第 5 章 TILE PALETTE の評価
5.1 評価実験
5.1.1. 評価方法
描画ソフト等の色選択ツールを調査した結果,色彩空間を2次元に表現したカラーチ ャートから目的の色をクリックで選択する方法が,多く採用されていた.そこで,
Windows OSに常備され,一般的に利用されている図5.1「色の設定」(以下,“WP”
と略す)を基準とし,WPとTPの両パフォーマンスを測定し,その結果を比較分析す る.
実験方法は,システムが提示した色見本を,ユーザの頭にイメージした色と想定し,
WP,TP の各ツールを用い作成してもらう.各システムで作成した色は,輝度計を用 いて測色し,色見本との差より両システムを比較する.さらに,システムに対する印象 や作成した色に対する満足感などの主観的評価も行う.実験結果の分析より,どの程度 目的の色が作成できるか,使い易さ,実用性など,各システムの効果・効率・満足度を 比較し,TPの有効性を検討する.
図5.1 「色の設定」(Windows OS標準装備)
5.1.2. 環境設定と実験装置
色見本と各システムで作成した色の差を比較するため,色の知覚的な相違を定量的に 表す色差を測定する.外光による輝度・色度値への影響を避けるため,実験は暗室で行 なう.また,周りの光や色の影響より見え方の違いを引き起こす色対比現象を考慮し,
操作画面以外のディスプレイ背景は無彩色の黒を採用する.作成した色は,色見本と隣 接配置する.色見本,作成した色の表示サイズは,システム操作を考慮したディスプレ イとの距離(50cm)と,等色実験を行う際に採用される視野角(10°視野)の兼ね合いより 1辺30mmの正方形を用いる.
実験装置には,21.3 型カラーマネージメント液晶モニター(EIZO: Color Edge
CG210)を用いる.モニターは,実験前にキャリブレーションを測定器(Gretag
Macbeth:Eye-One Pro)を用い実行し表示環境を整えた.モニターに提示された色見
本と作成した色の色度,及び輝度は,色彩輝度計(TOPCON: BM-7)を用い測定する.
5.1.3. 実験対象の選択
TPは,色の専門知識を要さず,色を作成出来るシステムとして提案した.そのター ゲットユーザは,コンピュータの基本操作に慣れており,コンピュータでの作業中に色 の生成作業を行う機会を持つが,特に色の専門知識を持たない,専門知識の学習が困難 である,また,積極的に自ら色彩について学習する意欲のないユーザを想定した.
そこで,今回の実験では,ターゲットユーザの背景を考慮し,下記の条件を設定した.
条件を満たしたユーザを対象に評価実験を行なうことより,TP の有効性を明確に示す ことができると考える.
【実験対象の選定条件】
・特に色彩に関する専門知識や学習意欲を持っていない
・コンピュータの基本的な操作に不自由がない
・コンピュータでの作業中に,色の生成作業を行う機会がある
・色の生成作業において,WP,または,WP程度のソフトを使用している
以上にあげた条件より,適した被験者を検討した.その結果,20 代~30 代の10 名 を選び出した.表5.1に,実験に参加してもらった被験者の年齢・性別・コンピュータ の利用状況を示す.色彩に関する知識は,10 名の被験者ともに小・中・高等教育(図 工・美術)で学んだ一般知識程度である.
表5.1 被験者に関する情報
No 年齢 性別 コンピュータの利用状況
1 22 女 自宅で利用.
資料作成(Word ソフト)で色の生成作業の機会がある.
2 23 女 自宅で利用.
資料作成(Word,Excelソフト)で色の生成作業の機会がある.
3 28 女 自宅で利用.
時々,趣味程度にイラストレータで絵を書く.
4 28 男 仕事で利用.資料作成(Word,Excel,PowerPoint ソフト)で色 の生成作業の機会がある.
5 30 女 仕事で利用.資料作成(Word,Excel,PowerPoint ソフト)で色 の生成作業の機会がある.
6 31 女 自宅で利用.資料作成(Word,Excelソフト)で色の生成作業をす る.時々,Paintソフトを利用.
7 32 男 仕事で利用.資料作成(Word,Excel,PowerPoint ソフト)で色 の生成作業の機会がある.
8 33 女 仕事で利用.資料作成(Word,Excel,PowerPoint ソフト)で色 の生成作業の機会がある.
9 34 男 仕事で利用.資料作成(Word,Excel,PowerPoint ソフト)で色 の生成作業の機会がある.
10 39 男 仕事で利用.資料作成(Word,Excel,PowerPoint ソフト)で色 の生成作業の機会がある.