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第 3 章 PDMA を凝集剤として用いたベントナイトの凝集効果と

3.3 結果と考察

3.3.3 種々の pH および温度における PDMA の凝集効果の検討

3.3.3.1 沈降体積および沈降速度

pHを3、5、8、11に調整したベントナイト懸濁液を用い、PDMA濃度を変化 させて25ºCで30 minの沈降試験を行った。30 min後の沈降体積の様子を Fig.3-7に示す。Fig.3-7 (a)に示すように、PDMAを加えなかった場合、pH11(pH調整 なし)ではベントナイトの沈降および堆積を目視で確認することができなかっ た。これは、pH5、8についても同様であった。一方、pH3では、ベントナイト の沈降が観察された(Fig.3-7 (g))。これは2.3.1で既に述べたように、pHを低く すると H3O+がベントナイトの edge 部分に吸着し、層の一部が正に帯電したた め、ベントナイト層同士が静電的に強く引き合い凝集物を形成したと考えられ る。また、Fig.2-18に示したようにH3O+がベントナイト層間に入り、更に凝集し たため、ベントナイトの沈降が観察されたと考えられる。

上記と同様の pH 調整を行ったベントナイト懸濁液を使用し、PDMA 濃度を 変えた場合のベントナイトの沈降体積変化をFig.3-8に示す。Fig.3-8 (a)に示すよ うに、pH11のベントナイト懸濁液では、20 ppmになるようにPDMA を加えて もベントナイトの沈降を確認できなかった。一方、PDMAを40 ppmの濃度に調 整した場合、目視での凝集物は確認できなかったが、ベントナイト粒子が堆積し ていく様子が観察され(Fig.3-7 (b))、沈降体積のわずかな増加が確認された。

PDMAを100 ppm 以上の濃度にした時、ベントナイトが沈降している様子が確

認された(Fig.3-7 (c))。この結果から、PNIPAMを凝集剤として用いた場合とは 異なり、PDMAは25ºC、pH11の条件でもベントナイトを凝集することが分かっ

た。Fig.3-8 (b)に、ベントナイト懸濁液をpH8に調整し、PDMAを加えた場合の

結果を示す。PDMA を2 ppmの濃度にした時、ベントナイト粒子の堆積が起こ り(Fig.3-7 (d))、5 ppm以上の濃度で凝集物が、沈降している様子を確認した。

Fig.3-8 (c)から、pH5ではわずか1 ppmのPDMA濃度で凝集物の沈降が確認され

Fig.3-7 Photographs of bentonite sediments with PDMA at 25ºC after 30 min.

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た(Fig3-7 (e))。pH3ではFig.3-7 (g)からPDMAを加えなくてもベントナイトが 沈降し、更に 1 ppm になるよう PDMA を加えた場合、沈降速度は速くなった

(Fig.3-7 (h))。

50ºC、30 min後の沈降試験の結果をFig.3-9に示す。50ºCで沈降試験を行った 場合、pHにかかわらずベントナイト凝集物は液面に浮上した。しかし、pHが低 くなると、浮いているベントナイト凝集物の量は減少した。

PDMA濃度を変化させた場合の25ºCおよび50ºCでの沈降速度の変化を Fig.3-10に示す。図中の沈降速度はFig.3-8の沈降体積が40 mLに到達した時点の接線 の傾きを求めており、終端速度を示す。25ºCでは、pH11の場合、PDMA濃度を

100-300 ppmにしても沈降速度はほぼ同じであった。pH3、5、8に調整したベン

トナイト懸濁液では、PDMAをそれぞれ20、20、50 ppmの濃度にした場合に最 も速くなり、更にPDMAを増加させると、沈降速度が遅くなった。また、PDMA

を 50 ppm 以上の濃度にした場合、pH3, 5 での沈降速度は pH8 よりも遅くなっ

た。一方、50ºC では、25ºC と比較して沈降速度が速くなったことが分かった。

そして、pH3の場合、PDMAの濃度が20 ppmの時に、沈降速度が最も速くなっ

た。加えて、ベントナイト懸濁液の pH に依存して最適な PDMA濃度が変化す ることも分かった。

Fig.3-8 Change in sedimentation volume with time for the suspension containing various PDMA concentrations

at (a) pH11, (b) pH8, (c) pH5 and (d) pH3 at 25ºC.

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Fig.3-10 Change in sedimentation rate with PDMA concentration at pH3, 5, 8 and 11 at (a) 25ºC and (b) 50ºC.

Fig.3-9 State of sedimentation test after 30 min with PDMA at 50ºC.

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沈降速度が pHや PDMA 濃度によって、なぜ変化するかを考察するために、

沈降試験後の凝集物を顕微鏡で観察した。25ºC の結果を Fig.3-11、50ºC の結果 をFig.3-12 に示す。PDMA 無添加の場合の凝集物の写真を(a-d)に、PDMA を添 加した場合の凝集物の写真を (e-p)に示す。どのpHでもPDMAを加えることに よって凝集物が観察され、PDMAによる凝集効果が確認された。

Fig.3-11に示すように25ºCの場合、pH11 では20、100 ppmのPDMA 濃度条 件で凝集物が大きくなる傾向が観察された(Fig.3-11 (e), (i))。pH8では、20 ppm のPDMA濃度で0.5-1 mmほどの大きな凝集物が観察され(Fig.3-11 (f))、100 ppm のPDMA濃度では更に大きくなった凝集物が確認された(Fig.3-11 (j))。pH3、5 では、20 ppmのPDMA濃度で1 mm以上の大きな凝集物が観察された(Fig.3-11 (g), (h))。しかし、100 ppmの場合、pH8の場合とは異なり、凝集物はわずかに小 さくなった(Fig.3-11 (k), (l))。300 ppmのPDMA濃度にすると、pHにかかわら ず、ベントナイト凝集物が小さくなり(Fig.3-11 (m-p))、pH8ではより細かい凝 集物の生成も同時に確認された。ここで、沈降速度と顕微鏡による凝集物の観察 結果から、pH11およびpH3-8の20 ppm以下または100 ppm以上のPDMA濃度

Fig.3-11 Photographs of bentonite suspension adjusted to various pH by adding HCl at 25ºC. (a)-(d) Without PDMA, (e)-(h) with 20 ppm, (i)-(l) with 100 ppm and (m)-(p) with 300 ppm of PDMA. The scale bar in the photographs is 1 mm.

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では、凝集物が大きくなると沈降速度が速く、凝集物が小さくなると沈降速度が 遅くなっており、2.3.3.1 (1)でも述べたようにストークスの法則が成り立ってい ると考えられる。しかし、pH3-8のPDMA濃度が20-100 ppmの間では、凝集物 サイズのわずかな変化にも関わらず、沈降速度が大きく異なる結果となった。

Fig.3-12 (a-d)に示すように50ºCでPDMA無添加の場合、ベントナイトの凝集 傾向および凝集状態は 25ºC の場合と殆ど同じであった。Fig.3-12 (e-h)および Fig.3-12 (m-p)に20 ppmおよび300 ppmのPDMA濃度にした場合のベントナイ ト凝集物の様子を示すが、25ºC で形成されたベントナイト凝集物(Fig.3-12

(e-h)、(m-p))と比較して更に大きくなったことが分かる。Fig.3-3 からも分かるよ

うにpH11では、PDMAのLCSTは43ºC付近であるため、温度に応答してPDMA が収縮したことでベントナイト凝集物が大きくなったと考えられる。一方、pH8

以下でのLCSTは、3.1.1 で既に述べたように60ºC以上にあると考えられるが、

50ºCでの凝集物は25ºCよりも大きくなった。ここで、pH6、0.5 g/dLのPDMA 水溶液を用いて25ºC及び50ºCでの比粘度を測定した結果、それぞれ11.9、11.1

Fig.3-12 Photographs of bentonite suspension adjusted to various pH by adding HCl at 50ºC. (a)-(d) Without PDMA, (e)-(h) with 20 ppm, (i)-(l) with 50 ppm and (m)-(p)

with 300 ppm of PDMA. The scale bar in the photographs is 1 mm.

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と昇温により低くなることが分かった。これは、PDMA が温度の上昇に伴い体 積収縮したことを示しており、pH8以下でも50ºCの温度で凝集挙動を示したと 推測される[15]。

25ºCおよび50ºC における沈降試験30 min後の上澄み液の濁度から、ベント ナイトの浮遊率を算出した結果を Fig.3-13 に示す。50ºC での沈降試験ではベン トナイト凝集物が浮いたため、ここでは凝集物の存在しない領域から上澄み液 を採取した。25ºCの場合、pH11では、300 ppmの濃度でベントナイト浮遊率は

13 wt%と最も小さくなった。pHが低くなるに伴い、少ないPDMA量で浮遊率が

低下し、pH3ではわずか1 ppmの濃度でベントナイト浮遊率は1 wt%未満になっ た。逆に、pH11ではPDMAを300 ppm、pH3、5、8では100 ppm以上の濃度に した場合、ベントナイト浮遊率が増加する傾向が確認された。一方、50ºC の場 合、pH11では濁度の増加が100 ppm以上の濃度で起こったこと以外は、ベント ナイト浮遊率は25ºCの結果とほとんど同じであった。

Fig.3-13 Ratio of floating bentonite in the supernatant solution with PDMA concentration at (a) 25ºC and (b) 50ºC.

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