第 9 章 L A TEX の応用 117
10.1 中間報告のサンプル
中間報告は当大学の規定で,2ページ程度にまとめることになっています.この場合,
題名,概要,参考文献,図表などを要領よく整理することが重要になります.そのため 中間報告では2段組にするにが良いでしょう.2段組にすると以下のような利点があり ます.
• 1段組よりも適切な文字数で改行される.
• 図を取り込むときに\columnwidthを使える.
中間報告のサンプルソースファイルと出力結果をご覧ください.このサンプルに使って いる文書クラスは奥村晴彦氏のjsarticleです.サンプルのソースファイル中には注意事項 なども書いていますので参考にしてください.
jsarticleを使わずにarticleやjarticleを使わなければならないならば,概要については 表題の下に1段組で出力するでしょうからabstractパッケージを使ってみてください.
abstractでは\twocolumn命令の任意引数の中で\onecolabstract命令を使います.
\twocolumn[{\maketitle
\begin{onecolabstract}
概要部分
\end{onecolabstract}}]
jsarticleを使った例のソースファイルです.
\documentclass[dvipdfm,twocolumn]{jsarticle}
\columnseprule 0.5pt% 段間の罫線
\usepackage{epic,eepic,amssymb,amsmath,graphicx,url}
\title{2段組での中間報告のサンプル}
\author{{\small システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科}\\
m1202147 渡辺 徹 \\ 指導教官 未来 太郎}
\date{\today} % \today 命令は文書を作成した日付が代入される
% 本文開始
\begin{document}
\begin{abstract}% 概要
論文作成においては\LaTeX{}を使用するのが望ましいが,近年では事務処理用の Wordがその代わりとなっているように見受けられる.今回は, はこだて未来大学 においてどの程度Wordや\LaTeX{}が浸透しているのかを2003年度の卒業研究から 提出される中間レポートを参考に統計を取ってみた.結果は予想通りWord人口が 圧倒的に多かった.また,この中間報告のサンプルの内容は出たら目であるので,
あくまで入力例として参考にしてもらいたい.
\end{abstract}
\maketitle% 表題
\section{目的}
当大学では卒業研究の中間報告として中間レポートを提出するようになってい る.各自がどのようなアプリケーションを使っているのかを調査することが今 回の目的である.
\section{方法}
直接研究生にアンケートをとったわけではなく,ウェブページ上で2003年9月 10日までに提出されているレポートを調査対象とした.
\section{結果}
提出されているレポートを大まかに調査した結果が表~\ref{2bansenji}となる.
これは研究生がどのようなアプリケーションで中間レポートを作成したのかを 調べた結果である.どうしても判別できないものは\emph{その他}の項目に入れてあ る.レポートの最終形態ではなく,原稿を作成する段階で使ったアプリケーシ ョンを示している.
\begin{table}[htbp]
\begin{center}
\caption{データの分析結果}\label{2bansenji}
\begin{tabular}{lrr}
\hline
項目 & 人数 (人)& 割合 (\%) \\
\hline
Word & 75 & 45.2 \\
\LaTeX{} & 26 & 15.6 \\
HTML & 54 & 32.5 \\
Illustrator & 4 & 2.4 \\
OpenOffice & 1 & 0.6 \\
その他 & 6 & 3.0 \\\hline 合計 & 166 & 100 \\\hline
10.1 中間報告のサンプル 129
10
\end{tabular}
\end{center}
\end{table}
これらの結果は二次的に入手した情報のため,データに若干の誤りがある.直 接アンケートをとって調べればもっと正確な情報が収集できるが,今回は簡易 的な形をとった.
\section{考察}
以上の結果から,現在HTMLで作成している人物はWordを使う事になるだろう.
結果があくまで中間報告である事を考えれば,Word人口がこれから増えること は明白である.今度の働きかけ次第で当大学の\LaTeX{}人口を増加させること も可能である.
この現象を天下り的にフーリエ変換で解析する.まず,フーリエ変換で関数
$f(x)$を定義する.この関数$f(x)$は変換のための区間を必要とするので,
区間を$[-L,L]$とする.すると以下の式が定義から導出される.
\begin{eqnarray*}
f(x)& = & \frac{a_0}{2} + \sum^{\infty}_{n=1} \left( a_n \cos
\frac{n\pi x}{L} + b_n \sin \frac{n\pi x}{L} \right) \\
a_n & = & \frac{1}{L} \int^{L}_{-L} f(u) \cos \frac{n\pi u}{L} du\\
b_n & = & \frac{1}{L} \int^{L}_{-L} f(u) \sin \frac{n\pi u}{L} du
\end{eqnarray*}
よって,次式~(\ref{eq:fourier1})が新たに得られる.
\begin{eqnarray}
f(x) & = & \frac{1}{2L} \int^{L}_{-L} f(u) du \nonumber\\
& + & \sum^{\infty}_{n=1} \left[ \frac{1}{L} \int^{L}_{-L}
f(u) \cos \frac{n\pi x}{L} du \cdot \cos \frac{n\pi x}{L}
\right. \nonumber \\
& + & \left. \frac{1}{L} \int^{L}_{-L} f(u) \sin
\frac{n\pi u }{L}du \cdot \sin \frac{n\pi x}{L} \right]
\label{eq:fourier1}
\end{eqnarray}
式~(\ref{eq:fourier1})を\(L\rightarrow\infty\)にしたりしてフーリエ変 換は一般に式~(\ref{eq:fourier2})のように書き表すことができる.
\begin{equation}
F(\alpha )= \frac{1}{\sqrt{2\pi}} \int^{\infty}_{-\infty}
f(u) e^{-t\alpha u}du \label{eq:fourier2}
\end{equation}
式~(\ref{eq:fourier2})を使って今回の結果を解析することは,現段階では非 常に困難であると容易に考察できる.
\section{今後の展望}
今回得られた調査結果を下にGnuplotでデータをプロットする作業が続くもの と思われる.また,グラフは主にGnuplotから挿入するのが望ましいとされる.
Gnuplotから挿入したグラフは図~\ref{fig:sample}となる.
\begin{figure}[htbp]
\begin{center}
%\input{abstgnu.tex} % ファイルからの読み込み
\fbox{\rule{0pt}{3zw}\rule{3zw}{0pt}}
\caption{picture環境で描画した図形}\label{fig:sample}
\end{center}
\end{figure}
\nocite{*}
\begin{thebibliography}{10}%参考文献
\bibitem{latexcompanion}
Michel Goossens, Frank Mittelbach, and Alexander Samarin.
The \LaTeX コンパニオン. 東京アスキー, 1998.
\bibitem{latexgraphics}
Michel Goossens, Sebastian Rahtz, and Frank Mittelbach.
\LaTeX グラフィックスコンパニオン. 株式会社アスキー, 2000.
\bibitem{bibunsyo}
奥村晴彦.
[改訂第3版] {\LaTeXe} 美文書作成入門. 技術評論社, 2004.
\bibitem{platex2e}
乙部厳己, 江口庄英.
{\em {p\LaTeXe} for Windows Another Manual Vol.1 Basic Kit 1999}.
ソフトバンク, 1998.
\bibitem{linuxthesis}
臼田昭司, 伊藤敏, 井上祥史. Linux論文作成術.
オーム社, 1999.
\bibitem{metafont}
Donald~E. Knuth.
\textsf{METAFONT} ブック. アスキー, 1994.
\bibitem{jtexbook}
Donald~E. Knuth.
改訂新版{\TeX}ブック. アスキー出版局, 1992.
\end{thebibliography}
\end{document}
10.1 中間報告のサンプル 131
10 2
段組での中間報告のサンプルシステム情報科学部 情報アーキテクチャ学科
m1202147渡辺 徹 指導教官 未来 太郎
2004年9月20日
概要
論文作成においてはLATEXを使用するのが望ましいが,近年では事務処理用のWordがその代わりと なっているように見受けられる.今回は,はこだて未来大学においてどの程度WordやLATEXが浸透し ているのかを2003年度の卒業研究から提出される中間レポートを参考に統計を取ってみた.結果は予想 通りWord人口が圧倒的に多かった.また,この中間報告のサンプルの内容は出たら目であるので,あ くまで入力例として参考にしてもらいたい.
1 目的
当大学では卒業研究の中間報告として中間レポー トを提出するようになっている.各自がどのような アプリケーションを使っているのかを調査すること が今回の目的である.
2 方法
直接研究生にアンケートをとったわけではなく,
ウェブページ上で2003年9月10日までに提出さ れているレポートを調査対象とした.
3 結果
提出されているレポートを大まかに調査した結果 が表1となる.これは研究生がどのようなアプリ ケーションで中間レポートを作成したのかを調べ た結果である.どうしても判別できないものはその 他の項目に入れてある.レポートの最終形態ではな く,原稿を作成する段階で使ったアプリケーション を示している.これらの結果は二次的に入手した 情報のため,データに若干の誤りがある.直接アン ケートをとって調べればもっと正確な情報が収集で きるが,今回は簡易的な形をとった.
表1 データの分析結果
項目 人数(人) 割合(%)
Word 75 45.2
LATEX 26 15.6
HTML 54 32.5
Illustrator 4 2.4
OpenOffice 1 0.6
その他 6 3.0
合計 166 100
4 考察
以上の結果から,現在HTMLで作成している人 物はWordを使う事になるだろう.結果があくま で中間報告である事を考えれば,Word人口がこれ から増えることは明白である.今度の働きかけ次第 で当大学のLATEX人口を増加させることも可能で ある.
この現象を天下り的にフーリエ変換で解析する.
まず,フーリエ変換で関数f(x)を定義する.この 関数f(x)は変換のための区間を必要とするので,
区間を[−L, L]とする.すると以下の式が定義から 1
導出される.
f(x) =a0
2 + X∞ n=1
³ ancosnπx
L +bnsinnπx L
´
an=1 L
ZL
−L
f(u) cosnπu L du bn=1
L ZL
−L
f(u) sinnπu L du よって,次式(1)が新たに得られる.
f(x) = 1 2L
ZL
−L
f(u)du
+ X∞ n=1
"
1 L
ZL
−L
f(u) cosnπx
L du·cosnπx L + 1
L ZL
−L
f(u) sinnπu
L du·sinnπx L
# (1)
式(1)をL→ ∞にしたりしてフーリエ変換は一般 に式(2)のように書き表すことができる.
F(α) = 1
√2π Z∞
−∞
f(u)e−tαudu (2)
式(2)を使って今回の結果を解析することは,現段 階では非常に困難であると容易に考察できる.
5 今後の展望
今回得られた調査結果を下にGnuplotでデータ をプロットする作業が続くものと思われる.また,
グラフは主にGnuplotから挿入するのが望ましい とされる.Gnuplotから挿入したグラフは図1と なる.
図1 picture環境で描画した図形
参考文献
[1] Michel Goossens, Frank Mittelbach, and Alexander Samarin. The LATEXコンパニオ ン.東京アスキー, 1998.
[2] Michel Goossens, Sebastian Rahtz, and Frank Mittelbach. LATEXグラフィックスコ ンパニオン.株式会社アスキー, 2000.
[3]奥村晴彦. [改訂第3版] LATEX 2ε美文書作成入 門.技術評論社, 2004.
[4]乙部厳己,江口庄英.pLATEX 2εfor Windows Another Manual Vol.1 Basic Kit 1999.ソフ トバンク, 1998.
[5]臼田昭司,伊藤敏,井上祥史. Linux論文作成 術.オーム社, 1999.
[6] Donald E. Knuth.METAFONTブック.アス キー, 1994.
[7] Donald E. Knuth.改訂新版TEXブック.アス キー出版局, 1992.
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