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第 5 章 PNIPAM 修飾ゼオライト複合吸着材の合成と

5.2 実験方法

5.2.1 試料および試薬

宮城県産モルデナイト型天然ゼオライトを75-150 μmの粒径に分級後、110ºC で24 h乾燥して吸着材として使用した。マグネタイトの合成に使用したFeCl3・ 6H2Oは和光純薬(株)から購入し、FeCl2・4H2O、28 wt%のアンモニア水はナカ ライテスク(株)から購入した。ゼオライトに PNIPAM を修飾するための足場 としてシランカップリング剤であるアリルトリエトキシシランを使用し、信越 化学工業(株)から購入した。PNIPAM を修飾するために使用したNIPAM、過 硫酸アンモニウム(APS)、N,N,N’,N’-tetramethylethlenediamine(TMEDA)は2.2.1 に記載した試薬と同じ物を使用した。吸着実験に使用するCsClはナカライテス クから購入した。

5.2.2 PMZの合成方法

5.2.2.1 マグネタイト-ゼオライト複合体(MZC)の調製

FeCl3・6H2O(50.06 g)を200 mLの蒸留水に溶解させた1MのFe3+水溶液と、

FeCl2・4H2O(19.88 g)と35 wt% のHCl水溶液(8.4 mL)を50 mLの蒸留水に 溶解させた2MのFe2+水溶液をそれぞれ調製した。Fe3+水溶液(80 vol%)とFe2+

水溶液(20 vol%)を混合し、0.8 M Fe3+と 0.4 M Fe2+を含む HCl 水溶液である Fe3+/Fe2+水溶液を調製した。その後、ゼオライト(17 g)がアンモニア水溶液100 mLに加えられ、その懸濁液は溶存酸素除去のために、30 min窒素バブリングを 行いながら撹拌された。30 min後、Fe3+/Fe2+水溶液が 0.3 mL/min の速度で滴下 され、懸濁液はドライアスピレーターによって吸引濾過された。この濾過物は蒸 留水で洗浄され、60ºCで48 h乾燥された。本研究では、Fig.5-2 (a)に示すように Fe3+/Fe2+水溶液量(10、28.9、44.8 mL)およびアンモニア水溶液濃度(Fe2.4-MZC のとき1 M、Fe5.0-MZCのとき2 M、Fe10.7-MZCのとき3 M)を変化させるこ とによって、3種類のMZC(Fe2.4-MZC、Fe5.0-MZC、Fe10.7-MZC)を調製した。

試料名の数値は、室温で塩酸により抽出された後、高周波誘導結合プラズマ発光

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分光分析法(ICP-AES)(Seiko Instruments, SP5510)によって測定された鉄の担持 量を示す。

5.2.2.2 PNIPAM-MZC複合体の合成(PMZ)

シランカップリング剤として 1 mL のアリルトリエトキシシランと 4 g の Fe10.7-MZCが120 mLのトルエン中に加えられ、120ºCで4 h還流しながら撹拌 された。Fig.5-2 (b)に示すように、アリル基を修飾したFe10.7-MZCは濾過され、

エタノールで洗浄された後、60ºCで1日乾燥された。2 g のNIPAM とアリル基 修飾Fe10.7-MZC 1 gを100 mLの蒸留水に加え、この懸濁液はN2により10 min バブリングされ、溶存酸素を除去した。N2 バブリングしながら、重合開始剤と して7.5 mg/mLのAPS水溶液を5 mL加え、室温で2 h撹拌された。2 h撹拌後、

重合促進剤として20 μL/mLの TMEDA水溶液を8 mL加え、室温でさらに 2 h 撹拌された。この時、重合開始剤および重合促進剤は10 min超音波処理を行な い、溶存酸素を除去した後に加えた。その後、生成物は濾過され、減圧下で60ºC、 1日乾燥し、Fig.5-2 (c)に示すようなPMZを得た。

Fig.5-2 Schematic illustration of synthetic method of PMZ.

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5.2.3 試料の構造評価 5.2.3.1 ICP-AES測定

6 M塩酸 10 mLに試料1 gを混合し、マイクロチューブローテーターを用い

て24 h撹拌し、鉄を抽出した。その後、シリンジ(孔径:1.20 μm)で濾過し、濾 液を希釈した。このとき、試料に応じて100-1000倍に希釈し、希釈した溶液を ICP-AES(Seiko Instruments、SPS5510)で測定した。鉄標準溶液(100 ppm)か ら、濃度50, 20, 10, 5, 2, 1 ppmの溶液を作り、検量線を作成して鉄担持量を算出 した。

5.2.3.2 X線回折(XRD)分析

合成した試料の結晶構造は、XRD(Rigaku、Ultima IV)を用いて測定した。測 定には、40 kV、40 mA、CuKα線を用い、D/tex Ultra の高速X線検出器で検出 した。試料は発散スリット1/2º、散乱スリット開放、受光スリット開放、10º/min の速度、0.02º間隔で3-80ºまで走査された。また、下記に示すScherrerの式より マグネタイトの結晶子サイズ(Dhkl)を算出した。

𝐷ℎ𝑘𝑙 = 𝛽𝑐𝑜𝑠𝜃𝐾𝜆 (5-1)

Dhkl [nm]は(hkl)面に垂直方向の結晶子の大きさ、θは入射角、λはX線波長であ り、本研究ではλ=0.154 nmを用いた。β [rad]は回折線幅、Kは定数でβに半値幅 を用いたためK=0.9とした[7]。

5.2.3.3 フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)

乾燥試料 0.5 mg と KBr 99.5 mg を混合して作成した試料ペレットを FT-IR

(Shimadzu、IRAffinity-1)によって分析することで、試料表面の構造を評価した。

FT-IRの測定は、波長範囲4000-600 cm-1、分解能2 cm-1、積算回数16の条件で 行われた。

5.2.3.4 走査型電子顕微鏡(SEM)測定

試料の表面形態は電解放射型SEM(Hitachi、S4500)を用いて加速電圧20 kV で観察され、エネルギー分散型X線分析(EDX)により、表面上のFeの存在状 態を確認した。

5.2.3.5 熱重量分析(TG)

TG分析装置(Shimadzu、TGA-50)を用いて、35 mL/minの空気雰囲気下、昇 温速度10ºC/minで150ºC、10 min保持した後、同じ昇温速度で900ºCまで加熱 した。この時、150ºC、10 min後の試料重量を100 wt%とし、試料に固定化され

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ているPNIPAM量を算出した。

5.2.3.6 窒素吸脱着測定

試料の比表面積は、全自動吸脱着量測定装置(MicrotracBEL BELSORP-mini II) を用い、77 Kで窒素吸脱着法によって測定された。表面積は、

Brunauer-Emmett-Teller(BET)法により相対圧力0.05-0.3の範囲で計算された。代表細孔直径はマ

イクロポア分布(MP)法により求められた。

5.2.4 吸着試験

蒸留水250 mLに3.17 g のCsClを加えることによって、10000 ppmのCs+を 含む水溶液を調製した。10000 ppm の Cs+水溶液を 100 倍希釈することにより、

100 ppmのCs+水溶液を1000 mL調製し、このCs+水溶液に試料(ゼオライト、

Fe10.7-MZC、PMZ)1 gを加え、撹拌速度600 rpmで25ºC、90 minマグネチック スターラーによって撹拌された。この上澄み液を15、30、60、90 minに25 mL ずつ採取し、孔径0.22 μmのシリンジフィルターを用いて濾過された。濾過後、

濾液は蒸留水で希釈され、原子吸光光度計(Shimadzu、AA-6800)を用いてCs+ 濃度が測定された。

5.2.5 HGMSを用いた吸着材除去試験

Fig.5-3にHGMS装置の概略図を示す。吸着材として10 gのゼオライトまたは

MZC、PMZと4 Lの水が撹拌槽に入れられ、撹拌速度120 rpmで3 min撹拌さ れた。その後、この懸濁液を5 L/minの速度で3 min磁気フィルターに通過させ、

磁気フィルターに捕集された試料を回収するために、逆洗浄槽に入れた 2 L の 水を用いて洗浄した。洗浄後、捕集された試料は、磁気フィルター下部のシリン ダーの底に移動し、移動した捕集試料を含む懸濁液は濾過された。回収された濾

過物は 110ºC で 1 日乾燥され、乾燥後の試料重量を測定し、これを除去量とし

た。PMZの場合はLCST以上の50ºCでもHGMSによる除去試験を行った。PMZ と水を含む4 Lの懸濁液は高速撹拌機(As one、ST-200)を用いて200 rpm、20ºC で撹拌した後、20ºCから50ºCに加熱した。懸濁液が50ºCに達したとき、HGMS の撹拌槽に移動し、上記と同様の手法でHGMS除去試験を行った。吸着材の除 去率は下記の(5-2)式を用いて算出された。

除去率 (wt%) = 吸着材除去量 (g)

吸着材添加量 (g)× 100 (5-2)

対照実験として、ゼオライト(10 g)とマグネタイト(0.5または1 g)を物理

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混合(magnetite-zeolite)した場合のHGMS除去試験を行った(マグネタイト中

の鉄含有量は3.5または6.6 wt%に相当する)。この時の除去率の算出には以下の (5-3)式を用いた。

除去率 (%) = ゼオライト+マグネタイト除去量 (g)

ゼオライト+マグネタイトの添加量 (g)× 100 (5-3)

また、PMZの再利用性を検討するため、HGMS除去試験後、除去したPMZを 十分に乾燥させ、HGMSによる繰り返し除去試験を20ºCで行った。この操作を 2回繰り返した。

Fig.5-3 Illustration of HGMS apparatus.

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