第 4 章 :結合インダクタの 3 相化への拡張
4.3 特性解析
4.4.1 磁束低減効果
80
次に, これらの解析結果に基づいて, 外側脚と中央脚の最大磁束を求める。最大
磁束は図4.9(a)-(c)に示すよう, 直流磁束と交流磁束の半値の和で示されるので, 外
側脚最大磁束Φopを求めると(4.17)式, (4.20)式と(4.23)式より次式で求めることがで きる。
i smo Lave
op 2
1 3
1 d T
N V R
I
Φ N
··· (4.27) また, 中央脚最大磁束Φcpは(4.17)式, (4.21)式と(4.24)-(4.26)式より, それぞれ以下 の通り求めることができる。
3 2 2
2 3 1 3 1 3
3 2 3
1 1
2 9 9 2 1 3 1 3
3 1 1
3 1 2 1 3 1 3
s i mo
Lave
s i 2
mo Lave
s i mo
Lave
cp
d T
N d d V
R I N
d T
N d V d
d d R
I N
d T
N d V d
d R
I N
Φ
··· (4.28)
4.4. 3 相結合インダクタの導入による小型軽量化の効果
これまでのところで, 三相結合インダクタにおける電磁的な振る舞いについて 解析を実施した。ここからは, 提案する3相結合インダクタの有効性を明示するた め, 理論的なアプローチからその導入効果を確認する。
81 おけるコア内磁束の最大値を調査する。
<結合インダクタの外側脚と中央脚の最大磁束の比> はじめに結合インダクタ
の外側脚と中央脚の最大磁束を比較する。まず, インダクタ電流リプル振幅を示す
(4.14)-(4.16)式を Rmo について解き, 外側脚の最大磁束を示す(4.27)式, 中央脚の最
大磁束を示す(4.28)式にそれぞれ代入すれば, インダクタ電流リプルを規定した際 の最大磁束は, 外側脚と中央脚でそれぞれ以下のように導出することができる。
3 2 2
1 3
1
2 1 3
3 2 3
1 2
1 3
1
1 3
2 9 1 9
3 1 2
1 3
1 1
3 1 1
s Lpp
Lave i
s Lpp
Lave 2
i
s Lpp
Lave i
op
d T
I d d I d N
V
d T
I d I d
d d d N
V
d T
I d d I
d N
V
Φ
··· (4.29)
3 2 2
3 2 1 3
1
2 1 3
3 2 3
1 1
3
2 9 9 2 1 3
1
1 3
2 9 1 9
3 1 1
3 1 2 1 3
3 1
1 3 1 1
s Lpp
Lave i
s 2
Lpp Lave 2
i
s Lpp
Lave i
cp
d T
d d d I
d I d N
V
d T
d d d
d d I
d I d
d d N
V
d T
d d d I
d I d N
V
Φ
··· (4.30)
ここで比較する条件として, インダクタ電流リプル比は ILpp/ILave=0.5, 磁気抵抗
比αを0.25, 1, 10, 100と変化させた場合を想定する。このαが大きいほど中央脚に
大きいエアギャップが挿入されることを意味する。この条件において3相結合イン ダクタの外側脚と中央脚の最大磁束の比 Φcp/Φopをとるとデューティ比に対する磁
82
束最大値の比較結果は図 4.10 で示される。この図からすべてのデューティ比領域 において, 中央脚最大磁束 Φcpは外側脚最大磁束 Φopの 3 倍以下となり, 磁気抵抗 比 α が大きい領域では, 中央脚の最大磁束は大きく低減されることが確認される。
このように, 中央脚の最大磁束が外側脚と比べて 3倍以下となる理由は, 直流磁束 に関して言えば中央脚の直流磁束は外側脚の直流磁束のちょうど 3 倍となるもの の, 中央脚の交流磁束は外側脚の交流磁束の位相がシフトする形で足し合わされ るため, 中央脚の交流磁束はd=1/3, 2/3付近ではほとんど発生しなくなるためであ る。ここで, 変換器駆動時における最大磁束密度Bmaxはコア断面積Acoreと最大磁束 Φmaxを用いると次式で導出される。
core max
max A
B Φ ··· (4.31)
この関係から, 中央脚の最大磁束は外側脚の最大磁束の 3倍以下であるため, 磁束 密度 Bmax を外側脚と中央脚で等しくすることを考えると, 中央脚の断面積は外側 脚の断面積の3倍以下で済むことが確認される。また, 動作条件によって中央脚の 断面積を外側脚に対して更に小さくすることで小型軽量化を実現することが可能 である。
0 0.5 1 1.5 2 2.5 3
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
Ratio of maximum flux (Φcp/Φop)
Duty ratio α=0.25 α=1
α=10
α=100 0.5
Lave Lpp I
I
図4.10 中央脚と外側脚の最大磁束の比 (Φcp/Φop)
83
<結合インダクタの外側脚と非結合インダクタの最大磁束の比> 次に, インダク
タ電流リプル率を規定した場合での従来の非結合インダクタと結合インダクタの 外側脚の最大磁束を比較する。第2章で示したように非結合インダクタを適用した 場合では, インダクタリプル率を規定した際の最大磁束Φpは(2.10)式, (2.13)式より 次式で求めることができる。
s Lpp
Lave i
p 2
1 d T I
I N
Φ V
··· (4.32) ここで比較条件としては, 非結合インダクタと結合インダクタの巻線巻数 N を 等しくした場合で考え, 同様にαを0.25, 1, 10, 100と変化させた場合で外側脚最大 磁束と非結合インダクタの最大磁束の比Φop/Φpをとる。図 4.11に最大磁束の比を とった結果を示す。この図から, 磁気抵抗比が非常に大きい領域では, 結合インダ クタの外側脚最大磁束は, 非結合インダクタと比較して大きく低減できているこ とが確認できる。従って, これらの事から従来それぞれ独立した非結合インダクタ を統合すると, 中央脚の断面積は外側脚の 3倍以下で済み, またその外側脚の断面 積は非結合インダクタの断面積より小さくて済む。従って, 3 相結合インダクタは 磁束密度とインダクタ電流リプル率を等しくした条件においてはコアサイズの縮
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
Ratio of maximumflux (Φop/Φp)
Duty ratio
5 . 0
Lave Lpp I I α=0.25
α=1
α=10 α=100
図4.11 結合インダクタの外側脚と非結合インダクタと最大磁束の比(Φop/Φp)
84 小に効果的であることがわかる。