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積層結合チップインダクタの磁気構造と磁性材料

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第 7 章 :高周波 POL コンバータ用積層結合チップインダクタ

7.4 積層結合チップインダクタの磁気構造と磁性材料

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て大きく電流リプル振幅を低減することができ, 特にデューティ比 0.5付近でその 効果が大きいことが確認できる。

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と高い結合係数を得ることが難しいことが問題点として考えられる。加えて, コア に巻線を巻くタイプとは異なり, 中央脚にエアギャップを設け結合係数調整する ことは構造上難しい。(b)の場合では, 巻線を分割したような構成となるため, 巻線 間の寄生キャパシタンスの低減は可能であるが, 内部巻線の構造が非常に複雑に なるため小型のチップインダクタを考えると製造面で苦労が強いられる。(c)の場合 は各相の巻線を交互に巻くことによって高い結合係数が得られるものの, 結合イ ンダクタは共通電流のリプル振幅値を調整するための漏れインダクタンスが必要 になる。そのことから, この構造形態では漏れインダクタンスを調整することが困 難であることが問題点として指摘される。

これに対して, 図 7.7に提案する積層チップインダクタの構造を示す。本インダ クタは第5章で示したE-I-E構造をベースに考案している。この構造では巻線間の 距離 xを短くすることで, 漏れインダクタンスの経路を確保することができ, なお かつ巻線と巻線が直線で結ばれるので, 磁束の直進性を考慮しても結合係数は高 めやすい。

7.4.2. 磁性材料と巻線材料

磁性材料の選択は鉄損低減や体格低減のため非常に重要である。高周波スイッチ ング電源に応用される磁性材料はアモルファス, フェライト, ナノクリスタル結晶 コア, ダストコアなどあり, これら磁性材料に関する議論は活発にされている(53),

(54)。これらの材料の中でも, フェライトは高周波上でも損失が少なく比較的安価と

Winding of phase 1 Winding of phase 2

Leakage flux Magnetizing flux

x

図7.7 提案する積層結合チップインダクタの構造

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いう特徴を有し, インダクタンスも直流電流の変化に対してはあまり変動が無い ことが利点である。しかしながら, この磁性材料の欠点としては飽和磁束密度が低 く, コアが比較的大型化してしまうこと, さらにインダクタ電流が過剰に増加した 場合においてはインダクタンス値も劇的に低下してしまうことが挙げられる。これ に対して, 本研究で適用する材料は図 7.8に示すような飽和磁束密度が高く磁気部 品の小型化に有効なダストコア(このダスト材はFe-Si-Crの化学結合を有する)を用 いる。

また, 巻線材料としては銀(Ag)を適用している。銀(Ag)は銅や鉄などに比べて電 気抵抗率が非常に低く低損失化の面において有効であり, 熱伝導率も高いため巻 線から発生する熱を基盤へ逃がしやすいという利点がある。

7.4.3. 金属粒子間の絶縁処理

上述のように, ダストコアはいくつかの利点を有するが, ダストコアで使用され る金属鉄粉は電気抵抗が低いため渦電流損失が発生しやすい。そこで, この損失を 低減するため, 図 7.9に示すように粒子間に絶縁層を設けて渦電流損失を抑制する 方法がとられ, この絶縁層は一般的に有機材(Resin)を用いて構成される。

しかしながら, 有機材を用いた絶縁層は薄く構成することが難しく, 透磁率の調 整には限界がある。仮に, 絶縁層が厚かったとすると粒子間に大きなエアギャップ が存在することを意味し, 必要なインダクタンスを得るためには巻線巻数を増加 させて所望のインダクタンスを得る必要性があり, 結果として巻数増加のため銅

図7.8 使用するダストコア材の電子顕微鏡画像(文献(95)より引用)

154 損が増大することに繋がる。

これに対して, 提案する積層結合チップインダクタの絶縁層には高結晶ナノ酸 化層を用いた絶縁処理方法を適用する。高結晶ナノ酸化層は有機材を用いた絶縁層 と比較して 3 つの利点があり, それぞれ高い透磁率, 高い機械的強度, 高い絶縁破

Powder

Powder Electric insulating layer

図7.9 金属粒子間の絶縁処理

図7.10 高純度ナノ酸化層による粒子間の絶縁処理(文献(95)より引用)

0 10 20 30 40 50 60 70 80

1 10 100 1000 10000 100000

Permeability

Frequency [kHz]

Highly crystallized oxide nanolayer

Resin layer

図7.11 高結晶ナノ酸化層と有機材の絶縁層の比透磁率の比較

155 壊強度が得られることである(95)

1つ目の透磁率に関して, 高結晶ナノ酸化層は図7.10に示すように金属粒子間に 数百ナノメートル程度の薄膜な絶縁層を形成することができるので高い透磁率が 得ることができる。図7.11には, 金属粒子間の絶縁層に従来の有機材を用いた絶縁 層と高結晶ナノ酸化層をそれぞれ適用したダストコアの透磁率の比較結果を示す。

なお, 実測はトロイダルコア形状で空気中に漏れる磁束を極力低減させて実測し ているものである。この図より, 1kHz-20MHzの周波数範囲内では, 従来の有機材に よる酸化層は透磁率が19.5であるのに対して, 高結晶ナノ酸化層は28と透磁率を 向上させることが可能である。従って, 従来の有機材の絶縁層の厚さに限界がある ときは, この高結晶ナノ酸化層は有効である。また, この図中で20MHz付近から透 磁率が大きく上がる傾向にあるが, これはインダクタンスと巻線間の寄生キャパ シタンスによる共振現象によるものであり, 実際にコアの透磁率が上がっている わけではない。

2 つ目の利点について, 高結晶ナノ酸化層は従来の有機材を用いた絶縁層と比較 して高い機械的強度を有する。従来の有機材絶縁層の場合は8×104 Paの強度がある のに対して, 高結晶ナノ酸化層の場合では1.5×105 Paの強度があり物理的にも堅牢 性は高い。

3つ目の絶縁層の絶縁破壊強度に関しても従来の有機材絶縁層は2.5×104 V/m程 度であるのに対して, 高結晶ナノ酸化層は3.6×104 V/mの絶縁破壊強度を有してお り, 従来の有機材による絶縁層が絶縁破壊強度の面で制約がある場合でも, 高結晶 ナノ酸化層は有効である。

従って, これらの絶縁層の特徴が小型なチップインダクタの性能向上に寄与す る。

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