第7章 損傷レベル4まで被災した鋼板巻き補強RC柱の補修方法の検討
7.4 実験結果と考察
7.4.7 軸力抵抗の復元力
試験体Cs2および試験体Cs2Rの負側の各載荷ステップにおける残留変位(軸力294kN 載荷時)と軸力増載荷時(422kN)の載荷点における鉛直変位との関係を図7.13に示 す.‑14∂yまでの範囲(水平変位112m皿)では,軸力を増加させても,水平変位は小さ くなる傾向にある.‑146yまでの範囲では,軸力を294kNから422kNまで増加させた 場合における水平変位Hdと鉛直変位Vdの最大移動量の絶対値は,試験体Cs2が Hd=1.7mmと=VdO.2mm,試験体Cs2RがHd=1.5mmとVd=0.1mmであり,第5章の5.4
で検討した無補強RC柱の試験体の結果と同様に,N点変位までの残留変位であれば, 増載荷軸力による影響はわずかである.
一∈∈)史観世豪e粗壁嘔荘蒋 ● ‑1∂
14∂y
ミ㌔、
と/
へや
‑0‑Cs2(残留変位)
●Cs2(軸力増載荷)
☆Cs2R(残留変位)
▲Cs2R(軸力増載荷)
50 ‑120 ‑90 ‑60 ‑30 0
水平変位(mm)
図7.13 残留変位と鉛直変位との関係
ー165‑
7
6
5
4
3
2 1
0
‑l
7.5
まとめ
新幹線標準高架橋の鋼板巻き補強RC柱を模擬した試験体を用いて,高架橋の橋軸方 向および橋軸直角方向を対象に,交番載荷試験により一度試験体に損傷を与え,補修後, 再度,同一載荷の交番載荷試験を実施し,各種補修方法による耐震性能の復元効果を検 討した.その結果,以下の結論を得た.
(1)橋軸載荷方向の試験体は,柱基部のひび割れ注入,柱基部および接合部の断面修復, ならびに接合部内の帯鉄筋の整正を施すことにより,初期剛性の復元率は99%,最大 荷重の復元率は126%,N点に対するじん性率は90%,終局変位に対するじん性率は 97%,終局時における累積エネルギー吸収量の復元率は70%であった.
(2)橋軸直角載荷方向の試験体は,柱基部のひび割れ注入および断面修復,接合部内の 帯鉄筋の整正,ならびに接合部の鋼板接着を施すことにより,初期剛性の復元率は 100%,最大荷重の復元率は123%,N点に対するじん性率は116%,終局変位に対す るじん性率は87%,終局時における累積エネルギー吸収量の復元率は76%であった.
(3)よって,軸力が保持できなくなるまで損傷した鋼板巻き補強RC柱についても,柱 基部へのエポキシ樹脂によるひび割れ注入,樹脂モルタルによる断面修復,接合部内
の帯鉄筋の整正,ならびに接合部への鋼板接着を施す修復方法により,元の性能と同 等以上に保有性能が復元できた.
参考文献
1)鉄道総合技術研究所編:既存鉄道コンクリート高架橋柱等の耐震補強設計・施工指針鋼 板巻立て補強編,1999.7.
2)たとえば,鉄道総合技術研究所編:炭素繊維シートによる鉄道高架橋柱の耐震補強 工法設計・施工指針,1996.7.
3)鉄道総合技術研究所編:アラミド繊維シートによる鉄道高架橋柱の耐震補強工法設 計・施工指針,1999.11.
4)津吉 毅,石橋忠良,小林将志,田附伸一:鉄筋を柱外周に配置し柱の四隅で定着 する既設RC柱の耐震補強方法に関する研究,土木学会論文集,No.662,V49,
pp.205‑216,2000.11.
5)小林 薫,石橋忠良:RC柱の一面から施工する耐震補強工法の鋼板の補強効果に 関する実験的研究,土木学会論文集,No.683,V52,pp.75‑89,2001.8.
6)稲熊 弘閑 雅樹:鉄道高架橋柱のポリエステル繊維巻き耐震補強に関する実験 的研究,土木学会構造工学論文集,Ⅶ1.50A,pp.515‑526,2004.3.
7)宮本征夫,石橋忠良,斉藤俊彦:既設橋脚の鋼板巻き耐震補強方法に関する実験, 日本国有鉄道,構造物設計資料,No.89,pp.49‑53,1987・3・
8)稲熊 弘,閑 雅樹:鉄道高架橋の鋼板巻き補強柱の復旧方法に関する実験的研究, コンクリート工学年次論文集,Ⅶ1.27,No.2,pp.1057‑1062,2005・6・
9)稲熊 弘,閑 雅樹,岩田秀治:載荷方向の違いによる高架橋柱の耐震性能に関す る実験的研究,コンクリート工学年次論文集,Ⅶ1・26,No・2,pp・1345‑1350,2004・7・
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