第 2 章 0-3 複合体圧電ゴム
2.2 圧電ゴムの原理
2.3.2 作製方法
33
Figure 2-5 Photo of Z-711 particles after size classification.
Figure 2-6 Binarization images of Z-711 after classification.
34
Figure 2-7 Schematic images of fabrication process for piezoelectric rubber.
2.3.2.2 混合
ゴム材とPZT粒子の混合には,図 2-8に示すように,二本ロール混練機を用いた.混練 は,通常のゴム材の作製にも一般的に使用される混合方法であり,ロールで練ることによっ て,ゴムの分子鎖が切断され,混合物が混合し易くなる.
二本ロール混練機に,加硫前の生ゴムの状態のゴム材を投入してシート状に延伸した後,
PZT粒子を投入して,ゴム材中にPZT粒子が分散するように混練した.混練する際の混練 機のロール温度は,生ゴムがシート状に成形し易いように約100 °Cとした.また,混合の 際には,PZTの他に,ゴムの種類に合わせて,加硫剤,可塑剤および加硫助剤等もゴム材に 混合した.
35
Figure 2-8 Photo image of Mixing of raw rubber and piezoelectric ceramics (DPZ) particle.
2.3.2.3 加硫(成形)
混練後の圧電ゴムは,母材のゴム材が架橋していないため,生ゴムの状態である.この状 態でのゴムの分子は,分子鎖の長い高分子ではあるが,架橋していない線形高分子である.
そのため,ゴムに力を加えた場合,塑性変形してしまい,ゴムの形状を保つことができない.
そこで,圧電ゴムに弾性を付与するために,ゴムの分子鎖同士を架橋する加硫が必要となる.
加硫は,混練の際に投入した加硫剤によって,ゴムの分子鎖内に発生するラジカルやイオン が起点となり,加硫剤を介して分子鎖同士のラジカルやイオンが架橋する反応である[6].
ゴム材の加硫剤には,一般的に硫黄が使用されるが,ゴム材の種類によっては,過酸化物も 使用される.加硫剤に硫黄を使用するゴム材は,分子鎖中に二重結合を有する不飽和炭化水 素を主査とするジエン系のゴム材であり,二重結合部位のラジカル化やイオン化によって 架橋反応が進行する.一方,過酸化物を使用するゴム材は,二重結合を有さない飽和炭化水 素を主査とするゴム材にも使用でき,過酸化物からの反応によって,分子鎖中にラジカルが 生じ,反応が進行する.NBRおよびCRの加硫には硫黄を使用し,FVMQおよびEPDMの 加硫には過酸化物を使用した.
ゴム材は,加硫によって形状が固定されるため,加硫工程では,加硫と同時に成型する必 要がある.成形する圧電ゴムの形状を110 mm角,厚さ1 mmとするため,その形状に合わ せた金型に混合後のゴム材を入れ,プレス成型した.また,加硫反応は,高温条件にするこ とによって進行するため,プレス機を150~160 ºCに加熱しながら圧力を加え,約20min間 静置した.加硫の状況を図2-9に示す.
DPZ Particle
Raw Rubber
ホットプレス
36
Figure 2-9 Photo image of curing and molding of piezoelectric rubber.
2.3.2.4 電極作製
圧電ゴムは,誘電体であり,表面に凹凸もあることから,試料を均一に分極するためには,
表面に電極を作製しなければならない.さらに,作製した電極は,分極後,圧電ゴムに力を 加えた際に圧電ゴムから発生する電荷および電圧を取り出す際にも必要となる.
電極には,ポリマー型導電性銀ペーストLS-411AW(㈱アサヒ化学研究所製,以下,銀ペ ーストと称する)を用いた.銀ペーストの塗布状況を図2-10に示す.銀ペーストを塗布す る際は,分極の際の電極間における絶縁破壊を防止するため,中央の100 mm100 mmに塗 布し,全周囲に約5 mmの縁を設けた.銀ペーストの塗布後は,約100 ºCで30min乾燥さ せた.
Figure 2-10 Soaking silver paste on molded piezoelectric rubber.
2.3.2.5 分極
圧電ゴムに圧電特性を付与するためには,作製した電極に高電場を印加する分極処理が Hot Press
Mould
Pressure
37
必要となる.強誘電体には,結晶の相転移温度であるキュリー温度が存在し,キュリー温度 付近で誘電率が急激に増加し,分極が容易となる.ただし,キュリー温度に近づくにつれて,
結晶構造が不安定となるため,一般的な圧電材料を分極する際は,キュリー温度から
100~150 ºC 程度低い温度において,電場の印加時間を長くして分極する[7].圧電ゴムの場
合も同様に,作製に用いたDPZおよびZ-711のキュリー温度がともに約210 °Cであること を考慮して,約100 °Cで分極した.
分極時に電場を印加する際は,高圧直流電源HSP-60k-1およびHSP-30k-2(ともに日本ス タビライザー工業㈱製)から高電圧を出力した.これらの電源はともに,正電極にプラス極 性の電圧を印加するこができ,負電極側は接地となる.分極の際は,上面に正電極,下面に 負電極を設置した.印加する電場は,DPZ および Z-711 の分極の際に印加する電場が 2-3
kV/mmであることを考慮して約2倍の5 kV/mmとした.5 kV/mm以上に電場を印加した場
合,絶縁破壊する可能性が高まり,分極が困難であった.また,分極時間に関しては,分極 後の圧電性を考慮して約60 minと設定したが,検討の詳細については,後述する.分極状 況を図2-11に示す.
以上の混合から分極までの作製工程により,圧電ゴムが作製される.作製後の圧電ゴムの 例を図2-12に示す.図に示すように,圧電ゴムは,高い柔軟性を有している.
Figure 2-11 Photo image of poling of piezoelectric rubber.
Piezoelectric Rubber
Positive Electrode
Grounding Electrode
38
Figure 2-12 Photo image of flexible piezoelectric rubber.
2.4 0-3複合体圧電ゴムの物性評価
作製した0-3複合体圧電ゴムの圧電性能の評価結果を以下に示す.