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書体について

ドキュメント内 How to write your own thesis tutorial with LaTeX2e (ページ 51-54)

第 2 章 L A TEX の基本 5

3.19 書体について

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人事異動のお知らせ

\end{center}

あなたは2004年度から檜山方面に配属されます.

\begin{flushright} 以上 \end{flushright}

緊急連絡 2004年3月31日 渡辺 徹殿

未来会社 人事課 人事異動のお知らせ

あなたは2004年度から檜山方面に配属されます.

以上

3.19 書体について

文字(character)は意思伝達手段であって,長いあいだに洗練された媒体です.怒りの

意思を強く込めたいならば人は荒々しく文字を書くでしょうし,優しさを込めたいなら ば丸みを帯びた書き方になるでしょう.以上のような文字の形を書体(typeface)と呼び ます.

世の中にはこれらを書体というひとつの枠組みで整理しています.書体は読者に対して 何らかのメッセージを分かりやすく伝えるために変更される場合があります.ですから書 体を変更するということには必ず意味があるべきなのです.むやみやたらに書体を変更し ても逆に読者を混乱させます.また自分だけのルールで書体を変更しても読者には何の意 味なのかが分かりませんので,一般的に使われている書体に関するルールを守るのもマ ナーです.

LATEXはマークアップ型のシステムなのでユーザーが直接書体変更用の命令を使うこと は本来ならば必要のないことだと思われます.以下のコマンドは直接使うのではなく新規 に環境を定義して用いるのが望ましいでしょう.

H 3.19.1 文字の大きさの変更

LATEXにおいては比較的簡単に文字の大きさを変えることが可能ですが,文字は文書ク ラスオプションで指定した基準の文字の大きさに応じて変更されます .文字の大きさを 変更したいときは表3.11の宣言型のコマンドを

{\命令 文字の大きさを変えたい文字列}

のように使用します.

表3.11 文字の大きさの変更

大きさ 命令 出力例

とても小さい \tiny 野鳥

かなり小さい \scriptsize 花鳥

小さい \footnotesize 雷鳥

やや小さい \small 白鳥

普通 \normalsize 飛鳥

やや大きい \large

やちょう

大きい \Large

かちょう

かなり大きい \LARGE

らいちょう

とても大きい \huge

はくちょう

特大 \Huge

ひちょう

表3.12 基準の文字の大きさによるコマンドの挙動の違い コマンド\基準の大きさ 10 pt 11 pt 12 pt 使用すべき要素

\tiny 5 pt 6 pt 6 pt 振り仮名

\scriptsize 7 pt 8 pt 8 pt

\footnotesize 8 pt 9 pt 10 pt 索引・脚注

\small 9 pt 10 pt 11 pt 図表見出し

\normalsize 10 pt 11 pt 12 pt 小小節見出し・本文

\large 12 pt 12 pt 14 pt 小節見出し

\Large 14 pt 14 pt 17 pt 節見出し

\LARGE 17 pt 17 pt 20 pt

\huge 20 pt 20 pt 25 pt 部・章見出し番号

\Huge 25 pt 25 pt 25 pt 部・章見出し

使用すべき要素は1段組での場合です.

そういえば,{\scriptsize これ}は小さい文字だ けど,{\Large こっち}は大きい文字になってる ね.

そういえば,これは小さい文字だけど,

こっち

大きい文字になってるね.

このような書体の大きさを変更するコマンドを直接使うのは好ましくなく,きちん とマークアップ付けをするべきです.例えば強調のために文字を大きくしたいのであれば 新規に \kyocho命令を作ります.

3.19 書体について 41

3

\newcommand{\kyocho}[1]{{\Large#1}}

\newcommand{\Kyocho}[1]{{\LARGE#1}}

ああそういえば\kyocho{ここは大事だからね}. それに\Kyocho{ここはもっと大事}だよ.

ああそういえば

ここは大事だからね

. それに

ここはもっと大事

だよ.

H 3.19.2 書体の変更

LATEXにおいて書体の種類は次の四つに分けられます.サイズに関しては前述の通り です.

ファミリー デザイン上の系統の種類.

シリーズ 線の太さと文字幅の違いによる種類.

シェイプ 形状の変化の違いによる種類.

サイズ フォントの大きさ.

ローマンファミリーは本文の書体に使います.サンセリフファミリーは見出しなどに使 うべきですが,近年の公式な文書においてもサンセリフファミリーが本文に使われること もあります.タイプライタファミリーはプログラムのコードを示す場合に使われます.

表3.13の一覧から適切な書体を選んでください. ファミリーとシリーズとシェイプは 表3.13 書体を変更するコマンド

種類 命令 宣言 出力

ローマンファミリー \textrm \rmfamily ABCabc サンセリフファミリー \textsf \sffamily ABCabc タイプライタファミリー \texttt \ttfamily ABCabc ミディアムシリーズ \textmd \mdseries ABCabc ボールドシリーズ \textbf \bfseries ABCabc イタリックシェイプ \textit \itshape ABCabc スラントシェイプ \textsl \slshape ABCabc スモールキャピタルシェイプ \textsc \scshape ABCabc

それぞれ組み合わせて使うことが出来ます.例えば「セリフがなくて太いフォント」とい う文字を出力したければ次のようにします.

\textsf{\textbf{Typeface}}

{\sffamily\bfseries Typeface} Typeface Typeface

使用している基本書体によっては出力できないタイプもあります.

\texttt{\textit{Typewriter bold extended?}} \textsc{Small Caps}.

\textit{\textbf{Bold italic}}.

{\ttfamily \itshape typewriter bold extended.}

Typewriter bold extended? Small Caps. Bold italic. typewriter bold extended.

書体のファミリーやシェイプなどを先に指定してから大きさを変更します.

{\Large\textbf Large Bold?} 成功.\\

{\textbf\Large Bold Large?} 失敗.

Large Bold?

成功.

Bold Large? 失敗.

和文の書体は基本的には明朝体とゴシック体の二つしか用意されていません(表3.14). これは従来の和文組版で二つの書体しか使われなかった名残です.現在のpLATEXで和文 の多書体を図ることはそれ程難しくありません.ただ不用意に和文を多書体にしても読者 がそれに慣れていないと思われますので,悪戯に行わないほうが良いかもしれません.

表3.14 和文書体のファミリー

種類 命令 宣言 出力

明朝ファミリー \textmc \mcfamily 永字八法とは何ですか?

ゴシックファミリー \textgt \gtfamily 永字八法とは何ですか?

和文組版において明朝体は通常の文章の組版,

ゴシック体は\textgt{文章の強調に}使われま す.{\gtfamily 見出しも強調すべき要素なの でゴシック体にするのが普通です.}

和文組版において明朝体は通常の文章の組版,ゴ シック体は文章の強調に使われます.見出しも強調 すべき要素なのでゴシック体にするのが普通です.

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