第 5 章 TILE PALETTE の評価
5.3 実験結果
5.3.1. パフォーマンス評価
5.3.1.1 タスク達成評価
色見本と各システムで作成した色を,u’v’色度図に示す(図5.3).
総平均は1色×10人×3セット= 30個のデータ平均である.RGB-Wは,モニター が表現可能な範囲を示し,Sampleは色見本である正解を示す.WP,TPの値がSample 値に近ければ色見本に近い色,離れていれば色の差が大きいことを示す.WPとTPの プロット位置はほぼ同位置にあり,全体的にWPとTPに差は見られない.色見本と各 システムで作成した色の色差⊿E を求め,作成時間と合わせてより詳細に分析した(図 5.4).色差,作成時間,共に同様なグラフを示しており,作成した色に依存する傾向が 見られたが,各システム特有の特性は見られなかった.両システムの色差,作成時間の 差を統計的に検定した結果も,両システム間に有意差は認められなかった[34].TPでも WPと同程度の色の作成が可能であると考えられる.
図5.3 u’v’色度図(総平均値)
(a) 各色の平均色差
(b) 各色の平均作成時間
図5.4 色差と作成時間の総平均と標準偏差
5.3.1.2 タイルインタフェースの評価
セットごとの平均色差,平均作成時間(1色×10人= 10個のデータ平均)を色番号 順に示した(図5.5).全体的に作成時間は,WPよりTPの方がかかっている.ユーザは,
WPの使用経験があり,慣れているため当然の結果である.しかし,TP は,試行を重 ねるにつれ作成時間が短縮された.また,試行順では,Set1 の 1 試行目はエメラルド
(E)である.エメラルドの色差・作成時間をみると,共にTPの方が良い結果であった.
(a) セットごとの平均作成時間
図5.5 セットごとの色差と作成時間の平均(色番号順)
(b) セットごとの平均色差
初めての試みより,WPと同じペースで,より目標に近い色が作成できている.ユーザ は困難なくタイルインタフェースを操作し,容易に慣れ親しむ事が可能であると推定で きる.
5.3.1.3 システム特性の調査
色差・時間・満足度のそれぞれの相関を調査し,各システムにおける傾向を分析する.
【色差と時間の相関】
色差と時間の相関図を図5.6(a)に示す.WPでは,右下がりの分布となり,色差と時 間に相関が見られた.横軸に色差,縦軸が時間であるため,時間をかけると色差が小さ くなることがわかる.一方 ,TPでは相関がみられず,時間が色差に影響する傾向はな い.しかし,「紺」のデータに着目すると,WP,TPともに他の色と比べて作成時間が かかっており,特に TP では他の色との差が大きい.そこで,図 5.6(b)に,「紺」のデ ータを抜いた色差と時間の相関図を示した.その結果,WP には変化がないが,TPで は,作成時間が短いと色差も小さくなる傾向が確認できた.
【満足度と色差/時間の相関】
満足度と色差,満足度と作成時間の各相関図を図5.6(c),(e)に示す.横軸は満足度,
縦軸は時間と色差である.満足度は数値が高いほど満足感が高いことを示す.WPは,
満足度-色差,満足度-作成時間ともに相関がみられた.満足度-作成時間は,作成時間が 短いほど満足度は高くなるが,満足度-色差では,色差が高くなるにつれ満足度が高く なるという一般的な見解とは異なる結果が得られた.満足度は,色差に関係なく,作成 時間に強く影響を受ける.一方,TPでは,満足度-作成時間はWPと同様の相関がみら れたが,満足度と色差には相関が見られなかった.両システムとも,満足度は作成時間 に影響を受ける.
「色差と時間の相関」と同様に,「紺」のデータを抜いた満足度と色差/時間における 相関関係を調査した(図 5.6(d),(f)).WP は,紺を含んだ結果と同様の傾向が見られた が,TPでは,色差が大きいと満足度が低くなるという傾向が見られた.これにより,
TPでは,作成時間だけでなく色差も満足感に影響すると確認できた.
(a) 色差と時間の相関図 (b) 色差と時間の相関図(「紺」抜き)
(c) 満足度と色差の相関図 (d) 満足度と色差の相関図(「紺」抜き)
(e) 満足度と時間の相関図 (f) 満足度と時間の相関図(「紺」抜き)
図5.6 色差・時間・満足度の相関図(総平均:30data = 1色×10人×3セット)