では,かぶりコンクリートの剥落が急速に進展し,帯鉄筋のフックが外れ, 水平荷重に対する耐荷力も急激に低下した.
(2)冨式験体VC2
降伏変位は正側が13.2m皿,負側が‑13.Ommであり,降伏荷重は正側が80.1kN,負側 が一81.6kNであった.最大荷重は‑2∂,で96.7kNであり,降伏荷重を下回った載荷ステ
ップは‑6∂,であった.終局は‑7∂y載荷後の422kNの軸力増載荷時において,軸力保 持が不能となった,荷重一変位履歴曲線を回4.18に示す,
ひび割れの進展状況は,予備載荷において,柱の2D区間と横梁が無いA面側の接合 部内に曲げひび割れが発生し,1∂,載荷時には,柱のひび割れは2.5D区間を超える高 さまで広がり,横梁が有るC面側では縦梁側面にもひび割れが発生した.3∂y以降では, 柱には斜めひび割れの進展も見られ,A面側では柱基部のひび割れ幅が拡大した.かぶ
りコンクリートの剥落は5∂,載荷時に発生し,7∂,載荷時には,C面側では柱の1D区 間で,A面側では柱と接合部内で剥落が生じた.損傷範囲は,C面側は柱基部から1D 区間の範囲で,A面側は柱と接合部内であり,縦梁と棟梁には大きな損傷は生じていな かった.各載荷ステップ終了後のひび割れ状況を図4.19〜4.25に,終局時の損傷状態 を写真4.4,4.5に示す.
69 ‑
0
0 5
0
0
0
0
0 5
5
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(Zさ噌程
‑
ー150 ‑100 ‑50 0
変位(mm)
50 100 150
図4.18 試験体VC2の荷重一変位履歴曲線
■■一■
■ヽ
\ ヽ‑■..
A面
棟梁上面
ノ
̲′
\ 出
A面
横梁上面
図4.1g O.756y載荷籠のひび割れ状況 図4.2016y載荷役のひび割れ状況
D面 A面 B面 C面
ノ ′
/
ノ ′
′
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A面
周4.2126y載荷後のひび割れ状況
′ ′
n
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.カl 削
ヽ ̲′
A面
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ゝ 但
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Q
J C面
図4.23 46y載荷役のひび割れ状況
‑ 71‑
̲′ヽ
/ /‡
/
ノ ′
′
̲′丁 ヽ
ヽ ̲′
A面
¢ 個
l
Q
l C面
図4.22 36y載荷籠のひび割れ状況
′
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ノ
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■\ ̲ノ
刑
A両
¢
ゝ 胞
//■////// Q
C面
国4.24 56y載荷後のひび割れ状況
′ ′′
n
/
究牙
A面
巾 胞
q
面
図4.25 66y載荷後のひび割れ状況
写真4.4 終局状虚(C面)
⑳:剥落断 ◎:机ミミり浮き箇所
写真4.5 終局状態(A両) 柱上端部を模擬した無補強RC柱の損傷箇所および損傷状況をまとめると,以下のと おりである.
(1)Y点では,ひび割れは柱部材および接合部で広範囲に発生するが,残留変位は小さ く,ひび割れ幅も極めて小さい.
(2)M点では,柱部材および接合部に無数のひび割れが生じるが,かぶりコンクリート の剥離,剥落は生じていない.
(3)剥落は,N点の85%程度の変位から開始した.
(4)剥落箇所は,C面(高架橋内面側)では柱基部から1D区間の柱内であり,A面(高 架橋外面側)では柱とハンチの付け根を中心とした1D区間内の範囲であった.
(5)N点以降では,かぶりコンクリートの剥落が急速に進展し,柱基部から1D区間内 の柱部の帯鉄筋のフックが外れ,水平荷重に対する耐荷力も急激に低下した.
(3)試験傭VC3
降伏変位は正側が9.8mm,負側が‑8.Ommであり,降伏荷重については,正側が77.7kN, 負側が‑82.1kNであった.+2∂y以降の載荷制御は,変位の小さい8・0Ⅲ皿を基準とした・
最大荷重は,正側,負側ともに66yで,94.7kN,‑101.2kNであった・降伏荷重を下回 った載荷ステップは,正側は+12∂yで,負側は‑14∂yであった・終局は‑16∂y載荷後の 422kNの軸力増載荷時において、軸力保持不能となった.なお,正側は,+16∂yにおい ても著しい荷重低下は見られなかったため,+18∂yの載荷を実施したが,水平荷重は ほとんど上がらなかったので,このステップで載荷を終了した.荷重一変位履歴曲線を 図4.26に示す.
‑150‑ ‑100 ‑50 0 50 】00 】50
変位(mm)
図4.26 試験体VC3の荷重一変位履歴曲線
ひび割れの進展状況は,予備載荷において,A面側では接合部内に,C面側では横梁 ハンチに発生し,1∂y載荷時には,C面側では縦梁側面にも発生した.その後,載荷ス テップの進行に伴い,A面側では接合部内のひび割れが顕著に進展し,C面側では横梁 ハンチのひび割れ幅が拡大した.かぶりコンクリートの剥離は,6∂y載荷時にA面側 の接合部で発生し,剥落は,10∂y載荷時に同じくA面側の接合部で発生した.
損傷範囲は,C面側は鋼板と横梁ハンチの間であり,A面側は接合部内で,4本の帯鉄 筋が破断した・鋼板の損傷状況については,3∂y載荷終了後の打音検査で,1D区間の高 さにおいて柱4面で浮きを確認したが,それ以上の進展はみられず,1Dよりも上方の範 囲では,最後まで浮きは見られなかった.鋼板下端から150nⅦl上方における鋼板のひず み履歴を図4.27に示す.A面側では終局時においても,鋼板のひずみは300〟程度あり,
‑ 73 ‑
C面側でも14∂yからひずみが大きくなっているものの,終局時でも900〟程度で,鋼板 が降伏(2000〟)するはどの応力は生じなかった.
各載荷ステップ終了後のひび割れ状況を図4.28〜4.35に,終局時の損傷状態を写其 4.6,4.7に示す.
120
80
40
盲
蒜
0桂 一40
‑80
‑120
ー200 0 200 400
ひずみ(〃)
600 800
図4.27 補強鋼板のひずみ分布
ヰ l鼓
9咤
6咤妻
3咤
U
、ヽL ′ノ
A面
横梁上面
埋 犠
9咤
6相室
3咤妻
D面 A面 B面 C面
.l
∪
B
A面
棟梁上面
図4.28 0.756y載荷役のひび割れ状況 図4.2916y載荷後のひび割れ状況
・.1
埋
■
叫ヰ
叫圭
U
凹
A
\
び 胞
Q
C面
固4.30 26y載荷籠のひび割れ状況
90茎き
60≡;≡
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U
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凹
B A面
¢ 胞
ヽ ′† Q
C面
図4.32
46y載荷役のひび割れ状況
‑ 75 ‑
ヰ
■
D面 A面 B面 C面
90
¢0
30
U
\
■
凹
β 〜 A面
¢ 倫
ヽ ′ 0
C面
図4.3136y載荷役のひび割れ状況
90妄室
60日室妻
3叫室
U
\
■ u
B A面
ゆ 胞
ヽ ′ノ† Q
′
C面
園4.33
68y載荷役のひび割れ状況
.▲. D面 A面 白冠 C面
.
●
■
最童
捕亭喜‥
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B A面
¢ 胞
Q
l面
図4.34 86ytE荷後のひび割れ状況
写ま4.6 終局状態(C両)
恥
Ⅸ〉
.氾
し B A面
¢ 壇
0
面
図4.35108y載荷籠のひび割れ状況
写真4.7 終局状態(A面) 柱上端部を模擬した鋼板巻き補強RC柱の損傷箇所および損傷状況をまとめると,以 下のとおりである.
(1)Y点では,接合部内に密集したひび割れが生じるが,残留変位,ひび割れ幅ともに 極めて小さい.
(2)M点では,無数のひび割れが接合部に生じるが,かぶりコンクリートの剥離,剥落 は生じていない.
(3)剥落は,N点の70%程度の変位から開始した.
(4)剥落箇所は,C面(高架橋内面側)では横梁ハンチと鋼板との隙間部分であり,A 面(高架橋外面側)では接合部内に集中した.
(5)N点以降では,かぶりコンクリートの剥落が進展し,接合部内の4本の帯鉄筋が破 断したものの,荷重の低下程度は緩やかであった.
(6)鋼板の浮きは,1D区間の範囲の柱4面で軽微な浮きを確認したが,鋼板内部の無 収縮モルタルおよびコンクリートには損傷は見られなかった.
(7)鋼板のひずみは,N点で300/上程度であった.終局時においても,900J⊥程度であ り,鋼板が降伏するほどの応力は生じなかった.
(8)縦梁および横梁にも,Y点からひび割れが発生したが,柱部材が終局に至っても, 目立った損傷ではなかった.