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仮受け措置が必要な損傷度に関する検討

第5章 被災高架橋の残存耐力の推定

5.3 仮受け措置が必要な損傷度に関する検討

5.3.1RC車種試験体の交番載荷試験

(1)試験体の概要

試験体は,表5.2に示す高架橋の柱上端部をモデル化した同一試験体2体である.こ れらの試験体は第4章の試験体と同一であり,本章の試験体C2は第4章における試験 体VC2である.

表5.2 試蕨体の種類

表5.3試巌僻の諸元

表5.4コンクリートの材料試横倍

表5.5 鋼材の材料試横倍

[単位:m]

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載荷点位置M

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手中

u50

軌道側

外側

=√V‑320■l

150150 l,200

図5.1試験体Clおよび試献体C2の配筋図

試験体の諸元を表5.3,コンクリートの材料試験値を表5.4,鋼材の材料試験値を表 5.5,試験体の配筋図を図5.1にそれぞれ示す.

なお,高架橋の柱上端部を模擬した試験体を検討対象としたのは,第4章の検討結果 より,柱上端部と柱下端部では耐震性能に大きな差はみられないが,柱上端部の初期剛

ー 87

性は,柱下端部に比べて25%小さいため,安全側の評価を行うべきと考えたためである.

(2)載荷方法

載荷方法は,第4章と同様であり,交番載荷試験における載荷装置も,第4章の同 4・5に示すものと同じである.交番載荷試験は,両試験体ともに上下方向に逆さまにし た状態で実施した.水平荷重の載荷位置は,試験体の柱長さをせん断スパンとしている ため,実高架橋の柱の中間部となる位置とした.載荷方法は変位制御であり,載荷方向 は橋軸直角方向である.

試験体の降伏変位の設定は,鉄筋の材料試験結果を用いた試験体の事前解析を行い, 設計降伏変位および設計降伏荷重を予測した.この計算値を参考に,交番載荷時におい て,柱基部の最外線の軸方向鉄筋に貼り付けた2箇所のひずみゲージの測定値が,事前 の鉄筋の引張試験により求めた降伏ひずみ2,030〟に達する時点の変位とした.

載荷パターンは,両試験体ともに同じであり,計算降伏荷重の75%の予備載荷と降 伏変位(16y)の整数倍の変位(±16y,±26y,±36y・・・)での正負交番載荷とした.

繰返し回数については,試験体Clが正負3回ずつ,試験体C2が正負1回ずつである.

載荷パターンと繰返し回数の関係を図5.2に示す.

鉛直方向の変位の基準点は,両試験体ともにスラブ天端から載荷点位置までの高さで あり,水平方向の不動点は,反カフレームである.

図5.2 載荷パターンと繰返し回数

(3)加力範囲

水平荷重の加力範囲(交番載荷の終了)は,両試験体とも共通で,高架橋柱の大変形 嶺域までの剛性低下程度および軸力保持状態を確認するため,想定地震力には関係無く, 履歴ループの最大荷重がポストピーク領域における降伏荷重の50%を下回る時点とし た.なお,本実験における試験体においては,この目標加力範囲は,軸力を保持できな

くなった状態であった.

(4)軸力載荷

水平交番載荷中の軸力は,両試験体とも共通で,地震時における実高架橋の柱1本当 りに付加する荷重を想定した(死荷重+片線分の地震時列車荷重+2柱分の変動軸力) 相当の荷重294kNを一定軸力として載荷した.また,試験体C2には,高架橋柱の損傷 程度と列車走行時における軸力抵抗との関係を把握するため,一定軸力とは別に,水平 交番載荷開始前と各載荷ステップにおける負側載荷後に,水平荷重を開放させ,残留変 位の状態で,(死荷重+複線分の列車荷重+衝撃)相当に安全率を考慮した荷重422kN

まで軸力を一時的に載荷した.なお,軸力の管理方法は,第4章の4.3.2の(3)に示す 方法と同一である.

(5)計測項目

計測項目を表5.6に示す.なお,各試験体の変位計の取付け位置は,第4章の国4.7 と同じであり,柱の軸方向鉄筋および帯鉄筋のひずみゲージの取付け位置も,第4章の 図4.8と同様である.

表5.6 計側項目

計 測 項 目 計 測 位 置

水平作用荷重 鉛直作用荷重 柱の水平変位 柱の鉛直変位

●■■l■ ●l■ ■■■l■l■ ■l■■ ■■‑

軸方向鉄筋のはらみ出し変位

■■

■l■■ ■■

軸方向鉄筋の抜け出し変位 軸方向鉄筋のひずみ

■■■■

帯鉄筋のひずみ ひび割れ発生・進展状況

ジャッキ取付ロードセル ジャッキ取付ロードセル 柱基部から300mmの間隔

柱頭部,柱基部の鉛直変位および水平変位計測位置間の軸方向変位 1D(D:柱幅300mm),2D高さのはらみ出し変位

柱基部からの軸方向鉄筋の抜け出し変位

柱基部および柱基部から150Ⅲ皿下方の軸方向鉄筋のひずみ 柱基部から0.5Dの高さ付近の帯鉄筋のひずみ

載荷ステップごとのひび割れ状況

(6)荷重一変位関係と損傷状況

a)試鹸体Cl

降伏変位は正側が13.0mm,負側が‑12.7mmであり,正側の降伏荷重は79.OkN,負側 の降伏荷重は‑82.9kNであった.‑26yで最大荷重94.8kNに到達し,‑5∂yの1回目の載 荷時において,かぶりコンクリートの剥落と同時に降伏荷重を下回った.‑6∂yの1回

目の載荷時で帯鉄筋が破断し,降伏荷重の50%まで急激に載荷荷重が低下したため,こ こで載荷を終了した.荷重一変位履歴曲線を図5.3に示す.

b)試験体C2

降伏変位は正側が13.2mm,負側が‑13.0mmであり,降伏荷重は正側が80.1kN,負側

89

が‑81・6釧であった・最大荷重は‑2∂yで96.7kNであり,降伏荷重を下回った載荷ステ ップは‑6∂yであった.終局は‑7∂y載荷後の422畑の軸力増載荷時において,軸力保 持が不能となった.荷重一変位履歴曲線を固5.4に示す.

図5.3 試験体Clの荷重一変位履歴曲線

ー100 ‑6∂y

‑50 ‑2∂y o‑1∂y 50 100

変位(mn)

国5.4 試験体C2の荷重一変位履歴曲線

(7)繰返し回数の違いによる損傷状況の相違

交番載荷試験における各載荷ステップにおけるひび割れ進展状況を図5.5〜5.18に, 試験体Clの各線返し回数時の包絡線と試験体C2の包路線の比較を国5.19に示す.

両試験体ともに,最大荷重の載荷ステップは‑2∂yであり,荷重の大きさもほぼ同値 である.M点における損傷状況は,図5.gと図5.10の比較から,繰返し回数の多い試 験体Clに若干ひび割れ本数が多く見られる程度で,損傷状況に大きな違いはない.ま た,図5.1gにおける試験体Clの各線返し回数の包絡線と試験体C2の包路線の比較で は,N点に至る前の±4∂yまでは,繰返し回数が多くなるにつれて,水平荷重の低下が 除々に進行しているものの,顕著な差は見られていない.‑5∂yの載荷ステップにおい て,損傷に大きな差が生じており,試験体C2はかぶりコンクリートの剥落は柱基部の

一部であるが,試験体Clではかぶり剥落が広範囲であり,かぶり剥落とともに大きな 荷重の低下が生じている.これは,繰返し回数によるひび割れ進展度から,繰返し回数 の多い試験体Clでは早い段階でかぶりが剥落し,同時に帯鉄筋のフックが外れたこと

により,荷重が大きく低下したものと考えられる.

試験体Clと試験体C2の終局時(交番載荷試験終了時)における損傷状況をそれぞ れ写真5.1〜5.4に示す.なお,試験体Clの終局は‑66yであり,試験体C2の終局は,76y である.

終局時の損傷状態は概ね同一で,軸方向鉄筋の座屈長もはぼ同一で接合部側が約 27cm,横梁側が約32cmであり,損傷形態も同一であった.

以上より,繰返し回数の違いによる損傷状況の違いは,N点に到達する前後から顕著 に違いが現れ,かぶりコンクリートの剥落範囲に大きな差が生じていることである.

ヽL

A面

図5.5試験体Cl(0.756,載荷役)

91‑

A面

図5.6試験体C2(0.756,載荷後)

D面 A面 B面 C面

90

80

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0

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A面

一ノ Q

C面

図5.7試鹸体Cl(16,載荷役)

D面 A面 B面 C面

90

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30

0

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A面

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C面

図5.9試験体Cl(26,載荷役)

D正l A面 B面 C面

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80

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A面

図5.8試躾体C2(16,載荷役)

D面 A面 B面 C面

90

¢0

30

0

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A面

図5.10試臓体C2(26,載荷後)

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A面

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Q

C面

図5.11試験体Cl(36y載荷籠)

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1

ヽ/

J

A面

】′ Q

C面

憫個

‑\

⑳■:調

棟梁上面

図5.13試献体Cl(46,載荷役)

93

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̲′■T

̲′

A面

固5.12試験体C2(36,載荷役)

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̲.′T

一■′

A面

Q l

C面

固5.14試験体C2(46,載荷役)

/

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n

A面

C面 一\

⑳:剥落箇所 ◎‥かぶり浮き箇所

図5.15試躾傭Cl(56,載荷役)

/

/

/

/

A面

l

C面

リ落箇

一\

⑳‥調

棟梁上面

図5.17試験体Cl(66,載荷役)

H

q

1

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ニム

一′

A面

////// Q

⑳+≠√

横梁上面

図5.16試験体C2(56,載荷役)

/‡

/

多・ノ

A面

.∠d内凸d Q

C面

落箇

⑳:剥

横梁上面

固5.18試験体C2(66y載荷役)

‑100 ‑50 0

変位(mm)

図5.19 包結線の比較

写真5.1試験体Cl(‑66,)

写真5.3試験体C2(‑76,)

写耳5.2試臓体Cl(‑66y)

写真5.4試躾体C2(‑76,)

95

(8)繰返し回数の違いが初期剛性へ及ぼす影響

試験体Clの各線返し回数時と試験体C2の初期剛性の比較を表5.7に示す.なお, ここでいう初期剛性とは,降伏点に対する割線剛性である.また,表中の低下割合は試 験体Clの同一変位における1回目の初期剛性に対する2回目,3回目の比率を示す.

試験体Clの1回目に対する2回目の初期剛性の低下率は3%であり,3回目の初期剛 性の低下率は5%である.本研究における繰返し回数は3回であるが,この範囲におい ては,初期剛性への影響はみられない.

よって,RC柱の柱軸方向鉄筋が降伏するY点における初期剛性には,同一繰返しに よる影響はみられない.

表5.7 初期剛性の比載

Cl

1回目 6.30 100

負側 ‑82.9 ‑12.7 6.53

2回目 正側 76.5 13.1 5.84

6.10 97

負側 ‑83.4

‑13.1 6.37

3回目 正側 75.2 13.1 5.74

5.96 95

負側 ‑80.4 ‑13.0 6.18

C2 1回目 正側 80.1 13.2 6.05

6.17

(9)繰返し回数の違いがポストピーク領域の耐力ヘ及ぼす影響

試験体Clの最大荷重以降の剛性を表5.8に示す.なお,ここでは,水平荷重を水平 変位で除した値を剛性とすることとした.また,表中の比率は,各載荷ステップにおけ る第1回目の剛性に対する第2回目と第3回目の比である.

ポストピーク領域においても,4∂yまでは,繰返し回数の増加に伴う剛性の低下比率 は,2回目の載荷で2〜3%,3回目の載荷でも2〜5%であり,大きな剛性低下は見られ ない.一方,5∂yでは,2回目の載荷で10%,3回目の載荷では21%と,剛性の低下が 顕著に大きくなっている.また,周5.13と図5.15の試験体Clの載荷ステップの損傷 状況の比較から,4∂y載荷終了後の試験体の損傷状況は,無数のひび割れが生じている が,顕著なコンクリートの剥落は生じていないが,5∂y載荷終了後の試験体の損傷状況 では,柱部のコンクリートの剥離,剥落が広範囲に発生している.このことから,繰返 し回数の違いにより,剛性が大きく低下する閥値は,かぶりコンクリートの剥離,剥落 の開始時期と考えられる.