この状態2は、実際のところ、全体として φ0.3の変動が許されるので、
位置度φ0.3の如くになるが、
「位置度はφ0.2が許容され、データム形 体はφ0.1だけ浮動してもよい」
とされている。
*この部品を検証する機能ゲージ
<データム形体側>
φ6(MMS)
<公差付き形体側>
φ6(MMS)-〔幾何公差φ0.1〕=φ5.9(MMVS)
M
<ポイント>
(前頁までは)公差値にのみマルMが付く例であった。これは、公差値とデータムの2つ にマルMが付いた例である。
・(この場合にも)狙いとするところは、この穴部品と相手の軸部品(機能ゲージで示す 軸部品と想像されればよい)とのはめ合いを問題なく行いたいということである。
・(この場合にも、その理解には)「穴がMMSのときの状態」と「穴がLMSのときの状態」
がどうなるかを考えればよい。
<留意点>
・(LMSの状態において)データム形体側は出来上がった穴径と機能ゲージのピン径と にはφ0.1〔=φ6.1(LMS)-φ6(MMS)〕の変動が許容される。この「変動」は、MMR では「浮動する」と表現する。実態的には、位置度がφ0.3に増えた状態といえる。
・公差値とデータムの両方にマルMが付くことにより、機能ゲージは簡単になり、有効で ある。
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7-3. 突出公差域 第7章 特別な指示方法
10 8
軸線A 軸線B 軸線A 軸線B
■ “突出公差域”の指示とは、形体から突き出た領域に公差域を設定し、規制する方法
<“突出公差域”を適用できる部品例>
<部品A> <部品B>
<組立状態>
部品干渉を避けたい範囲
■ 部品Aと部品Bを4本の“段付きねじ”で組立てる
この部分で部品干渉が起きている
<ポイント>
・通常の幾何公差では、その公差域は、すべて指定した形体の内部に存在するもの である。
・この「突出公差域」の方法では、その公差域を、形体の内部ではなく、形体から「ある 寸法だけ突き出した」部分に要求するものである。
・(この図では) 「突出公差域」を、蓋となる部品Aと本体側となる部品Bの組み立てを 成立させる例に適用している。
・この部品Aと部品Bは、4本の「段付きねじ」で締結するケースである。
・問題なく組み立てられるか否かは、部品Aの部品厚さ全体にわたって、段付きねじと の干渉の有無となる。この部分は、部品Bのねじ部から突出した領域である。
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7-3. 突出公差域 第7章 特別な指示方法
φ P 10
φ35
A B
φ0.2 P 4×M4×10
B A
+0.05 0
φ35 組付けられる限界
φ0.2
10
突出公差域
突出幅を示す寸法
突出部
形体部
10
φ0.2 φ0.2 φ0.2
公差域1
公差域2
<図面指示>
■ “突出公差域”が指示された図面例
<指示方法>
1)公差記入枠の公差値の後に、記号 (マルP) を 付け加える
2)対象の形体から突き出した領域の範囲を表す寸法値 の前に、記号 (マルP) を付け加える
P P
<公差域>
*この場合、対象の軸線は、形体から突き出た高さ 10で直径0.2の円筒の内部にあることが求められる。
この軸線(直線)を形体内に延長すると、公差域1ま たは公差域2を満たせばよいことになる
<NGとなる公差域>
φ0.2 φ0.2
(注)
形体部の実際の軸線が、
上図の公差域1や公差域 2の下部(左図ハッチング 部)に入っていても、突出 部の軸線は、左図のよう にφ0.2の範囲を超えるこ とになり、不合格となる。
<ポイント>
・(これは)「突出公差域」の図面指示例。
・図面指示のポイントは、①幾何公差の公差値の後に記号“マルP”を追記する、②指 示形体から突出する範囲の寸法値の前に記号“マルP”を付ける、こと。
・(この図面指示の場合)公差域は、形体から10㎜の突出部で、直径0.2で長さ10の 円筒内となる。この空間領域に「ねじ穴の軸線の延長線」が入っていればよい(<公 差域>を示す3つの図の左の図参照)。
・突出部と形体部の両方にわたって、許容される軸線の様子を表したのが、公差域を 示す3つの図の右側の2つである(公差域1と公差域2)。
・(<NGとなる公差域>の図は)形体部における軸線が、φ0.2の円筒内部、一端が φ0.2の円すい台のいずれかに収まっていても、突出部では「公差域」をはみ出してし まい、部品としては不合格であることを示している。
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7-3. 突出公差域 第7章 特別な指示方法
P 40 B
A
φ 22 5
8×φ25 H7 B A φ0.02 P
30
27
40
A
B
B A P φ0.2
P
M30
■ JISに載っている “突出公差域”の図面指示例
<指示例1>
<指示例2>
<公差域>
<公差域>
27
相手部品の長さ 組み付けられる
40
位置度公差φ0.2
組み付けられる限界 相手部品の長さ
組み付けられる
40
位置度公差φ0.02
組み付けられる限界
<ポイント>
・(この2つの図面指示例は)JISに載っている指示例である。
・「突出公差域」の検証は、基本的には、ゲージで検証することになる。それは
⇒<指示例1>では、円筒ピン
⇒<指示例2>では、ねじ付ピン、となる
<留意点>
・P62(前頁)の突出し長さ10、P63(本頁)の同40、同27は、ともに係合する相手部 品の公差を含めた部材長さ(厚さ)以上の寸法であること、が必要である。
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<A>
「普通公差 方式を 使った 図面」
0.2 A
A 0.2
0.4
0.4 A 0.1 0.2
0.6 A
80±0.3 0.4 A
A 0.4 30 ± 0. 2 40 ± 0. 3 0.1
0.1
100±0.3 25±0.2
A 0.4 0.2
30 40
100 80
25
普通公差 GENERAL TOLERANCES JIS B0419 - mK
66
【図例1】 “寸法公差”と“幾何公差”のいずれも指示のない図例
<B>
「使わない 図面」
8-1. 普通公差方式 第8章 普通幾何公差
■普通公差方式を用いることの意味 (1)
<ポイント>
・これは、「普通公差方式」というものを、視覚的(ビジュアル)に理解していただくため のもの。
・上の図面<A>は、現在のJISの「普通公差」を適用した図面で、「JIS規格名」の指 示と「基準寸法」の指示がされているだけの図面となっている。
・下の図面<B>は、<A>の図面が一括指示(暗示)している内容を、明示して指 示したもの。
・一見して、どちらの図面がすっきり簡素であるかは、一目瞭然である。
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B
A C
2×φ6+0.050
φ0.1 C
8
25
10 25
40
6± 0. 1
50±0.3
16 ± 0. 2
40 ± 0. 3
B
6± 0. 1
35 ± 0. 3 36
sφ10+0.10
B sφ0.1 A C 0.4
0.2
0.4 0.2
0.2 0.2
B
B
0.6
0.6
0.1 A
A B
6± 0. 1
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<A>「普通公差方式を使った図面」
B
A C
2×φ6+0.050
φ0.1 C
8
25
10 25 B 40
36
sφ10+0.10
B sφ0.1 A C
0.1
6
6 35 6 16
50
40
普通公差 JIS B 0419 - mK
A
<B>「使わない図面」
【図例2】 “幾何公差”の指示のある図例
8-1. 普通公差方式 第8章 普通幾何公差
■ 普通公差方式を用いることの意味 (2)
<ポイント>
・こちらは「寸法」に加えて、個々に「幾何公差」が指示されている図面例による比較で ある。
・2つの図面例でわかるように、普通公差を用いることによって、図面指示が非常に簡 素になり、見やすくなることが見て取れる。
・多くの指示事項を一括して指示して、図面自体を簡素化して見易くするというのが、
「普通公差方式」のねらいである
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■ 寸法公差や幾何公差に対して、個々の公差を図中に指示せず 一括指示することで、図面指示を簡単にする方法
■ 普通公差を図面で指定する場合は、部品に対する要求事項に応 じて、“個々の工場で通常に得られる加工精度” を確認して行う
■ 図面での指定方法
① 普通公差方式の前提となっている“公差表示方式(注)の 規格名”を指示する
② “普通公差方式の規格名”と適用する“等級”を指示する
(注) 「公差表示方式」 : 図面が「独立の原則」に従っていることを示す規定
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8-1. 普通公差方式 第8章 普通幾何公差
■ 普通公差方式とは
<ポイント>
・「普通公差方式」とは、寸法公差や幾何公差をいちいち図面中に指示せず、(表題 欄等で)一括指示して、図面自体を簡単にして見易くする方法である。
・そこで用いる公差値は、部品に求められる要求事項(必要精度など)に応じて、各工 場が通常の加工精度で得られることを確認して、指示するものである。
<注意点>
決して、図中での個々の公差の指示を少なくするために、ことさら指定等級を上げて、
指示することがあってはならない。
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■ JISの普通公差とは
■ 現在のJIS/ISOには、次の規定がある 普通寸法公差 JIS B 0405 ISO 2768-1
「普通公差-第1部:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差」
普通幾何公差 JIS B 0419 ISO 2768-2
「普通公差-第2部:個々に公差の指示がない形体に対する幾何公差」
■ 図面での指定方法
公差表示方式 JIS B 0024 ← ① 普通公差 JIS B 0419 –m H ← ②
①前提となる“公差表示方式のJIS規格名”を指示する
②“普通幾何公差のJIS規格名”を指示し、さらに “普通寸法公差の等級”(上記の場 合はm級)、および “普通幾何公差の等級”(上記の場合はH級)を指示する
<注意> 普通寸法公差と普通幾何公差を同時に指示する場合は、普通公差として指示す るJIS規格名は、普通幾何公差であって、普通寸法公差ではない
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8-1. 普通公差方式 第8章 普通幾何公差
■ 採否 『特に明示した場合を除いて、
普通幾何公差を超えた工作物でも、
工作物の機能が損なわれない場合には、
自動的に不採用としてはならない。』
<注釈>
ときによっては、機能上、許容される公差が、普通公差よ りも大きいことがある。
普通公差を超えたからといって、自動的に不採用としてし まうと、機能的に問題ない工作物(部品)を使わないこと になってしまう。これを避けるための規定である。
<ポイント>
・JIS普通公差と言ったとき、2つのJISの規格を意味する。
JIS B 0405 <寸法>
JIS B 0419 <幾何公差>
・図面指示では
①公差表示方式の規格名
②普通公差の規格名と等級 の2つを指示する
・JISの規定では、「普通公差」を超えた部品(外れた部品)の扱いについて、「採否」と いう条項があることに注目のこと。