第4章 被災高架橋の損傷評価
4.5 まとめ
破断するものの,荷重の低下程度は緩やかである.柱補強鋼板の浮きは,1D区間の 範囲の柱4面で軽微な浮きを確認したが,鋼板内部の無収縮モルタルおよびコンクリ ートには損傷は見られない.
(4)高架橋の柱上下端部の耐震性能の相違は,柱上端部を模擬した無補強RC柱は,柱 下端部を模擬した無補強RC柱に対して,初期剛性は約25%小さいが,降伏荷重およ びじん性率は同等であり,耐震性能に大きな差はみられない.
(5)高架橋柱上端部における鋼板巻き補強の効果は,せん断被壊を防止するとともに, じん性率を〟=11に改善できる.軸力保持可能な状態までのじん性率では,〟=15で あった.初期剛性については,柱上端部を模擬した無補強RC柱に対して約1.5倍で あった.
(6)鋼板巻き補強による接合部材への影響については,柱上端部を模擬した鋼板巻き補 強RC柱は,Y点から縦梁および横梁に,軽微なひび割れが発生したが,それ以降, 柱部材が終局に至っても,損傷は進展しなかった.鋼板巻き補強RC柱は,柱部では
ひび割れの発生可能な領域が少ないことから,柱上端の横梁が無い接合部面側では, 接合部や縦梁ハンチに損傷が集中した.復旧性能の観点においては,柱部材と比較し て,接合部の損傷は接合部材の鉄筋が交錯し,部材によっては鉄筋の定着区間である ため,復旧が容易でない.このため,鋼板巻き補強の施工箇所で,N点以降の大きな 地震力による損傷が予測される箇所には,接合部の損傷を軽減させる対策が必要と考
えられる.例として,柱部と鋼板との遊間の拡幅,あるいは,初期剛性を大幅に向上 させない繊維補強材料を用いた耐震補強工法の適用などが考えられる.
参考文献
1)鉄道総合技術研究所地震対策プロジェクト:兵庫県南部地震鉄道被害調査報告書, 鉄道総研報告一特別第4号,1996.4.
2)阪神・淡路大震災鉄道復興記録編纂委員会編:よみがえる鉄路阪神・淡路大震災 鉄道復興の記録,山海堂,1996.3.
3)鉄道総合技術研究所編:既存鉄道コンクリート高架橋柱等の耐震補強設計・施工指 針鋼板巻立て補強編,1999.7.
4)鉄道総合技術研究所編:炭素繊維シートによる鉄道高架橋柱の耐震補強工法設計・
施工指針,1996.7.
5)鉄道総合技術研究所編:アラミド繊維シートによる鉄道高架橋柱の耐震補強工法設 計・施工指針,1999.11.
6)鉄道総合技術研究所編:既存鉄道コンクリート高架橋柱等の耐震補強設計・施工指
針PPS巻補強編,2004.6.
7)鉄道総合技術研究所編:吹付けモルタルによる高架橋柱の耐震補強工法設計・施工 指針,1996.10.
8)鉄道総合技術研究所編:既存鉄道コンクリート高架橋柱等の耐震補強設計・施工指 針FRf吹付け補強編,1996.11.
9)鉄道総合技術研究所編:既存鉄道コンクリート高架橋柱等の耐震補強設計・施工指 針RCプレキャスト型枠工法編,1996.12.
10)たとえば,田畑 裕,佐藤 勉,渡遵忠朋,安原真人:鋼板巻き補強におけるディ テールの影響に関する実験的研究,土木学会第51回年次学術講演会,V529,1996.9.
11)鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説 コンクリート構造物,
1992.10.
12)稲熊 弘,閑 雅樹:RCラーメン高架橋柱の耐震補強に伴う柱と梁の接合部の耐 震性能に関する研究,土木学会地震工学論文集,Ⅶ1.27,No.203,pp.1‑8,2003.12.
13)たとえば,閑 雅樹,西村昭彦,佐野弘幸,中野 聡:RCラーメン高架橋の地震 時損傷レベルの評価に関する研究,土木学会論文集,No.731,Ⅰ一63,pp.5ト64,2003.4.
14)鉄道総合技術研究所編:鉄道構造物等設計標準・同解説 耐震設計,1999.10.
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