第 2 章 :磁気回路と磁気回路モデルを用いたインダクタ設計法
2.3 磁気回路モデルを用いたインダクタの設計法
2.3.3 設計
次に, インダクタの設計について述べる。設計する評価回路定数を表2.2に示す。
使用する磁性体コアのサイズと材質は汎用フェライトコア PC40EC90×90×30 を 用いて行う。設計は, コア内磁束密度を 250mT, インダクタリプル電流を 5A とし て設計するものとし, これらの特性を得ることを実機評価する上での評価事項と する。
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設計はコア内磁束に関する条件とインダクタ電流リプルに関する条件を両方満 たす必要性があり, (2.10)式と(2.13)式から分かる通り, 磁気抵抗値Rmと巻線巻数N の2つの要素から考えなければならない。従って, (2.10)式と(2.13)式を連立させて2 つの特性を満足させる設計方法を掲示する。設計する手順としては, 巻線巻数Nの 決定, 磁気抵抗Rmの算出, インダクタンスLの算出の順序で設計する。
<巻線巻数Nの決定> まず, 巻線巻数Nから決定する。磁性体内の磁化を飽和さ
せないためには変換器駆動時における最大磁束を Φmax として, 解析で求めた最大 磁束ΦpでΦp≤Φmaxの条件を考えればよい。従って, 最大磁束に関する(2.10)式にイ ンダクタ電流リプルに関する(2.13)式のRmを代入してΦp≤Φmaxを考えると次式が得 られる。
2Φmax ILpp
N
2ILaveILpp
VidTs0 ··· (2.14) ここでΦmaxは, 巻線を巻きつける磁性体コアの中央脚断面積ALは707mm2, 設計するBmaxは250mTであるので(2.11)式より176.8μWbとなる。この巻線数Nに関す
る(2.14)式に対して, 表2.2に示す回路仕様を代入すると巻線巻数はN≥16.49とな り, ここでは巻線巻数は17turnと決定する。
表2.2 回路仕様と設計条件
Input voltage Vi 50V
Output voltage Vo 120V
Duty ratio d 0.583
Switching frequency fs 50kHz
Output power Po 1kW
Inductor average current ILave 20A
Inductor ripple current ILpp 5A
Maximum flux density Bmax 250mT
Sectional area in center leg (PC40EC90×90×30) AL 707mm2
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<磁気抵抗の算出> 巻線巻数Nが決定したので, 次に磁気抵抗値Rmを決定する。
磁気抵抗値 Rmを決定するに当たっては, インダクタ電流リプルの条件式から求め る。(2.13)式を変更すると次式が得られる。
s i
2 Lpp
m V d T
N R I
··· (2.15)
この(2.15)式に表2.2で示す回路仕様を代入すると, Rm=2.48A/μWbと算出される。
<インダクタンス値の算出> 最後に, 磁気抵抗の直接測定は不可能であるため,
具体的に設計した巻線巻数と磁気抵抗値を以下の関係式に代入して設計する自己 インダクタンスLを算出し, これを目標値としてエアギャップを設けインダクタを 作成する。
m 2
R
L N ··· (2.16)
ここで, (2.16)式に対して設計した磁気抵抗Rm, 巻線巻数Nを代入すれば, インダク 表2.3 作成したインダクタの設計値と実測値
Number of winding turns N 17turns
Self-inductance
Designed value L* 116μH
Measured value L 116.3μH
0 5μs 100V
0 20A
iL
time
5.1A
Inductor current and switch voltage
vce
図2.2 作成したインダクタ 図2.3 動作波形
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タンスの設計値を得ることができる。このインダクタ設計方法に基づいて作成した インダクタの外観を図2.2に示し, 実際にLCRメータを用いて測定したインダクタ ンス実測値と(2.16)式に基づいて計算した設計値を表 2.3 に示す。この表から設計 値と実測値に関しては, ほとんど誤差なく作成できていることが確認できる。