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検討の結果,東海道新幹線の高架橋に特化しているが,損傷する部位を把握し,かつ, RC柱部材の骨格曲線におけるY点,M点,N点および終局に対する損傷状態を把握し た.これにより,実務上における地震後の点検重点箇所の特定ならびに損傷評価の指標

となれば幸いである.

高架橋の柱上下端部の保有性能の相違については,柱上端部の初期剛性は,柱下端部 に対して約25%小さいが,降伏荷重およびじん性率は同等であり,保有性能の差はみら れないことが明らかとなった.

高架橋柱上端部における鋼板巻き補強の効果については,せん断破壊を防止するとと もに,じん性率10以上に改善できることを確認した・

鋼板巻き補強による接合部材への影響については,縦梁および横梁にも,大きな損傷 を及ぼさないことが明らかとなった・しかしながら,柱上端の横梁が無い接合部面側で は,接合部や縦梁ハンチに損傷が集中した・復旧性能の観点においては,柱部材と比較

して,接合部の損傷は復旧が容易でない・このため,鋼板巻き補強の施工箇所で,N点 以降の大きな地震力による損傷が予測される箇所には,接合部の損傷を軽減させる対策 が必要と思われる.

8.2.3被災高架橋の残存耐力の推定

第5章では,東海道新幹線の高架橋について,無補修で列車の運行を再開できる損傷 度,および余震による高架橋の倒壊を防止するための仮受け措置が必要な損傷度の指標 を確立するための基礎研究を行うことを目的として,新幹線高架橋の曲げ破壊先行型の 無補強RC柱を模擬した同一の2体の単柱試験体を用いて,それぞれ載荷繰返し回数が 3回と1回の交番載荷試験を実施した.また,実高架橋の交番載荷試験データを用いて, 単柱試験体との比較検証を試みた.これらの実験および検証から,無補修で列車の運行 を再開できる損傷度,および余震による高架橋の倒壊を防止するための仮受け措置が必 要な損傷度の指標の確立へ向けての検討を行った・

検討の結果,同一の水平変位の繰返し回数3回の範囲であるが,N点に到達する前ま でであれば,1回目の載荷に対する3回目の載荷における剛性低下比率は12%程度であ った.しかしながら,N点を超えると急激に剛性が低下するため,余震による高架橋の 倒壊を防止するための仮受け措置が必要な損傷度としては,M点以降の損傷度,あるい

は,柱部材のかぶりコンクリートが剥離,剥落した場合が,実務上の判断指標とすべき と考えられる.また,無補修で列車の運行を再開できる損傷度としては,本実験ケース における繰り返し載荷回数が1回の範囲では,列車走行荷重による軸力保持という観点 では,N点程度である.

8.2.4損傷レベル4まで被災した無補強RC牲の補修方法の検討

第6章では,東海道新幹線高架橋の無補強RC柱について,損傷レベル4である履歴ル

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ープの最大荷重がポストピーク領域の降伏荷重の50%を下回るまで損傷した柱部榔こ ついて,簡易な補修による修復方法の可能性を確認するとともに,損傷した柱部材の補 修方法を検討することを目的とし,新幹線高架橋の無補強RC柱を模擬した試験体を用 いて,交番載荷試験により一度試験体に損傷を与え,補修後,再度同一載荷の交番載荷 試験を実施し,以下の4項目について,試験体の各性能の復元効果を検討した.

①損傷度の違いによる復元効果

②補修材料の違いによる復元効果

③繰返し載荷回数が3回と1回との違いおよびひび割れ注入範囲の違いによる復元

効果

④試験体形状の違いおよび断面修復材の補修厚さの違いによる復元効果

その結果,以下の結論を得た.

損傷度の違いによる復元効果の比較においては,初期剛性の復元率は損傷度が大きい 試験体を補修したものほど,復元率が優れた結果であった・また,最大荷重時の荷重復 元率についても,損傷度が最も大きい試験体を補修したものが,元性能を上回る値であ った・一方,じん性率の復元率については,損傷度が大きな試験体を補修したものはど, 復元率が小さい値であった・軸力を保持できなくなる大損傷領域においても,エポキシ 樹脂によるひび割れ注入,エポキシ樹脂モルタルによる断面修復,帯鉄筋の整正を行う ことにより,損傷程度に係わらず,最大荷重は損傷前と同等以上に復元可能であること が明らかとなった・一方,変形性能については,被災度が増すはど復元効果が低下する ため,塑性領域の帯鉄筋の交換,あるいは柱外周被覆補強等が別途必要である.また, 初期剛性についても,既性能に復元できないため,恒久処置として,柱の曲げ剛性を向 上できる外面被覆等の補強が必要である.

補修材料の違いによる復元効果の比較においては,エポキシ樹脂によるひび割れ注入, エポキシ樹脂モルタルによる断面修復,帯鉄筋の整正が有効であった.その復元効果は, 初期剛性,最大耐荷重およびじん性率は81%以上に復元できた.また,ポリエステル製 繊維シートは,N点以降のじん性率の復元効果に大きく寄与することも明らかとなった.

繰返し載荷回数が3回と1回との違いおよびひび割れ注入範囲の違いによる復元効果 の比較では,降伏荷重および最大荷重の復元率には,繰返し回数3回と1回の違いによる 試験方法での影響は見られなかった・繰返し回数の違いによる影響は,ポストピーク嶺 域におけるエネルギー吸収能力で見られるが,試験方法での影響があるとはいえない値 であった・また,塑性化した帯鉄筋を取替えることにより,じん性率および累積吸収エ ネルギーともに100%以上に復元した・最終的には,繰返し回数3回で軸力が保持できな い損傷レベル4まで損傷させたRC柱についても,エポキシ樹脂によるひび割れ注入,損 傷した帯鉄筋の交換および整正,ならびにエポキシ樹脂モルタルでの断面修復による補 修を行うことにより,初期剛性を除いて,保有性能は損傷前の性能と同等以上に復元で

きた・列車運行再開へ向けた応急処置としては,この値は十分な評価を得る値である.

また・柱全面注入と柱基部から1・5D区間への柱部分注入のひび割れ注入範囲の違いでは, 初期剛性の復元率に大きな差はみられなかった.

試験体形状の違いおよび断面修復材の補修厚さの違いによる復元効果の比較では,ど ちらの要因が効果に寄与しているのかを特定できないが,断面修復材の厚さを50Ⅱ皿で 補修したものは,断面修復材の厚さ30Ⅱ皿の場合に比べ,降伏時の荷重の復元率に大き

な効果がみられた.柱下端部では,柱上端部の形状と異なり,正負交番載荷による損傷 がある1面側に局所化しないが,断面修復材の補修厚さの影響のために,塑性ヒンジ箇 所が柱上方に拡大したことにより,損傷度が大きくなることが確認された.したがって,

剛性が大きくなる材料を使用する場合には,断面修復材の補修厚さおよび補修範囲には, 十分留意する必要がある.

8.2.5損傷レベル4まで被災した鋼板巻き補強RC柱の補修方法の検討

東海道新幹線高架橋の鋼板巻き補強RC柱について,損傷レベル4である履歴ループ の最大荷重がポストピーク嶺域の降伏荷重の50%を下回るまで損傷した柱部材につい て,簡易な補修による修復方法の可能性を確認するとともに,補修方法を検討すること を目的として,新幹線高架橋の鋼板巻き補強RC柱を模擬した試験体を用いて,交番載 荷試験により一度試験体に損傷を与え,補修後,再度同一載荷の交番載荷試験を実施し, 試験体の各性能の復元効果を検討した.その結果,以下の結論を得た.

橋軸載荷方向の試験体は,柱基部のひび割れ注入,柱基部および接合部の断面修復, ならびに接合部内の帯鉄筋の整正を施すことにより,初期剛性の復元率は99%,最大荷 重の復元率は126%,N点に対するじん性率は90%,終局変位に対するじん性率は97%, 終局時における累積エネルギー吸収量の復元率は70%であった.また,橋軸直角載荷方 向の試験体は,柱基部のひび割れ注入および断面修復,接合部内の帯鉄筋の整正,並び に接合部の鋼板接着を施すことにより,初期剛性の復元率は100%,最大荷重の復元率 は123%,N点に対するじん性率は116%,終局変位に対するじん性率は87%,終局時 における累積エネルギー吸収量の復元率は76%であった.よって,軸力が保持できなく なるまで損傷した鋼板巻き補強RC柱についても,柱基部のひび割れ注入および断面修 復,接合部内の帯鉄筋の整正,ならびに接合部の鋼板接着を施す修復方法により,元の 性能と同等以上に保有性能が復元できることを確認した.

8.3

今後の課題

高架橋の耐震性能評価においては,Y点からM点までの解析値の荷重が実験値を下回 っていることや,N点付近では逆に解析値の荷重が実験値をやや上回っていることの違 いについて,更なる評価精度の向上に向けて,今後も検討する必要がある,

高架橋の損傷評価においては,本検討結果を用いて,損傷評価を迅速に行えるための 被災高架橋の点検および損傷評価マニュアルを整備する必要ある.

被災高架橋の残存耐力においては,本研究では繰返し回数を3回に設定したが,新潟 県中越地震のように,十数回も同レベルの余震が発生したケースもある.よって,繰返

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