第1章 背景,先行研究,問題の所在
2.2 本研究の計画
3.2.7 小学校第4学年「月と星」における方位認識
3.2.7.5 月の学習における方位
方位認識の観点から言えば,“1日のうちでも時刻によって位置が変わる”こ との指導に着目したい。観察可能な場所があるなど学校によっては,月齢を考 慮すると理科授業時の観察も可能である。しかし,個々の児童が家庭で観察す るとなると,星の学習時同様,月の学習時も,事前に児童の方位認識を高めて おくことが必要となってくる。今回は,方位を確実に認識させるための“記録 用紙における方位の記載場所”を工夫したので,それを図 32-12 に示す。
学習後,図 32-13 に示した,ある記録用紙の図を見せ,その中の情報を元に 方位を答えさせた。その結果を表 32-8 に示す。学習前に「南を向いたときの左 右」の方位の認識が高い児童の正答が多いとは言え,観察記録図における方位 感覚を高めるのは,小学校第4学年の段階でも難しい指導であることが明らか となった。教科書等に記載されている言葉である「月は,東から南の空を通っ て西へと動く」などを記憶することは,理科授業で一般的に行われていること であろう。その記憶が,記録用紙を見て発揮できるかを確かめるため,満月が 動く方向を尋ねた(図 32-14)。その結果,学習前,「南を向いたときの左右」の 方位の認識が高い児童の正答が多い傾向にあることが分かった(表 32-9)。この 傾向は,一般的な月の動きを尋ねた質問(「東→南→西」「西→南→東」「東→北
→西」から選択)の結果とほぼ同じである(表 32-10)。方位認識があることと,
月の動きが分かることは関連があると考える。
図 32-1 調査1のペーパーテストの一部
図 32-2 調査2のペーパーテスト,調査2−Bの例(右手側を固定して)
図 32-3 指導計画と調査の位置づけ
図 32-4 Step1の指導の流れ
図 32-5 Step3;自分の前後左右の方位を考える
図 32-6 方位表記以外の情報が含まれる図から方位を考えるための図 引用:新興出版社啓林館「わくわく理科」
図 32-7 調査3のペーパーテストの一部(方位を固定して)
図 32-8 調査4(パフォーマンステスト形式)の質問・記録用紙
図 32-9 調査2と調査3の結果:( )内は児童数
図 32-10 調査2−B,3,4全部に回答した児童 70 名対象の
各調査における「正答のみ」「誤答あり」の人数変化
(図中の調査2は,調査2—Bを表す)
図 32-11 自作星座早見盤
図 32-12 星座早見盤の持ち方を問う
図 32-13 指導に用いた記録用紙
図 32-14 方位と月の動き
表 32-1 調査1と調査2—Aの比較
(表中の調査2は,調査2−Aを表す)
表 32-2 調査2−Bの結果(単位:名)
南,北を向いたときの右手側の方位のクロス表
表 32-3 調査2—Aと調査2−Bとの結果クロス表(単位:名)
表 32-4 調査4の結果(単位:%)
(表中の⬜︎が正答)
表 32-5 調査3誤答児童の調査4での回答クロス表(単位:名)
表中の( )は,左右逆の回答を含む児童数
表 32-6 方位認識習得が全く不十分な児童の調査3・4の回答
表 32-7 方位認識と星座早見盤の持ち方
表 32-8 方位認識と記録用紙の方位
表 32-9 方位認識と満月の動き
表 32-10 方位認識と満月の動き
3.3 小学校第2学年 石の観察:「石のしょうかい」
(③小学校低学年の観察記録の検討)