第 7 章 数式の書き方 79
8.2 表
8
図表を文章中で参照するときは「上の図は何々」や「前述の図は何々」と参照してはい けません.必ず付加した通し番号で「図3.8は何々」として\ref命令で参照します.そ のためには\label命令でラベルを付け加えることになります.間違っても手動で図表の 番号を書かないで下さい.
8.2 表
LATEXで表を作るためにtabbing環境,tabular環境,array環境の三つが用意され ております.array環境は7.5.5節にて紹介していますのでそちらを参照してください.
tabbing環境も簡単に表が作成できる環境なのですが,tabularのほうが記述が楽だと 思いますので,ここではtabularのみを紹介します.tabular環境は次のように記述し ます.
\begin{tabular}{列指定子} a11 & . . . & a1n \\
... & . .. & ... \\
am1 & . . . & amn
\end{tabular}
行列とほぼ同じです.違うのは数式環境には入れなくても良いということです.
列指定子とはそのtabular環境における表の列数や縦方向の罫線などを決めるもので す.tablar環境で使用できる主な列指定子は表8.3の通りです.tabular環境における
表8.3 tabular環境の主な列指定子 列指定子 意味
l 行列の縦1列を左揃えにする c 行列の縦1列を中央揃えにする r 行列の縦1列を右揃えにする
| 縦の罫線を引く
|| 縦の2重罫線を引く
@{表現} 表現を1列追加する p{長さ} ある列の幅を直接指定する
*{回数}{項目} 回数分だけ項目を繰り返す
各要素(成分)はアンド‘&’で区切ります.‘\\’を行の終わりとしますので例えば1行3 列の表は次のようになります.
\begin{tabular}{ccc}
\LaTeX2.09 & \LaTeXe & \LaTeX3\\
\end{tabular}
LATEX2.09 LATEX 2ε LATEX3
横方向に罫線を引くには\hline,要素の中で縦の罫線を引くときには\vlineなどを使 います(表8.4).横方向の罫線を引くには\hlineを,行を連結するには\multicolumn
を使います.
表8.4 tabular環境中での罫線の命令
命令 意味
\hline 横に引けるだけの罫線を引く
\hline\hline 引けるだけの2重の横罫線を引く
\vline 要素の中で引けるだけの縦罫線を引く
\cline{h範囲i} 要素の罫線を行の範囲を指定して引く
\multicolumn{h数値i}{h列指定子i}{h要素i} 行を繋げて列指定子通りに要素を出力する
\begin{tabular}{|c|c|c|}
\hline
\multicolumn{3}{|c|}{{\LaTeX}} \\\hline
\LaTeX2.09 & \LaTeXe & \LaTeX3 \\\hline
\end{tabular}
LATEX
LATEX2.09 LATEX 2ε LATEX3
レポートや論文では表には表見出しを付けて中央揃えにするのが望ましいと思われます ので以下のようなフォーマットになります.
\begin{table}[htpb]
\begin{center}
\caption{表の出力例}\label{tab:tabular:example}
\begin{tabular}{llcr}
\hline
出力例 & 1 & 2 & 3 \\ \hline
\LaTeX の遷移& \LaTeX2.09 & {\LaTeXe}& \LaTeX3 \\\hline
\end{tabular}
\end{center}
\end{table}
上記のソースの出力例が表8.5となります.毎回このような記述をしていたのでは疲れま 表8.5 表の出力例
出力例 1 2 3
LATEXの遷移 LATEX2.09 LATEX 2ε LATEX3
すので,表用のmytab環境を次のように定義します.
\newenvironment{mytab}[3][htbp]
{\begin{table}[#1]\begin{center}\caption{#2}\label{#3}}
{\end{center}\end{table}}
こう定義しておけば
\begin{mytab}[htbp]{中央揃えで見出しのある表の環境}{tab:hoge}
\begin{tabular}{lll}
8.2 表 107
8
\LaTeX2.09 & \LaTeXe & \LaTeX3\\
\end{tabular}
\end{mytab}
のように使うことができるわけです.
H 8.2.1 表中の脚注
tabular環境中での脚注はうまく出力できないことが多いようです.その場合は
\footnotemarkと\footnotetextの二つを使います.
\footnotemark[h番号i]
\footnotetext[h番号i]{h注釈内容i}
\footnotemarkで脚注記号を表示し,\footnotetextに注釈を書きます.
\begin{tabular}{|c|c|c|} \hline 一つ目\footnotemark[1] &
二つ目\footnotemark[2] &
三つ目\footnotemark[3]\\ \hline
\end{tabular}
\footnotetext[1]{表中一つ目の脚注です.}
\footnotetext[2]{表中二つ目の脚注です.}
\footnotetext[3]{表中三つ目の脚注です.}
\\ちょっと表示が変になっています.
一つ目*1 二つ目*2 三つ目*3 ちょっと表示が変になっています.
a表中一つ目の脚注です.
b表中二つ目の脚注です.
c表中三つ目の脚注です.
上記の方法ではうまくいかない場合は手動で脚注を付けることもできます.
\begin{tabular}{|c|c|c|}\hline 一つ目${}^{a}$ & 二つ目${}^{b}$ &
三つ目${}^{c}$ \\ \hline
\end{tabular}
{\footnotesize \\
$^{a}$表中一つ目の脚注です.\\
$^{b}$表中二つ目の脚注です.\\
$^{c}$表中三つ目の脚注です.}
一つ目a 二つ目b 三つ目c
a表中一つ目の脚注です.
b表中二つ目の脚注です.
c表中三つ目の脚注です.
H 8.2.2 表作成支援ツール
LATEXで0から表を組むのは初心者には辛いかもしれません.GUIベースのプログラ ムで表を作成し,それをLATEXのtabular環境の記述に変換するツールを使うと良いで しょう.MicrosoftのExcelを使っている場合は中尾誠氏のExcel2latex
http://www32.ocn.ne.jp/~butcher_bird/Mac/Excel.html や浦壁厚郎氏のExel2tabular
http://www.ne.jp/asahi/i/love/E2T/
などがありますので参考にしてください.これらのプログラムはMicrosoftのExcelで作 成された表をLATEXのソースに変換します.
MicrosoftのExcelではなくOpenOffice.orgのCalcを使っているならば阿部昌平氏の Calc2LaTeX
http://web.hc.keio.ac.jp/~mr041754/calc2latex/indexj.html
というものがあるそうです.これを使えばCalcで作成した表をtabular環境に変換し,
表としてLATEXに貼り付けることが出来ます.