第 5 章 PNIPAM 修飾ゼオライト複合吸着材の合成と
5.3 結果と考察
5.3.1 試料のキャラクタリゼーション
83
84
Table 5-2 Crystallite size of magnetite by Scherrer equation.
(hkl) 2θ /º Crystallite size (Dhkl) /nm
Magnetite
(200) 30.3 43.8
(311) 35.6 44.4
(400) 43.2 45.5
(422) 53.6 34.7
(511) 57.1 29.4
(440) 62.7 36.3
Fe10.7-MZC
(200) 30.3 13.8
(311) 35.6 16.8
(511) 57.1 16.5
(440) 62.7 17.6
PMZ
(200) 30.3 19.3
(311) 35.6 16.8
(511) 57.1 10.2
(440) 62.7 19.5
Fig.5-4 XRD patterns of magnetite, zeolite, Fe10.7-MZC and PMZ.
85
5.3.1.3 FT-IRスペクトル
Fig.5-5に3700-2500 cm-1と1800-1000 cm-1の間における各試料のFT-IRスペク トルを示す。天然ゼオライトでは、1050 cm-1がSi-O伸縮振動、1640 cm-1が吸着 した水分子に帰属された[9]。PNIPAMでは、2970、2938、2875 cm-1がC-H伸縮 振動、1640 cm-1がアミド基由来の C=O 伸縮振動、1540 cm-1がアミド基由来の N-H変角振動、1425 cm-1がC-H変角振動に帰属された。これらはPNIPAM特有 のピークであり、PMZでも見られたことから、ゼオライト上にPNIPAMが修飾 されていることが示唆された[10-12]。しかし、PMZ ではこれらのピークは
PNIPAMと比較して強度が小さかった。これは、ゼオライト上に修飾されている
PNIPAM量が少ないためであると考えられる。
5.3.1.4 SEM測定による表面状態の観察
Fig.5-6 に各吸着材の表面状態を観察したSEM 画像と Fig.5-7に吸着材表面上
の鉄のマッピング画像を示す。Fig.5-6 (a)から天然ゼオライトは、一部が細長い 形態をとっていることが確認され、Fig.5-6 (b)から Fe10.7-MZC では、表面に微 細な粒子が存在していることが確認された。しかし、Table 5-2 で示したように マグネタイトの結晶子サイズは最大でも約20 nmであり、SEM画像では鉄の存 在有無を評価することは出来ないと考えられる。Fig.5-7 の Fe マッピングデー
Fig.5-5 FT-IR spectra of zeolite, PNIPAM, Fe10.7-MZC and PMZ.
Akita University
86
タでは、天然ゼオライト上には鉄はほとんど存在していなかったのに対し、
Fig.5-7 (b)や(c)では鉄が表面上に高分散状態で存在していることが分かる。この結果
から、ゼオライト上には鉄が担持されていることが確認され、Fig.5-6 (b)の微粒 子は鉄の二次粒子によるものであると考えられる。Fig.5-6 (c)の画像からPMZの 表面は、Fe10.7-MZCよりも滑らかになっていた。これはPNIPAMがFe10.7-MZC 表面に修飾されているためであると考えられる。また、Fig.5-7 (c)よりPMZ表面 にも鉄の担持が確認されたことから、PNIPAMは非常に薄い膜のようにMZC上 に存在していると考えられる。
Fig.5-6 SEM photographs of (a) zeolite, (b) Fe10.7-MZC and (c) PMZ samples.
The scale bars in the top and bottom of photographs are 6 µm and 1 µm, respectively.
Fig.5-7 SEM images and Fe mapping by EDX.
The red scale bars of photographs are 3 µm.
87
5.3.1.5 TG測定による重量減少率
Fig.5-8に、ゼオライト、Fe10.7-MZC、PMZのTG曲線を示す。ゼオライトお よびFe10.7-MZCの重量減少率は、150から600ºCまでの間でそれぞれ約4およ
び 5 wt%であった。この重量減少は天然ゼオライトに含まれる有機物質が水や
CO2などとして分解したためであると考えられる。さらに、PMZ の重量減少率 は、150-600ºC の間で約 8 wt%であった。Fe10.7-MZC の重量減少率を差分する と、PMZの重量減少率は約3 wt%であり、これはFe10.7-MZCに修飾したアリル
基やPNIPAMが分解したために生じた減少だと考えられる[13]。しかし、5.2.1に
示したように、1 gの MZC に対して 2 g の NIPAM を加えたのにも関わらず、
MZCには約3 wt%しかPNIPAMは修飾されなかった。これは、NIPAM重合時に
起こる2 つの反応が原因であると考えられる。1 つ目の反応は、MZC 上のアリ
ル基とNIPAMの反応、もう一つは、水溶液中での NIPAM同士の反応である。
2つの反応のうち、水溶液中でのNIPAM同士の反応の方が起こりやすいと考え られるため、Fe10.7-MZC表面へのPNIPAM修飾量は3 wt%に留まったと推測さ れる。
Fig.5-8 TG profiles of zeolite, Fe10.7-MZC and PMZ under air atmosphere.
Akita University
88
5.3.1.6 窒素吸脱着法によるBET表面積測定
Table 5-3 にゼオライト、Fe10.7-MZC、PMZ の BET表面積および代表細孔直 径を示す。Fe10.7-MZCの表面積および細孔径はゼオライトとほとんど変化しな かった。このことから、マグネタイトの担持は、ゼオライトの表面や細孔構造に ほとんど影響を与えないことが分かった。一方、PMZ の表面積は、ゼオライト
やFe10.7-MZC と比較して著しく減少した。これは、Fe10.7-MZC 表面上に修飾
された PNIPAM が、窒素雰囲気中で体積収縮しており、ゼオライトの細孔を閉
塞したためであると考えられる。
Table 5-3 BET surface area and representative pore diameter of zeolite, Fe10.7-MZC and PMZ.
BET surface area (m2/g)
Representative pore diameter determined by MP method (nm)
Zeolite 333 1.1
Fe10.7-MZC 308 0.8
PMZ 19 0.9