第 3 章 PDMA を凝集剤として用いたベントナイトの凝集効果と
4.2 実験方法
4.2.1 試料および試薬
75 μm以下に粉砕した群馬県産の天然ベントナイトを使用した。このベントナ
イトの粒度分布およびゼータ電位は、既に2章で述べられている。
PDMAの合成に使用したN,N-(dimethylamino)ethyl methacrylate(DMA)、過硫 酸アンモニウム(APS)は、3.2.1に示した試薬と同じものである。また、pH調 整剤である酢酸を和光純薬(株)から、凝集剤として使用したCaCl2をナカライ テスク(株)から購入した。
4.2.2 PDMAの合成およびキャラクタリゼーション
PDMAは 3.2.2で示した方法と同様の方法で合成したが、透析後は 60℃で 24
h乾燥して固体を得た。合成したPDMAの分子量は3.2.5.2と同様の手法で行わ れ、数平均分子量は105000、重量平均分子量は420000であった。
4.2.3 濾過試験
メスシリンダー(100 mL)にベントナイト1.0 g、蒸留水85 mLを入れ完全に 分散するまで振盪した。この懸濁液に 10 vol%の酢酸水溶液を少量加え、pH を 排水基準値の範囲内であるpH6-8に調整した[8]。100 g/LのCaCl2水溶液を 100-1000 ppm、10 g/LのPDMA水溶液を25-100 ppmになるように添加し、蒸留水で
100 mLの標線に合わせた。この水溶液を5回ほど手で振盪し、恒温槽に入れ
25-60ºC まで加熱した。その後、懸濁液を 0.05 MPa の減圧下で濾過面積 17.3 cm2
(Φ47 mm)、保留粒子径0.8 μmのメンブレンフィルターを用いて濾過した。濾
過に使用した装置概略図をFig.4-1に示す。濾過時の温度が一定となるようにフ ィルターホルダーにラバーヒーターを巻き、任意の温度に保持しながら濾過し た。濾過鐘中に設置したメスシリンダー内の濾液が 90 mLに達した時点で濾過 終了とし、終了までの時間を10 mL毎に測定した。90 mLに達した後、更に10 min濾過を続け、湿潤ケークの重量を測定した。その後、湿潤ケークを60ºC、24 h 乾燥させた乾燥ケークの重量を測定し、それらの差からケーク中の含水量(g)
を求め、(4-1)式を用いてウェットベース(W.B.)の含水率を算出した。
含水率 (wt% (W. B. )) = ケーク中の含水量(g)
ケーク中の含水量(g)+ベントナイト重量(g)× 100 (4 − 1)
また、濾液の濁度は、濁度計(Thermo SCIENCE社、TN-100)を用いて測定され た。なお、今後、実験条件をPDX-CaY-Zとし、XはPDMAの濃度(ppm)、Yは CaCl2の濃度(ppm)、Zは濾過試験を行った時の温度(ºC)を示す。
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4.2.4 濾過の基礎理論
土壌粒子などを含む懸濁液を濾過する際、濾過開始後、濾材に捕捉される固体 量が増大し、濾過ケークの堆積量が増大する。この種の濾過をケーク濾過という [9,10]。ケーク濾過では、濾過の進行に伴い濾過ケークが成長し、濾過の流動抵 抗となるため濾過速度が減少する特徴がある。ベントナイトを用いた場合も濾 過時にケークが形成されることが良く知られている[7]。このようなケーク濾過 における濾過速度の経時変化は、1930 年代に Ruth によって定式化されている [11,12]。
本章では、凝集剤の添加がベントナイト懸濁液の濾過に与える影響を調査す ることによって、濾過時のベントナイト粒子の凝集状態を評価した。ここでは、
Ruthの定圧濾過式を用いた。
ケーク濾過では、ケークが流動抵抗となるため、濾過ケークを通過する濾液の 流れは層流と考えることができる。そのため、濾過速度 u1(m/s)は、濾過圧力 p (Pa) に比例し、濾過抵抗Rt (m-1) に反比例するため、次式のように表すことがで きる。
𝑢1 =𝑑𝑣 𝑑𝑡 = 1
𝐴∙𝑑𝑉
𝑑𝑡 = 𝑝
𝜇(𝑅c+ 𝑅m) = 𝑝
𝜇𝑅t (4 − 2)
ここで、v (m3/m2) は単位濾過面積当たりの積算濾液量、t (s) は濾過時間、A (m2) は濾過面積、V (m3) は積算濾液量、μ (Pa・s) は濾液粘度、Rc (m-1) はケーク抵 抗、Rm (m-1) はろ材抵抗である。
Fig.4-1 Schematic illustration of filtration equipment
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ケーク抵抗Rcは、ケークの堆積量の増加と共に増加する。すなわち、ケーク 抵抗 Rcは、(4-3)式のように比例定数を α (m/kg)とすると、単位面積当たりのケ ーク固体質量w (kg/m2) に比例する。
𝑅c = 𝛼𝑤 = 𝛼𝜌𝑠𝑣
1 − 𝑚𝑠 (4 − 3)
ここで、ρ (kg/m3) は濾液密度、s (-) は懸濁液中の固体の質量分率、m (-) はケー クの湿乾質量比を示す。また、αを平均濾過比抵抗と言い、これは単位固体質量 w当たりの抵抗を示し、濾過のし難さを評価する指標である。ケーク湿乾質量比 mを平均空隙率εavを用いて表すと、(4-4)式のようになる。
𝑚 = 1 + 𝜌𝜀av
𝜌(1 − 𝜀av) (4 − 4)
濾材抵抗も仮想的にケークと同等の抵抗を有すると考えると、単位濾過面積当 たりの濾材質量をwm(kg/m2)、濾液量をvm (m3/m2) として、(4-5)式のように表せ る。
𝑅𝑚 = 𝛼𝑤𝑚 = 𝛼𝜌𝑠𝑣𝑚
1 − 𝑚𝑠 (4 − 5) (4-2)式、(4-3)式、(4-5) 式から濾過速度は(4-6)式となる。
𝑑𝑣
𝑑𝑡 = 𝑝(1 − 𝑚𝑠)
𝜇𝛼𝜌𝑠(𝑣 + 𝑣𝑚) (4 − 6)
濾過圧力pが一定の定圧濾過では、αとmは一定と考えることが出来るため、
(4-6)式を積分すると、(4-7)式のようなRuthの定圧濾過式が得られる。
(𝑣 + 𝑣𝑚)2 = 𝐾(𝑡 + 𝑡𝑚) (4 − 7) 𝐾 =2𝑝(1 − 𝑚𝑠)
𝜇𝜌𝑠𝛼 , 𝑡𝑚 =𝑣2
𝐾 (4 − 8) ここで、tmはvmを得るのに要する仮想的な濾過時間、K (m2/s) はRuthの定圧濾 過係数である[11]。また、(4-6)式は下記のように書き改められる。
𝑑𝑡 𝑑𝑣= 2
𝐾(𝑣 + 𝑣𝑚) (4 − 9)
本章では、得られた実験データを単位濾過面積あたりの積算濾液量v (cm)に対す る濾過速度の逆数であるdt/dv (s/cm)をプロットするRuthプロットを行い、得ら れた勾配(2/K)からKを算出し、(4-8)式からケークの平均濾過比抵抗αを求め ることで凝集状態を考察する。一般にαの値が1011 m/kg程度までのケークは抵 抗が小さく、1013 m/kg以上のものは難濾過性と言われる[9]。
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4.3 結果と考察