第 4 章 圧電ゴムの適用
4.2 圧電ゴムの振動低減材への適用の検討
4.2.4 検証結果および考察
図4-4は,質量体の重量を1 kgとした際のPZTの板を検証対象とした振動試験の結果で ある.
PZT の板に起因する振動の共振周波数が約 1100 Hz に現れていることから,外部回路の 共振周波数と一致させるため,以下の式により外部回路のインダクタンスの値を求めた.
𝐿𝐸= 1
𝐶𝑝𝑆𝜔2 (6) ここで,ωは共振周波数fの角周波数(2πf)である.
式(6)より,PZTの板の𝐶𝑝𝑆は56 nFであるため,𝐿𝐸は0.38 Hとなる.外部回路の𝐿𝐸を0.38 Hとし,積層したPZTに接続した場合の振動伝達率TLの結果を図4-5に示す.ここで,外 部回路の抵抗𝑅𝐸の値は0 とした.
共振周波数において,約3 dBではあるが,明確に振動が低減している.ここで,式(2)よ り,計算で求めた共振周波数における L-R 回路を接続する前後での振動伝達率の変化を図 4-6に示す.実験結果と振動低減量は約3 dB異なるものの,振動低減の傾向としては一致し ており,計算によって振動の低減量を予測できることがわかった.
次に,配向型を対象として振動低減効果を検証した結果について述べる.配向型を試験す る際の質量体の重量は0.125 kgとした.これは,外部回路において調整が可能なインダクタ ンスの範囲および配向型の静電容量を考慮した場合,外部回路の共振周波数として調整が 可能な周波数範囲が1560 Hz~22500 Hzであるため,この周波数域内で振動による共振周波 数を発生させる必要があるためである.
外部回路の接続前後における共振周波数における振動伝達率TLを図4-7 に示す.圧電材 料にPZTを使用した場合と比較して,振動伝達率の極大値が10 dB以上小さい.これは,
配向型が低いヤング率とともに高い減衰性能を有しているためであり,防振材料として優 れていることを示す.振動による共振周波数は,約2500 Hzであるため,配向型の静電容量 を考慮して,𝐿𝐸は9.4 Hとした.
外部回路の接続前後で振動伝達率の変化は小さい.また,式(2)を用いてPZTの板と同様 に計算した結果を図4-8に示す.図4-8においても振動伝達率の変化は小さい.
以上のように,PZT の板と配向型で外部回路を接続した際の振動伝達率の低減効果が異 なる要因を以下に考察する.
圧電材料に接続した L-R 回路によって,共振周波数における質量体の振動を低減するた めには,式(3)に示した,𝛩2を大きくする必要がある.そのためには,前述したように,圧
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電材料の k33,静電容量𝐶𝑝𝑆およびばね定数𝐾が大きい必要がある.また,振動低減効果を高 めるには,圧電材料内部の抵抗を最適な値にする必要がある.ここで,PZTの板および配向 型の上述した物性値を表4-2に示す.
PZT の板と配向型を比較すると,k33 は PZT の板が 0.065 であるのに対して,配向型は
0.022であり,配向型が小さいものの,大きな差ではない.ここで,PZTの板のk33が0.065
と,一般的な PZT の 0.2~0.4 と比較すると顕著に小さい要因は,積層構造としたことによ り,積層する際の電極とPZTを接着する接着剤がヤング率を下げたためと考えられる.
PZTの板と配向型のk33の差は小さいのに対して,配向型の𝛩2はPZTの板の𝛩2の約1/600 であり,顕著に小さい.これは,配向型の静電容量およびばね定数がPZT の板と比較して 大幅に低いためである.したがって,PZTの板と配向型で振動低減量が明確に異なった要因 は,𝛩2によるものと考えられる.
さらに,PZTの内部抵抗が約200 であるのに対して,配向型の内部抵抗は,約20 kで あり,顕著に大きい.配向型の内部抵抗が大きいことも振動低減量が小さい要因である.近 年の研究では,外部回路に負性抵抗を接続することによって,圧電材料と L-R 回路で構成 する抵抗の値を最適値とする手法も研究されている[3].本検証と同じ条件で配向型に負性 抵抗を接続し,抵抗の値を最適なものとした場合の振動低減効果の計算結果を図 4-9 に示 す.
抵抗を最適化した場合でも,振動低減効果は,約 0.5 dBであり,明確な低減効果が得ら れるとは言えない.
Figure 4-4 Frequency dependence of vibration transmissibility, TL, for PZT plates during vibration reduction test.
0 5 10 15 20 25 30
800 900 1000 1100 1200
TL(dB)
Frequency (Hz)
103
Figure 4-5 Frequency dependence of vibration transmissibility, TL, at vibration resonance frequency with control by L-R circuit for PZT plates.
Figure 4-6 Calculated frequency dependence of vibration transmissibility, TL, at vibration resonance frequency with and without control by L-R circuit for PZT plate.
Figure 4-7 Frequency dependence of vibration transmissibility, TL, at vibration resonance frequency with control by L-R circuit for Aligned-type.
0 5 10 15 20 25 30
800 900 1000 1100 1200
TL(dB)
Frequency (Hz) Without Control
With Control 3 dB
0 5 10 15 20 25 30
800 900 1000 1100 1200
TL(dB)
Frequency (Hz) Without Control
With Control
6 dB
8 12 16
2000 2100 2200 2300 2400
TL (dB)
Frequency (Hz) Without Control With Control
104
Figure 4-8 Calculated frequency dependence of vibration transmissibility, TL, at vibration resonance frequency with and without control by L-R circuit for Aligned-type.
Table 4-2 Properties of piezoelectric materials used for vibration reduction test.
Piezoelectric materials k33 𝛩2 𝑅𝑝𝑆 () Laminated PZT particle 0.065 0.014 200
Aligned-type 0.022 0.000023 20000
Figure 4-9 Calculated frequency dependence of vibration transmissibility, TL, at vibration resonance frequency with control by L-R circuit of optimum 𝑅𝑝𝑆 for Aligned-type.