d)眼周囲の多毛化
眼周囲の多毛化の観察は、各検査日に行い、0から
3
(0:なし、1:軽度、2:中等度、3:高度)の
4
段階の程度で判定した。有害事象の判定基準は「眼周囲の多毛化により治験を中止した場合、眼周囲の多毛化について患者から訴えが出た場合、あるいは治験責任医師等により臨床上問題が あると判断された場合」とした。
眼周囲の多毛化スコアが悪化した症例は、TRA/TIM群
15
例(11.6%)、TRA群15
例(11.8%)であった(表
2.7.6.3.2-28)。両群間に有意差はみられなかった(p=0.9637)。このうち、有害事象
(多毛症)として取り上げられた症例は、TRA/TIM群
5
例(3.9%)、TRA群2
例(1.6%)であっ た。これらは全て軽度で、TRA/TIM群及びTRA
群の各1
例を除き、無治療にて消失に至った。また、眼周囲の多毛化スコアは、ベースライン検査の時点では新規患者の
100%がスコア 0
であ ったのに対して、既治療患者では+1以上を示す患者の割合が多かった。これは、既治療患者には 前治療薬としてPG
製剤を使用していた患者が含まれており、既に眼周囲の多毛化を生じていた 患者が試験に組み入れられたためと思われる。新規患者群、既治療患者群ともに、点眼の継続とともに徐々にスコアが悪化していく傾向が認 められた。
0
から+1の軽度のスコアがほとんどで+2(中等度)以上のスコアの割合は低かったが、このスコアの悪化傾向は、既治療患者群に比して新規患者群でより認められた(図
2.7.6.3.2-11)。
PG
製剤に特徴的な眼周囲の多毛化については、点眼時に眼の周りにあふれた点眼液の拭き取り や洗顔により、眼周囲の多毛化の程度を軽減できることが知られており55)、PG
製剤の使用経験の ある患者では、新規患者よりも眼の周りにあふれた点眼液の除去に習熟していることから、スコ ア分布の差異に繋がった可能性が考えられた。しかしながら、多くは軽度のものであり、これらの有害事象により試験の中止に至った症例も なく、視機能に影響を及ぼすような随伴症状もみられなかったことから、臨床上大きな問題とな る差ではないと考えられた。また、新規患者に対しても眼周囲の多毛化の予防に関する説明を十 分に行うことで、さらに既治療患者との差異は少なくなる可能性も考えられる。
以上より、TRA/TIM点眼液は、新規患者に対しても前治療薬から切り替えて治療が行われた場 合と同様に安全性上大きな問題なく使用できるものと考えられた。
表 2.7.6.3.2-28 眼周囲の多毛化スコアの
1
以上の悪化がみられた症例 前治療 投与群 例数 悪化例数%
新規患者
TRA/TIM 48 7 14.6
TRA 44 5 11.4
既治療患者
TRA/TIM 81 8 9.9
TRA 83 10 12.0
2.7.6
個々の試験のまとめ(5.3.5.1.1(C-13*))65
*:新薬承認審査情報提供時に置き換えた
None:新規患者、Yes:既治療患者
図
2.7.6.3.2-11 眼周囲の多毛化スコアの分布(TRA/TIM
群)Baseline Week1 Week2 Week6 Week12
n= (48) (46) (47) (47) (45)
TRA/TIM (None)
0 20 40 60 80 100
(%)
0 1 2 3
Baseline Week1 Week2 Week6 Week12
n= (81) (81) (81) (81) (81)
TRA/TIM (Yes)
0 20 40 60 80 100
(%)
None:新規患者、Yes:既治療患者
図
2.7.6.3.2-11 眼周囲の多毛化スコアの分布(TRA
群)0 1 2 3
Baseline Week1 Week2 Week6 Week12
n= (83) (83) (83) (81) (78)
TRA (Yes)
0 20 40 60 80 100
(%)
Baseline Week1 Week2 Week6 Week12
n= (44) (44) (44) (43) (43)
TRA (None)
0 20 40 60 80 100
(%)
2.7.6
個々の試験のまとめ(5.3.5.1.1(C-13*))67
*:新薬承認審査情報提供時に置き換えた
③脈拍、血圧
脈拍及び血圧は、ベースライン検査日及び各検査日の
10
時に測定した。また眼圧を1
日4
回測 定した施設においては、各検査日の8
時(点眼前)にも測定した。有害事象の判定基準は、「ベー スライン検査時に比べ、臨床上重要な変化が認められたと治験責任医師等により判断された場合」とした。
a)
脈拍治験薬投与前後の「脈拍」の実測値の記述統計量を表
2.7.6.3.2-29
及び表2.7.6.3.2-30
に、ベース ラインからの脈拍の変化を表2.7.6.3.2-31
に示す。10
時測定において、12 週目観察日におけるベースラインからの脈拍数(平均値)の変化は、TRA/TIM
群-6.8 BPM、TRA群+0.4BPMであり、TRA/TIM群で有意(p<0.05、対応のあるt-検定)
な減少がみられた(表
2.7.6.3.2-31)。TRA/TIM
群とTRA
群の間に有意差(p<0.05、対応のない t-検定)がみられたが、TRA/TIM群の12
週目観察日(中止例の場合は中止日)における脈拍数の 低下が認められた症例(96例)のうち、ほとんど(88例)が20
拍以内の低下であり、重度の低 下は少なく、脈拍の低下による試験の中止例もみられなかった。8
時測定では、12週目観察日におけるベースラインからの有意な脈拍数の変化はいずれの投与 群でもみられなかった。また、投与群間にも有意差はみられなかった。治験責任医師により、臨床上問題があると判断された脈拍数の変化(有害事象)はみられなか った。
表
2.7.6.3.2-29 各観察時点(8
時)における脈拍数投与群
Baseline Week 1 Week 2 Week 6 Week 12
TRA/TIM
平均値
80.5 74.3 76.8 76.7 76.9
標準偏差14.1 13.1 15.3 15.1 13.2
例数
33 33 33 33 32
最小値
57 54 50 51 60
最大値
126 110 111 120 105
TRA
平均値
81.1 79.6 80.6 79.8 80.4
標準偏差14.6 13.6 14.5 14.4 14.8
例数
30 30 30 28 28
最小値
60 56 60 60 60
最大値
124 118 129 132 125
高齢者及び非高齢者の層別成績に関する記載は2.7.4.4.8項に示す。
表
2.7.6.3.2-30 各観察時点(10
時)における脈拍数投与群
Baseline Week 1 Week 2 Week 6 Week 12
TRA/TIM
平均値
74.9 68.1 67.9 68.2 68.2
標準偏差11.5 9.8 9.6 9.2 10.1
例数
129 127 128 128 126
最小値
52 47 47 51 48
最大値
110 98 112 91 96
TRA
平均値
75.5 75.8 75.8 75.3 76.0
標準偏差12.0 11.8 12.7 12.2 11.3
例数
127 127 127 124 121
最小値
54 54 55 50 55
最大値
113 111 119 119 111
高齢者及び非高齢者の層別成績に関する記載は2.7.4.4.8項に示す。
表
2.7.6.3.2-31 12
週目観察日におけるベースラインからの脈拍の変化(拍/分)10
時測定(全施設)8
時測定(4ポイント施設のみ)N
平均値(拍/
分) 群内検定N
平均値(拍/
分) 群内検定TRA/TIM 126 -6.8 p<0.05 32 -3.1 NS TRA 121 0.4 NS 28 -1.1 NS NS: Not statistically significant (P0.05)
1
)群内検定(ベースラインからの変化):対応のあるt-
検定2
)群間検定:対応のないt-
検定10時測定
TRA/TIM vs TRA (p<0.05)
8時測定TRA/TIM vs TRA(NS)
b)
血圧治験薬投与前後の「血圧」の実測値の記述統計量を表
2.7.6.3.2-32,-33,-35,-36
に、ベースライン からの収縮期及び拡張期の血圧の変化を表2.7.6.3.2-34
及び表2.7.6.3.2-37
に示す。収縮期血圧(平均値)については、10時測定において、TRA/TIM群と
TRA
群ともに、12週目 観察日におけるベースラインからの有意(TRA/TIM群p=0.0002、TRA
群p=0.0003、対応のある t-検定)な低下(-4.7mmHg、-5.0 mmHg)がみられた(表 2.7.6.3.2-34)。8
時測定では、いずれの 投与群でもベースラインからの有意な変化はみられなかった。8 時、10時測定ともに投与群間に 有意差はみられなかった。拡張期血圧(平均値)については、10時、
8
時測定ともに、いずれの投与群でも12
週目観察日 におけるベースラインからの有意な変化はみられなかった(表2.7.6.3.2-37)。また、投与群間にも
有意差はみられなかった。血圧に関連する治験薬との関連性を否定できない有害事象はなく、臨床上問題となる程度の変 化は認められなかった。
2.7.6
個々の試験のまとめ(5.3.5.1.1(C-13*))69
*:新薬承認審査情報提供時に置き換えた
表
2.7.6.3.2-32 各観察時点(8
時)における収縮期血圧投与群
Baseline Week 1 Week 2 Week 6 Week 12
TRA/TIM
平均値
138.8 135.6 136.0 134.9 135.6
標準偏差23.0 31.3 26.6 23.5 26.4
例数
33 33 33 33 32
最小値
85 90 90 95 90
最大値
178 246 198 190 220
TRA
平均値
131.6 130.5 130.7 130.0 129.0
標準偏差19.6 17.2 17.6 20.9 18.1
例数
30 30 30 28 28
最小値
92 90 90 90 92
最大値
174 163 157 179 157
高齢者及び非高齢者の層別成績に関する記載は2.7.4.4.8項に示す。
表
2.7.6.3.2-33 各観察時点(10
時)における収縮期血圧投与群
Baseline Week 1 Week 2 Week 6 Week 12
TRA/TIM
平均値
134.6 131.2 130.6 130.6 129.8
標準偏差19.5 19.7 20.3 19.4 19.3
例数
129 127 128 128 126
最小値
85 80 84 90 90
最大値
180 186 190 191 186
TRA
平均値
136.0 133.5 131.4 131.2 131.4
標準偏差19.3 19.4 18.6 18.6 19.2
例数
127 127 127 124 121
最小値
91 86 90 88 90
最大値
190 188 188 188 186
高齢者及び非高齢者の層別成績に関する記載は2.7.4.4.8項に示す。
表
2.7.6.3.2-34 12
週目観察日におけるベースラインからの収縮期血圧の変化(mmHg)10
時測定(全施設)8
時測定(4
ポイント施設のみ)N
平均値(mmHg) 群内検定N
平均値(mmHg) 群内検定TRA/TIM 126 -4.7 p<0.05 32 -3.3 NS
TRA 121 -5.0 p<0.05 28 -2.6 NS NS: Not statistically significant (P0.05)
1
)群内検定(ベースラインからの変化):対応のあるt-
検定2)群間検定:対応のない t-検定
10時測定 TRA/TIM vs TRA (NS) 8時測定 TRA/TIM vs TRA(NS)
表
2.7.6.3.2-35 各観察時点(8
時)における拡張期血圧投与群
Baseline Week 1 Week 2 Week 6 Week 12
TRA/TIM
平均値
81.1 78.5 81.4 79.2 79.0
標準偏差11.2 11.4 14.0 11.1 11.1
例数
33 33 33 33 32
最小値
55 55 51 54 60
最大値
106 102 122 106 98
TRA
平均値
80.0 79.6 77.6 77.4 77.1
標準偏差10.4 10.6 10.8 11.2 12.3
例数
30 30 30 28 28
最小値
58 54 48 52 42
最大値
103 98 98 103 105
高齢者及び非高齢者の層別成績に関する記載は2.7.4.4.8項に示す。
表
2.7.6.3.2-36 各観察時点(10
時)における拡張期血圧投与群
Baseline Week 1 Week 2 Week 6 Week 12
TRA/TIM
平均値
78.1 77.2 78.5 77.4 77.2
標準偏差11.0 11.7 11.6 10.6 10.5
例数
129 127 128 128 126
最小値
47 50 47 52 52
最大値
102 106 110 105 106
TRA
平均値
78.6 78.8 78.0 77.3 77.2
標準偏差11.2 11.5 10.7 12.6 11.3
例数
127 127 127 124 121
最小値
49 45 33 46 37
最大値
109 111 103 116 110
高齢者及び非高齢者の層別成績に関する記載は2.7.4.4.8項に示す。
表
2.7.6.3.2-37 12
週目観察日におけるベースラインからの拡張期血圧の変化(mmHg)10
時測定(全施設)8
時測定(4
ポイント施設のみ)N
平均値(mmHg) 群内検定N
平均値(mmHg) 群内検定TRA/TIM 126 -0.8 NS 32 -2.2 NS
TRA 121 -1.5 NS 28 -2.7 NS NS: Not statistically significant (P0.05)
1
)群内検定(ベースラインからの変化):対応のあるt-
検定2)群間検定:対応のない t-検定
10時測定 TRA/TIM vs TRA (NS) 8時測定 TRA/TIM vs TRA(NS)
④眼科検査所見
a)角膜
角膜所見の悪化は、TRA/TIM群
10
例(7.8%)、TRA群4
例(3.1%)にみられた。投与群間に有 意差はみられなかった。このうち、10例(TRA/TIM群7
例、TRA群3
例)について有害事象と して取り上げられ、TRA/TIM群の5
例(点状角膜炎3
例、角膜炎、アレルギー性結膜炎各1
例)は、治験薬との関連性を否定できない有害事象として取り上げられたが、症状は軽度~中等度で 関連性を否定された
1
例(角膜びらん)を除き消失に至った。2.7.6
個々の試験のまとめ(5.3.5.1.1(C-13*))71
*:新薬承認審査情報提供時に置き換えた
b)結膜
結膜所見の悪化は、
TRA/TIM
群5
例(3.9%)、TRA
群1
例(0.8%)にみられた。このうち、TRA/TIM
群の1
例(アレルギー性結膜炎)、TRA群の1
例(アレルギー性結膜炎)は、治験薬との関連性 を否定できない有害事象として取り上げられた。TRA/TIM群の1
例を除き軽度で、いずれも消失 に至った。投与群間に有意差はみられなかった。c)その他の眼科検査
虹彩/前房所見、水晶体、炎症性細胞、フレア、眼底(網膜/黄斑/脈絡膜、視神経、硝子体)所 見、C/D 比、視野、視力については、治験薬との関連性を否定できない悪化は、いずれの投与群 でもみられなかった。
⑤臨床検査
臨床検査は実施しなかった。
5)点眼剤の利便性に関する調査結果
本試験では、点眼剤の使用本数と利便性に関するアンケート調査を、本試験に参加した被験者 を対象に、治験開始時及び終了時に実施した。
全
256
例中、治験開始前に1
本の眼圧下降薬を使用していた被験者は82
例(TRA/TIM群:41 例、TRA
群:41
例)2
本以上の眼圧下降薬を使用していた被験者は79
例(TRA/TIM群:39例(2 本使用が31
例、3
本以上使用が8
例)、TRA群:40例(2本使用が29
例、3
本以上使用が11
例))であった。
治験開始前に眼圧下降薬を使用していた被験者(161 例)について、アンケート結果を以下に 示す。
a
)現在使用している本数の点眼剤の利便性(表2.7.6.3.2-38
)質問事項「現在使用している本数の目薬をさすことは、便利だと思いますか?」
上記の質問に対して、治験開始前(治験薬点眼開始前)に、点眼することが「めんどう」と回 答した被験者数は、1 本の眼圧下降薬を使用していた被験者で
7
例(8.5%)、2 本使用例では25
例(41.7%)、3本以上使用例では14
例(73.7%)であり、点眼薬の使用本数が増えるにつれ面倒 だと感じる被験者の割合が増加した。治験終了時の回答では、治験薬