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設計

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第 5 章 :磁気構造変更による結合インダクタの性能向上

5.7 設計

導出した解析結果を用いて提案構造の結合インダクタの設計を実施する。想定す る回路定数を表5.3に示す。回路定数は, 実験室レベルでの駆動を考慮して 500W の小容量のものとしている。また, 使用するコアとしては汎用品のコアを流用する 形でフェライトコア PC40EE50Z(TDK)の E コアを 2 個, PC40EI50Z(TDK)コアの I コアを1個使用する形でE-I-E構造を形成させる。使用するコアの各寸法, コア材 の特性を表5.4に示し, これらの外観を図5.14に示す。設計する磁束密度に関して はディレーティングを考慮して 200mT として設計する。また, インダクタ電流リ プルILppは1Aとして設計する。まず, これらの仕様を得るためには, 以下の5つの 手順を踏み設計する。

<手順 1> はじめに, 高い相互インダクタンス値を得て循環電流を抑制するため

の最小のトランス部分の合成磁気抵抗値 Rmtを求める。まず, コアの構造の観点か ら, (5.6)-(5.7)式を用いて計算すると, Rmtは0.124A/μWbとして計算される。実測の インダクタンスの面からより正確な値を計算したい場合は次式が役に立つ。

M N L

R 2

1

lk 2

mt    ... (5.21) 0

0.2 0.4 0.6 0.8 1

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

Ratio ofmaximumflux Φcp/Φwp

Duty ratio

k=1 k=0.9

k=0.5 k=0.2

5 . 0

Lave LppI

I

図5.13 コア内磁束最大値の比(Φcpwp)

109

この(5.21)式に使用するコアに任意の巻線巻数を巻きつけ, 各インダクタンスを実

測することによって, 最少の磁気抵抗値を求めることができる。この場合では, 計 算値を用いて設計するものとする。

<手順 2> 次に, コア内で磁束密度が最大となる脚の特定である。使用するコア

の断面積は中央脚Acが213.6 mm2, 巻線脚Awが131.4 mm2となっているので図5.13 に示すコア内磁束最大値の比とこれら 2 つの断面積の関係を照らし合わせて考え ると巻線脚の方が磁束密度は高くなる。また, 巻線脚断面積 Awに対して外側脚断

面積Aoが109.5mm2あり巻線脚の半分以上あることを考慮すると, 最も磁束密度が

高まるのは巻線脚であると結論付けられる。従って, 設計する磁束密度の規定は巻 線脚に設けるものとして, 次式を条件とする。

w max

max B A

Φ   ... (5.22) 次に, 巻線脚最大磁束 Φwpが設計する磁束密度 Φmaxが超えないという条件を次 式のように設ける。

wp

max Φ

Φ  ... (5.23)

<手順 3> 次に巻線巻数 N の決定である。巻線巻数を設計する際には, コア内の

磁束密度の条件とインダクタ電流リプルに関わる条件を連立して設計しなければ いけない。そこで(5.12)式に(5.17)式の Rlk について整理したものを代入し, 式変形

表5.3 回路定数

Input voltage Vi 50 V

Output voltage Vo 120 V

Duty ratio d 0.583

Switching frequency fs 50 kHz

Inductor average current ILave 5A Ratio of ripple current ILpp/ILave 0.2

Inductor ripple current ILpp 1A

Output power Po 500W

110

された Φwp を(5.23)式に代入すれば, 次式で示される巻線巻数を決定する三次不等

式が得られる。

2 0 1 1 2 1

2 1 2

1 2 1

2 2

s i mt max

mt

2 Lpp

Lave 3

s i

max Lpp



 

 

 



 

 



 

 

 

 

 

T d V d R

N d Φ d R

d

d N I d

I d N

d T

d V

Φ I

... (5.24)

この(5.24)式に対して, 表5.3に示す回路定数とトランス部分でノーギャップ状態 の磁気抵抗Rmtを代入すれば, 次式に示す関係と図5.15に示す図が得られる。

3 . 28 ,

3 . 4 6

.

5   

N N ... (5.25)

表5.4 E-I-E構造の結合インダクタに使用するコアの各寸法, コア材の特性

Core Material Ferrite (TDK Co., Ltd)

Prototype core PC40EE50Z and PC40EI50Z

Relative permeability μr 2300

Sectional area of winding leg Aw 131.4 mm2

Sectional area of center leg Ac 213.6 mm2

Sectional area of outer leg Ao 109.5 mm2

Magnetic path length of winding leg lw 21.25 mm Magnetic path length of center leg lc 21.52 mm Magnetic path length of outer leg lo 42.78 mm Combined magnetic reluctance of transformer

part (theoretical value) Rmt 0.124A/µWb

AW Winding leg

Ac

Center leg

図5.14 E-I-Eコアの外観

111

ここで, 巻線巻数-5.6-0turn は現実的に巻けないことから解として不適であり,

0-4.3turn は中央脚の合成磁気抵抗 Rlk が負の領域となるため不適である。一方,

4.3-28.3turn は巻線脚磁束密度が200mTを超えてしまう。従って, 妥当な巻線数の

範囲はN≥28.3turnである。従って, 巻線巻数は29turnとして設計した。

<手順 4> 次に, 巻線巻数が決定されたので次に漏れ磁束が流れる経路での磁気

抵抗Rlkを求め, エアギャップ長を設計する。まず, 磁気抵抗 Rlkはインダクタ電流 リプルを示す(5.17)式から設計され, この(5.17)式を Rlk について解くと, 次式が得 られる。

1

mt 2

s i

2 Lpp

lk  

 

 

 

d

R d T d V I N

R ... (5.26) この(5.26)式に決定した巻線巻数29turnと表5.3の回路仕様を代入すれば, 必要な磁

気抵抗値Rlkは4.63A/µWbと決定される。さらに, 構造的な面から(5.6)-(5.7)式を用

いると次式の関係が得られる。



 

 

 

c 0

g c r 0

g c mc

lk 2

1 2

1

A l A l R l

R    ... (5.27) 従って, エアギャップ長lgについて解くと, 次の関係が導出される。

lk r 0 c c

r

g 2

1

1 R A l

l      

   

 ... (5.28) この(5.28)式より, 設計値とするエアギャップ長は2.5mmと決定された。

0 N

f(N)

-5.6 4.3 28.3

Bmax>200mT area Bmax<200mT area Impossible Area

図5.15 巻線巻数とコア内磁束の関係

112

<手順 5> 最後に, 磁気抵抗値 Rmt, Rlkの直接測定が困難であることから, 次式を

用いて相互インダクタンスと漏れインダクタンスの設計値を算出する。





 

 

lk mt

2 lk

lk mt 2

mt 2 lk

2 1

2 R N R

L

R R R

N R M

... (5.29)

以上, 手順1から手順5を踏まえて結合インダクタを試作した。表5.5に結合イ ンダクタの設計値と実際に作成して測定した実測値を示す。また, 図5.16には試作

表5.5 結合インダクタの設計値と実測値

Number of winding turns N 29turns

Mutual inductance M

Designed value 3.3mH

Measured value 2.9mH

Leakage inductance Llk

Designed value 90µH

Measured value (phase1) 90µH Measured value (phase2) 91µH Air gap length

(each center legs)

lg

Designed value 2.5mm

Measured value 4.5mm

Coupling coefficient k Measured value 0.968

図5.16 試作された結合インダクタ

113

した E-I-E 構造の結合インダクタの外観を示す。表 5.5から, 相互インダクタンス

Mに関しては設計値と比べて微小に小さくなっている。これは, コアとコアを接合 する際にどうしても隙間が空いてしまうため微小に磁気抵抗値が計算値と比較し て大きくなってしまったため, 誤差が生じたと考えられる。また, 漏れインダクタ ンスLlkは大幅な誤差なく作成できていることが確認できる。

一方, エアギャップ長に関しては, 微小な誤差が生じているものの, 従来構造で は10倍以上あった誤差が提案構造の場合では2倍程度と大幅に誤差が小さくなっ ている。また, 表 5.1 に示す磁気構造と結合係数の関係から分かるように, 提案構 造の場合は三脚コアの磁気構造では実現が難しい 0.97 程度の高い結合係数を達成 した。従って, E-I-E構造の結合インダクタはこれまで実現できなかった高い結合係 数を取得できることが確認される。

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