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第4節 蜜柑作の相対的有利性と農家経済との関連
第1項 蜜柑イ乍とその他の主要部門との収益性
以上蜜柑作は労働の利用に∴机、て年間かなり連続性があり,特に12月から3〜4月にかけての労働利用が多い こと.,および役畜や農機具の利用においても,米麦作に対して補合的関係が認められ これらの年間利用日数を 増加せしめて,1日当り利用費用を低下させるという面を・もっているものゝ,他方では6〜7月や11′Y12月に おける労働とか,堆厩肥などの利用を通じて米麦作部門と競合関係が認められるのであり,・山・般的に.蜜柑作が労 働集約的であり,殊に適期に,しかも適切な方法によって諸作共が行われるか香かによって,生産性に大きな差 異を示すものであるだけに,他の部門との競合関係は,経営規模の増大とゝもに大きな障害となり易い,.かくし
て蜜柑作経営においては専業的経営の生産力が一般的に高く,従って経営発展の方向として専菓経営化の方向を とるという一L般的事情が祝われたのである
もっとも蜜柑作が他の競合作物を排除し,専業化するためには,農家が各時点に.おける自家労働の投下や資本 財の利用に.対し,蜜柑作が十分な雇傭を与えるに足る規模と圧倒卸こ高い有利性をもたなければならないし,さ らに現実に競合部門が既に存在しており,それぞれの間の諸関係を如何ように調整すべきであるかが経営上問題 とされる場合には,各作物の相対的有利性が問題となるであろう.慧し経営要素用役の利用配分においてほ,こ れらの各部門に投入される用役の限界生産力が均等になるような,騒と仕かこおいて決定挙れると考えられるか らである.もつとも限界価値生産力の計測は困難であるが故に,ここでは一応の指標として生産要素の平均価値 生産力=収益力によって枚討することゝする
なお以下の計算値は簡記調査の昭和29及び30年皮の2ケ年間の結果であり,計算そのものも凝営経済的な立 場から行ったものであって,長期的検討を要する問題の究明には必ずしも満足なものではない… しかし五郷村に おける蜜柑作の米麦作に対する経済的競車力を傾向的に捉えることは出来ると考えられる一また計労の方法は農 家経済番記の決算縛果を基礎とした所謂拡張計算によるものであるが,この場合の作物部門別経営費乃至生産費 用の界出のための評価並びに配賦については大槻正男‥農業替記(52)の方法に.よっている.なお経済性の比較計
労は,額点の相異するに従ってその方法を異にするが,ここでは競合する主要作物を各独立の生産部門として概 念し,粗壁産額と生産費用額の辞出は,鰭記の数字を基礎とし,若干の聴取調査をもって補充辞出し,これから 順次加工計算を行ったものである
このようにして主要部門について算出した若干の指標を示せば滞59表の如くである
これによると調査農家10戸の29年皮及び30年度の2ケ年平均に.おける蜜柑作の栽培面積反当粗収益は63,008円,
反当生産利潤15,215円,蜜柑作部門経営反当純収益41,794円,反当所得44,407円となり,僅か一事例にすぎ ない柿の場合に比するとや一ゝ劣るものゝ,水稲および麦作に対してほ勿論,煙草作の−・事例と比較しても蜜柑の
収益性はかなり高くなっている−さらに反当家族労働報酬および1日当り家族労働報酬についてみても,それぞ れ30.781円及び796円となり,柿の41,029円,1,529円を除くと,他の作物に比して高くなっていることが知
られるのであり,【一般的にみて蜜柑作に重点が指向されている理由を知ることができる..なおここに示されている 柿の一寄倒は蜜柑の10戸平均値を上廻る高い収益性を示しているが,これはNo.8農家の住宅に・隣接する平担地 に開設された21年生の柿園であって,既にみたように多鼠の堆厩月巴が投入せられてし、る上に管理状態も良好であ
ると云う極めて優れた事例であり,他方蜜柑園の場合には,多くの急傾斜地図が含まれると共に,未踏果面積をも 含む栽培面積による反当の諸数個であるから陪按比較に耐えるものでなく,これをもって柿作の収益性が蜜柑よ
り高いとすることはできない ただこの比較で特に注意されることは,29年皮と30年度との反当粗収益額の年度 別比掛こおいて,柿を除く他の作物の粗収益は30年皮は29年度に比してかなり増大しているが,これを収鼠と 単価の関係からみると,水稲,埋草では価格の変動が小さく,主として収畏の増大に応じて粗収益額が増大して いるのに対し,蜜柑作のそれは1買■匁当り出家手取価格の高騰によって反当粗収益の増大がもたらされているこ
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−100−
滞59表の(2) (円)
り働酬 当労 日族 1家報
反 当 粗収益
反 当 生産費用
反 当 生産利潤
反当経営 純収益
反 当 所得額
反当家族 労働報酬
23,285 39,320
856
994
1.43
2,188 871 1,529 とである∴而して,このことは,主食凝作物であり,政府の管理乃至支持価格制皮下にある米麦や,専売制皮下に ある煙草の価格が蜜柑に比して造かに安定したものであるのに対して,蜜柑価格が全国的な豊凶(所謂,オモテ年 と.ウラ年)とか,その他の要動こよって変動し易いものであること.を示すものであり,しかも蜜柑作の粗収益の大
きさがこのように大きく変動する価格によって極めで大きな影響を受けるものであることは,他方における反当 生産費用価額を始め,反当部門経営費や反当部門別所得約失費等の費用面では,両年度間に余り大きな差異がな く,投入費用額の固定的傾向を強く示しているこ.とと対比して注意に値することである.従って衷においても蜜 柑価格の比較的安かった29年度の収益性を示す諸指標忙おいては,柿作にくらべて低いのは勿論,稲作や嘩増作
の諸収益額との差も小さく,特に1日当り家族労働報酬においては,稲作の644円に対し,493円と低い.また反当 家族労働報酬額においても浮草作の23,285円に比して−蜜柑作は17,369円とむしろ低くなっているのであって,
これらのことは今後に予想される蜜柑価格の低下傾向と関連して注目されるところである..なお本表では1ケ年 を示すにすぎないが,10戸平均における麦作の収益性は反当生産利潤額において赤字を示すほかりでなく,その 他の収益性の指標においても著しく低く,今後経営改善上聞湛になる作物たることを示している.さらに低か一 事例乍ら,煙草作が反当生産利潤掛こおいて,29年慶大きなマイナスを示すとともに,1日当り労働報酬におい て,29年皮198軋 30年皮495円,平均346円と相対的に・低い数字を示すにも拘わらず,その他の収益性の指標 においてはかなり高く,蜜稲作に近くなっている上に,家族労作経営において特に問題となる反当家族労働報酬 額においては,蜜柑作と.の差が殆んどなく,殊に・29年皮にほ,蜜柑作よりもむしろ大きくなっているのであり,
嘩なる一頭例に過ぎないとは云え注目されるところである‖ 苦し,蜜柑作と埋草作が同時に・耕作される場合に は,労力及び堆厩肥その他の資初の配分利用に際して激しい競合関係を示す作物である上に,煙草作においては 賠償金が明示され,各農家の成績が比較されるが故に,農民心理としても煙草作の成果を高めんとして蜜柑作の 管理が不十分になり易いと云う事情が認められるからである
次にこれを個別的に観察すると,No.1農家は1日当り家族労働報酬においては比較的高く,蜜柑作及び麦作 のそれでほ平均値を上廻っているが,その他の収益性指標においては平均値以下であって,蜜柑作及び米麦作に おける反当生産費用総額の低いことからも競われるように,経営規模の大きい割に家族労働力が少なく,ために 一般白研こ経営管理が粗放化されているとともに低廉な(但し比較的低質労働とみられる)常雇労働を使い,また 機械化を行うことによって,反収や粗収益額では比較的小さいものの家族労働の収益性を高めていることが知ら れるのでありNo.14やNoい17農家が豊富な貿の高い家族労働を多投し,蜜札 水稲,麦作といずれにおいて も高い反当粗収益を挙げ,部門経営純収益や部門別所得などにおいて平均以上を示しているのと好対照をなして いる.、またNo..3農家でも蜜柑の反当粗収益額が大きいばかりでなく,各収益性指標においても平均値を大きく
上廻っているものの,攣単作の存在と相まって米麦作においては,重点作業が行われ概して粗放化されており,
このため反当粗収益が小さくなっていて,1日当り家族労働報酬,即ち労働収益力においては平均を上廻ってい るものの,その他の収益性指標においては.低くなっていることが注目される.またNo.7農家もほほNo.3農家に 類するものであるが,煙草作を導入せず水稲生産に対しても多くの生産費用を投下し,かなり高い反当粗収益を 麓得しており,水稲作の収益性指標においても平均値に近い伸を示してはいるが,男働収益力は男働1日当り 617円麦作219円で,ヰ均よりも低く,この面における労働能率の増大が望まれることを示している.この点蜜
柑園の開塾開設に伴って,31年皮に自動桝転機が導入されていることは注目され,利用状況如何によっては過剰