第1章 背景,先行研究,問題の所在
2.2 本研究の計画
3.3.4 各観察の様子
3.3.4.2 観察2(言葉による観察記録)(粗粒花崗岩;観察記録時間 25 分間)
観察2の授業も,児童には全く予告なしで実施した。標本数に基づき近くの 席の児童による6人グループをその場でつくり,各グループに1個ずつ粗粒花 崗岩を配布し,安全に関する最低限の指示で開始した。観察・記録の時間設定 は,前回と同じ 25 分間とした。記録用紙も同じ書式とした。
標本配布のとき,「大きい!」という声が多く聞こえた。これは,粗粒花崗岩 の鉱物の大きさではなく,岩石標本自体の大きさに目を向けた児童の驚きの声 である。2回目であり,児童個々の観察・記録ということでグループが変わっ ても戸惑いもなく,自然に観察が始まった。例えば,標本の大きさに目が向い た児童は,「まずは大きさを調べよう」と自分の直定規で大きさを測り始めるな ど,前回の経験をベースに自分でやることを短時間に決めて観察を始めたよう だ(図 33-1)。待ち時間に友だちの観察の様子を見て,それをヒントにする児童 が見られたのは,前回と同様である。
前回見られなかった観察としては,筆箱の重さと比べようとしたことがあげ られる。児童が数名かかわり筆箱何個分かの重さを調べていたので,算数で似 た場面の学習があったことを思い出したようである。このように,前回の学習 に比べ活動の発展や自発的な児童相互のかかわりを感じる反面,ひとりでじっ くりと繊細な観察や詳細な観察を進める姿が減った印象を受けた。鉱物に目が 向きやすいと考えた粗粒な花崗岩であるものの,鉱物の様子よりも,標本の見 かけの大きさや重さの違いの方が,児童には印象深かったようである。
25 分間の観察中,前回の「観察1中粒」同様,観察2も児童はかなり集中し て取り組んだ。児童の様子を観察していて,言葉に書いて表す時間が減り,観 察対象物に対峙して調べる時間が増えた印象を持った。図 33-2 に観察2におけ る記録例を示す。なお,この観察2を以降「観察2粗粒」と表記する。
3.3.4.3 観察3(言葉による観察記録)(安山岩;観察記録時間 20 分間)
観察3の授業も,これまで同様,児童には全く予告なしで実施した。多くの 標本数を用意できたので,隣の席同士である二人に1個ずつ安山岩を配布し,
安全に関する最低限にしぼった指示のみで行なった。記録用紙も観察1・2と 同じ書式である。観察・記録の時間設定は,待ち時間が少ないため事前の計画 である 20 分間とした。なお,3回の観察それぞれグループを変更したが,例え ば体育の授業では頻繁にその場でグループを作るなど複数教科で似た場面を行
なってきたため,担任と全教科を学ぶ本学級の児童には普段通りということで,
臨機応変なグループ作成を自然に受けとめ活動できた。
安山岩を配布したとき,「小さい!」,「軽い!」という声が多く聞こえた。粗 粒花崗岩のときと同様,鉱物の大きさではなく,安山岩標本自体の大きさ,重 さによるものである。比較的短時間に何種類かの観察をスムーズに続けるなど,
3回目の観察ということで児童個々に自分の観察スタイルができてきたことが 見て取れた。また,鉛筆で標本をたたいてその音を聞く児童,向きを何度も変 えて様々な角度から観察する児童が増えたように見受けられるなど,観察する ことに時間をかけ,そこで得た情報を短時間に記載する姿が増えた印象を持っ た。一方,児童にとりこの活動はそろそろ限界であるように見えた。それは,
石に関する情報なしで観察するのはこれで3回目でもあり,「小学校2年生にと って飽きが来る頃」,「本学級児童にとって,そろそろいくらかの変化が必要な 頃」,「児童は観察してきた石に関する知識,情報を強く求めている」と,これ までの指導経験,本学級児童と一緒に過ごしてきた経験で判断されるためであ る。なお,この観察3を以降「観察3安山」と表記する。
3.3.4.4 もう一方の学級での観察(絵による観察記録)
(観察2で用いた粗粒花崗岩;観察記録時間 25 分間)
言葉を用いた記録内容の検討の際の参考とするため,同学年で別の学級児童 を対象に,児童に全く予告なしで実施した。指導は担任に委ねず,「観察1中粒」
〜「観察3安山」と同様,筆者が安全に関する最低限にしぼった指示のみで行 なった。「観察2粗粒」と同様,6人グループに1個ずつ粗粒花崗岩を配布し,
記録用紙に記載を求めた。記録用紙は,言葉による観察の記録用紙に準じて,
日づけや氏名と,「石のことを絵でしょうかいしてね」と書いただけのほぼ白紙 のA4サイズ横を自作・使用した。
授業者が突然変わったが,児童は違和感なく活動に入ることができた。この 学級の児童も絵日記風の記録しか経験がないため,児童は絵だけと聞いて一瞬 驚いたようだが,「まずは外形から」とばかり,すぐに記録を開始した。児童が 観察・記録する様子を見た範囲で言えば,ほぼ全員が標本の外形,つまり輪郭 から記載を始め,そのあと標本の表面模様の再現に進んだ。外形の記載がすん だあたりから,引き続きスムーズに記載する児童や,どう描いていいのか困っ た表情を浮かべ記載が進まない児童など,児童個々のペースがまちまちになっ