第 2 章 L A TEX の基本 5
3.15 引用や文の区切り
文献から一文を引用する,段落を引用するという場面があると思います.引用において は「いくつかの単語」,「文」,「段落」,「複数の段落」の四つの引用形態があります.
単語の引用 欧文はシングルクオート‘ ’を使い,和文はかぎ括弧 「 」を使う.
文の引用 欧文はダブルクオート“ ” を使い,和文はかぎ括弧 「 」を使う.
段落の引用 quote環境を使い,別段落に組む.複数段落を記述しても,字下げが行なわ れない.
複数段落の引用 quotation環境を使い,別段落に組む.各段落では字下げが行なわ れる.
引用の引用 すでに引用している文をさらに引用するならば,欧文は‘ “ ” ’のようにし,
和文は「 『 』 」とする.
シングルクオートも2種類あり左シングルクオート(‘)はキーボードのShiftを押し ながら @ を押し,右シングルクオート(’)はShiftを押しながら 7 を押すと入力でき ると思います.LATEXではこれらを区別して記述します.絶対に Shift+ 2 を押してダ ブルクオート‘"’で引用符を代用してはいけません.
文の引用ではダブルクオートを使います.Wordなどでダブルクオートを挿入すれば自 動的に“一文”のように変換されますがLATEXではシングルクオートをうまく組み合わせ て記述します.これは左シングルクオートを二つと右シングルクオートを二つで括ること になります.他に1文用のquote環境や段落ごと引用するためのquotation環境があり ます.
‘単語はシングルクオートで囲む’
‘‘文はダブルシングルクオートで囲む’’
さらに段落ごと引用する場合は段落の左側を字下げして出力します.場合によっては文 字を小さくします.一つの段落だけを引用する場合はquote環境を,複数の段落を引用 するならばquotation環境を使います.
\begin{quote}段落引用はquote環境で囲む\end{quote}
\begin{quotation} 段落引用はquotation環境で囲む\end{quotation}
一般的に以下のような使い方になります.
‘単語’の引用はシングルクオートで‘‘文章の一 文’’の引用は左シングルクオート二つと右シン グルクオート二つです."ダブルクオート"で 引用符を表してはいけません.
‘単語’の引用はシングルクオートで“文章の一文”の 引用は左シングルクオート二つと右シングルクオー ト二つです."ダブルクオート"で引用符を表して はいけません.
段落を引用するquote環境の他にも
\begin{quote} 行頭の字下げをする 段落引用のquotation環境がある.
\end{quote} といわれている.
段落を引用するquote環境の他にも
行頭の字下げをする段落引用のquotation 環境がある.
といわれている.
3.15 引用や文の区切り 31
3
和文の引用における引用符は全角のかぎ括弧「」を使い,欧文の場合の引用符には半角 のクオート‘’を使います.和文の引用の中の引用には二重括弧を用います.和文の場合,
括弧の中に句点を入れてはいけません.
‘‘\,FUN: Future University-Hakodate’’
は恐らく‘FUNNIST’との密接な関わりがあり,
渡辺によると「未来らによると『FUNNISTはFUNに ある組織である』という説がある」と考察して いる.
“ FUN: Future University-Hakodate” は 恐 ら く
‘FUNNIST’との密接な関わりがあり,渡辺による
と「未来らによると『FUNNISTはFUNにある組 織である』という説がある」と考察している.
H 3.15.1 書籍名や雑誌名の引用
書籍名や雑誌名を引用する場合はその名前をイタリック体にします.欧文の場合は
\emph命令を使います.和文の書籍名を引用する場合は二重かぎ括弧『 』を,雑誌名を
引用する場合はかぎ括弧「 」を使います.
\emph{harticle’s Namei}(欧文の場合)
『書籍名』(和文の書籍)
「雑誌名」(和文の雑誌)
以上のような方法を使って何か別の文書を示す場合はその文書名を強調表示します.
渡辺が2004年に\emph{Natural}に投稿した論文
「論文作成のいろは」は未来出版から『論文作 成の手引き』に改題されて出版されている.
渡辺が2004年にNaturalに投稿した論文「論文作 成のいろは」は未来出版から『論文作成の手引き』
に改題されて出版されている.
H 3.15.2 ダッシュ
ダッシュには和文と欧文のものを併せると4種類ほどあります.ひとまとめにしたい単 語の区切りや,文の中断などに使います.
en-dash ‘–’ 数値の範囲などを表します.和文の場合は波ダーシ‘〜’を使う例も見られ ますが,「10〜30人」という表記は避けた方が無難です.
em-dash ‘—’ 文の中断を表します.
全角ダーシ ‘―’ 欧文のen-dashに近い意味を表しますが,若干高さが違います.
倍角ダーシ ‘―――’ 和文での文の中断などを表します.
さらにダッシュに似たものにハイフンとマイナスがあります.
ハイフン ‘-’ 欧文で単語の途中にハイフネーションとして挿入される.
マイナス ‘−’ 数学記号で負の数値を表す.
以上の記号を混同することなく正しく使うのが好ましいです.倍角ダーシを出力するた
めにはokumacroパッケージを読み込みます.出力方法は表3.9の通りです.
‘‘When I was a dog---a big dog---I could read about 100--200 books in a day.
This is a just fairy-tale.’’\par
“When I was a dog—a big dog—I could read about 100–200 books in a day. This is a just fairy-tale.”
表3.9 ダッシュなど 記号の種類 出力 入力・命令
en-dash – -- ハイフンを二つ
em-dash — --- ハイフンを三つ
全角ダーシ ― ― 全角のダッシュ 倍角ダーシ ――― \―― ‘\’と全角ダーシ二つ ハイフン - - そのまま
マイナス − $-$ 数式中でハイフン一つ
通常ハイフンやダッシュの両隣には空白を入れません.ハイフンによって単語を一塊に している語句は,ハイフンの途中で改行してはいけません.これは通常の1単語のハイフ ネーションと重複する可能性があるからです.
{\TeX}の\mbox{for-each}文はPerlにおける
\mbox{foreach}文とは性質が異なるた め,\mbox{X-ray}の影響を受けた Future \mbox{University-Hakodate}は
\mbox{if-then}文を使う傾向にある.
TEXのfor-each文はPerlにおけるforeach文とは
性質が異なるため,X-rayの影響を受けたFuture
University-Hakodate はif-then文を使う傾向に
ある.
H 3.15.3 改行
改行 (line break) はバックスラッシュ‘\’(Windowsなどでは円‘Y=’)を二つ並べて
‘\\’のようにすれば入れることが可能ですが,文章の中に改行を入れるときは慎重に挿入 しなければいけません.できることならばユーザ側の強制的な改行は挿入しないほうが良 いでしょう.同じ段落とある文字列を区別したいときは改行ではなく引用(3.15節参照)
を使うとうまく行くことが多いです.
\\*[h長さi]
\newline
\par
任意引数に改行を行うときの縦の長さを指定できます.ページの先頭での改行を行うこ とはできません.アスタリスクを付けると改行直後にページを改めることを禁止します.
\newlineは‘\\’とほぼ同時の命令です.\par は改行ではなく改段落,すなわち段の終 わりを示します.その直後の文字列は字下げされます.
改行は\verb|\\| のように\\バックスラッシュ を二つ続けて書くと\\[1cm]ユーザによる強制的 な改行が挿入されます.\par
この文章は新しい段落から組まれ\newline 字下げされる場合があります.
改行は\\のように
バックスラッシュを二つ続けて書くと
ユーザによる強制的な改行が挿入されます.
この文章は新しい段落から組まれ 字下げされる場合があります.