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第4章  五郷地区における蜜柑作農家の経営構造

第1節  抽出農家の経営概況

先ず抽出農家の経営要素の構成についてその概況を述べよう.  

第1項 労働対象としての経営用地と家畜の構成   

経営用地の構成(第29表)では,次の諸点が注目される 

(1)調査開始年皮たる昭和29年3月1日現在における土地面積をみるとNo.1が347反3畝29歩で最九 No.20   が8反6畝27歩で最小で,ほぼ経営耕地面横の大きさ順に.一致している 

なお山林は一応各農家とも所有しているが,採草地は数戸が所有するに過ぎない  

(2)耕地面積中における地目の構成をみると,川 蜜柑園面積は耕地面精規模の大きい順に略一激している  桓)No.14及びNoけ20の蜜柑園面帯が水田面積に比して小さいぼかは,いずれ一っ農家も蜜柑園面積が大きく,特   にNo17では経営規模が小さいにも拘わらず,果樹園率775%で最大を示しているい M もっともNo17を除く   農家ではいづれも3〜6反の二毛作水田を看しており,水田部門と果樹作部門との関係が注目される‖ ⇔ 普通畑   はNo。8の1反25歩を除くと2〜3畝で殆んど問題に.ならない 

ー 43一  

滞29未 調査農家の経営用地の構成(昭和29年3月1日現在)  

果  樹  園  

.・∴・−.ト:   

耕地討   山 林   採草地   宅 地l経営用地   普通畑  

反  

l0000  1.920  

0..819  

0い500  

〔衷註〕 本末の採卑地面積のうち()で包むものは林間の採草利用地を示す 

(31なお柑橘及び「その他の果樹園」の構成を種類別にみると(第30表)柑橘園としてはNo,8にネー∴ブル3   畝20歩,No.14に夏樫2畝29歩があるほかはすべて温州蜜柑園であるが,ただ,普通温州のみを栽培するものほ   No,20のみで,他はいずれも10〜40%内外の早生満州を含んでおり,特にNo−1,No小17では441%,42一9%  

にも達している 

第30未 調査農家における果樹の構成 (反)  

普通温州  

6.312    6.513  

卑生温州  

7い120   3.000   4…300  1小020  

(4)次に土地の貸槽関係を・,現在及び終戦時についてみると第31表の如くで,Noユを除く農家は多少の差こそ   あれ,小作地を有しており,経営耕地の9割以上を所有する,所謂自作掛ま Noい1,No7,No.11にすぎず,  

No3,No8,No。15,No17,No19は自作兼/ト作に,No.14はノJ\作兼自作に,またNol20は小作農に・属し   ており,また黛イ寸地を有したものも現在と同じく経営規模の大きなNo.1,No.3,No.7,No・8であったのをみ   ると,敏和園面積の広狭は経営農用地面積の大きさに正比例する傾向がみられると共に,盈紺園面積の大なるも   のから小なるものに向って,戦前における地主兼自作農,自作兼小作,小作米自作農 小作農とかなり明確な分   化がみられ,蜜柑作の階層性乃至富農性を示しているように思われる小   

伝)次に調査年度内の土地所有乃至地目構成の移動についてみておくと,No.7,No.8,No.11,No..14,No  19,No20の農家ではかなりの変動をみることができる  即ちNo.7農家では29年5月水田9畝21歩を購入(150,  

600円)するもその年に分家せる弟へ贈与せるため経営耕地には変動はないが,30年7月5日に9畝08歩の水田   

一 44 一−  

彿31表 誰査農家における農地改革前(陥耗20年当時)と改葦後(現在)の土地所有関係  

改葦前   におけ   る耕地   の小作   些劃令  

%     0  

普 通 畑】樹 園 地   山林(含採草地)  

水   田  

改革前】改革後  

改革後    反七歩   330.000  

330,000  

8小000  

8.000  

 ̄ 

ー 

ー  

_  自作地  

小作地   引  

(経営面桜)  

貸イ勺 地   自作地   小作地   討  

(経営面積)   

貸付地   自作地   小作地  

言1  

(経営面括)  

貸イ弓 地   自作地   小作地   討  

(経営面積)  

貸付地   自作地   小作地   計  

(経営面産)  

貸付地   自作地   小作地   封  

(経営面程)  

貸付地  

0一.211   0..129   0.410  

0…600  

0り600  

(戦後20−5購入)  

18小42744・・6=  

80け000−  0.600  

 ̄ ̄  

ー 

ー  

63  −  ■     −  3.4  9    9  

一.F亡に■  

12  

2    2  

4     4  

0     0  

0     0  

9     9   

5     5  

11  

14  

自作地   小作地  

5  

(経営面秩)  

貸付地    自作地   小作地  

言1  

(経営面桜)  

貸付地    自作地   小作地   討  

(経営面秩)  

貸付地    自作地   小作地   計  

(経営面私)  

貸付地  

0い407  

0.407  

6  

0.407  

0.. 407  17  

1   1   6  

4  臥  

州別  1  

4   0     0  0     0  

0     0  

3    3  

0     0  

0     0  

0    0  

3    3  

二二  

0.403  

0日403  

0.403   0403  

0411  

O 411  37  

17  

∩︶     0  

0     0  

0     0  

5     5   0  0  

0   

5  

0.415  

0 415   :二:‡:;卓39  

0け312   0‖312   19  

5い000  

昭和29年皮途中で  

昭和28年皮に購入  売却   3‖207  

20  

0・809f o・809ilOO  

】  l   

−45−   

を購入(代価258,3300円)30年産米の収狸を行っており,実質的には昭和30年皮より水田面積が4反5畝28歩   から5反5畝06歩に増加した..なお果樹園については,29年皮に弟の分家が行われ,水田と共に丞相園2・0区,  

桃園1.0反を贈一与した為,29年皮の収穫面掛ま蜜柑園8反1畝20歩となり,30年皮も同様である・ただ昭和29年   皮に15反,30年皮に35反の開墾を行い,そのうちの3・5反には31年4月に蜜柑三年生儲の植付が行われている・  

なおこのほか29年9月に借用宅地1畝29歩の買収(代価16,430円)が行われ宅地が全部所有地となっている  N。.8農家では30年皮に7畝の再開禦が行われた結果,普通畑が1反25歩から1反7畝25歩に増加している  No11農家では31年1月〜3月にかけて山林0・5反が開塾され,4月に蜜柑が定植されているので盈浦園05反   の増加があったわけであるが調査年度には殆んど関係がない 

N。..14農家では30年4月に畑2反1畝19歩,同じく30年6月山林5申し26歩(何曲併せて162,615円)を購入し  

ており,その結果30年度においては畑が2畝06歩から2反3畝25歩に増加し,山林も亦5反4畝16歩から6反12   歩に.増加している‖ しかしこの2反3畝2時の畑には蜜柑6本夏橙3本があるのみで,現在は未だ殆んどカヤの   生えた荒廃畑である 

Noい19農家では30年2月蜜柑畑1反2畝を売却(代価130,000円)する一・方30年1月より2反歩の山林の開墾  

に着手,まず30年4月に8畝の蜜柑園を造成するとともに30年庭中も開墾を続け5畝歩の開墾を行っている・・従   って蜜柑園が2反9畝13歩→1反7畝13歩→2反5畝13歩となる反面山林は5反→4反2畝→3反7畝と減少し  

ている 

No,.20農家では29年12月に蜜柑園7畝(  

/j\作地の耕作権)および山林3反2畝7歩   を売却する(代価併せて170,000円)と同時   に,蜜柑園1反8畝18歩を購入し(372,000   円)さらに30年3月に蚤柑園1.0反および   山林02反を購入した(160,000円)従って   水田および畑では変化はないが,蜜柑園で   は7畝8歩→1反8畝18歩→2反8畝18歩  

と変化しており,また山林は3反2畝7歩  

→0−→2畝となっているなお調査年度に   は入らないが,さらにこの農家でほ31年12   月水田5畝16歩(307,500円)を売却してい  

る 

2小 家畜の構成   

次に家畜の構成及び変化を見ると(第32   襲)(1)調査農家の全戸に和牛1頭と数羽の   難が飼育されているばかりでなく,No‖7,  

No,8,No.11,Noり17,No19,No.20,  

の脳家では豚,摘草,111羊などの中家畜も   導入されている‖ 従ってこれらの農家の家  

㈲削立はかなり大きいのであって,このこ   とは傾斜地果樹園経営の特徴として,一一般   に家畜との結合の契機をもたず,従って畜   産部門を全くもたないか,極めてノj\さいこ  

とが指摘されている(29)∃可部こ鑑み注目に   催する.(2)なおこれを年次別にみると29年   皮に比して30年皮は難の減少傾向がみられ  

るほか,No8及びNo.19の豚の減少が   注目される 

滞32表 家畜の構成と変化  

8   7  3  

〃  〃  〃   4  1  

l  1⊥  

〃  〃  

〃  

〃  1   7  

ち       1  

ク20  

〔衣註.〕 Ⅹ:29年皮始,Y:30年皮軋 Z:30年皮末   

−・一・・l(ぅ ー一  

第2項 農家人口と労働力の構成  

次に調査農家の家族構成を経営上重要な若干の指掛こよって示すと第33表の如くである  第33表 調査農家の家族構成  

38才154才  

】 】 ̄ ̄ 

=コ   1二  

29年12月中旬から   綜暗により労働能   力単位0.8を加え   たが30年3月離婚   せるため討罫忙加   えなかった。  

衷註  家族数欄の()内の数字は前は男子,後は女子の数を示す.   

(1)まず家族数ではNo‖1,Noい8,における常雇各1人を含めて,政大はNo3の11人,最小はNo‖19の   3人であるが,労働能力単位ではNol3の4・6〜No・19の14,平均299となっている・而して,労働単位   当り耕地面積をみると,経営規模の大きいNo,1の5‖93反を級大として,No7,Noい3,No‖11,No‖19はい  

ずれも3.0反を越え,No,8,No.14,No20は3.0反を割り,さらにNo.15,No.17では2‖0反を下廻って   いる.なおこれを動地−・反当りに割り当る労働能力単位としてみると,No・1む享0…17で著しく小さく,No…7,  

No.19は0い21〜0.24,No.3,No.8,No.11は030〜0‖35,No.14,No.20は0い41〜0.43,No.15は0..51   となっており,概して経営規模の大きい農家ほど家族労働を燃焼せしむべき場をもっており,常雇の雇い入れを  

行ってもなお反当労働能力単位はノj\さく労働力の不足状態にあることを窺わしめる」・これに対しで下層蔦家では  

反当労働能力単位が著しく大きく,労働の過剰を示している 

(2)次に消費単イ立においてはNo.3の9・4を叔大,No.19の18を滋小としてその間に分布しているが,  

一労働単イ立が扶養すべき消費単イ立では,No.20,No3,No.1,No7,No 14が比較的大きいの対して,No.15  

(1.09)No19(1.29)はかなり小さい‖個々の農家におけるこのような関係は,農家の経営活動を規制する要   因として十分留意しておかなぐてはならない 

(31もっとも経営規模が小さく労働能力単位当り耕地面積が20反を割る如き農家では自家労働力の一部を兼   菜部門に投ずることによって労働の利用を計り,かくして経営に残留する農芙専従者数乃至農米労働投入労働を   経営規模に適応させているのがみられる・即ちNo.17は椎役日雇に1.0人,No。15は雑役日雇10人,No.20   は農協精米所へ経営主11.0人が出ている如くである..従って兼業労働力をu家所不j労働力禅僧より差引いた農業   

一 47      専従労働能力単イ立を求めその耕地1反当りを算出するとNo一1・0..17,No.3…0,30,No.7…0。21,No…80.35,  

No.1ト0.31,N 0..140.27,No.15・0‖36,Noい17り 0.35,Nol.190.24,Noい20022であつて経営規模の   大きいNo−1,No.7とともに経営規模の小さい Noル19,Noい20では1反当り農菜専従者労働能力単位が小さ  

く,No3,No‖15,No.17,No.8,No.11では相対的に大きくなっていることが注意されなければならない  殊に.これらの労働構成の問題は,家族労働の利用とその収益化を基本として営まれる家族経営では,労働手段の   整備状況とも関連して,経営方式や経営集約度の上に大きな影響をもつと考えられるからである 

(4)なお第2年皮に.おける変化をみると労働能力単位の変化せるものは,Noい1(2.8→2.4),Noり3(4.6一す   3い6),No小7(3…4→2.8)であって:,これらの農家では耕地反当労働能力単イ立もかなり小さくなっている.即ち  

No.1では0‖17▲→0、14,Noい7では0′′21一斗0−18と減少し,さらに比較的反当労働能力単位の大きかったNo.3   も0.30−→023となり,31年皮から煙草作を靡止する主因となった‖ またNoい19および,No小20は労働能力単   イ立に.変化はないが,耕地面積の変化によって耕地反当労働単位が変化し,前者は増大し(0小24・→0.31),後者は  

減少している(0=43・→0〝35)小  

弟3項 主要労働手段の構成   

1小 農機具の構成  

(1)まず年度始についてみると(第34表)経営規模が大きく,耕地面積単位当り農業専従者労働能力単位が小   さい農家,即ち,No.1,No7では石油発動扱,動力噴霧機,動力脱穀機及ぼケーづ・ルが整備されているのに  対し,経営規模が小さく,しかも耕地1反当り労働能力単位が相対卸こ大きいNo.14,No.17,Nd..20に.は動   力虚具を全く欠いでいるのが注目されるり なおNo..3,Noい8では反当労働能力単位としてほともに,0.3以上   で小さくないに.も拘わらず,動力農具を備えているのは,ともにかなりの経営規模をもち,また煙草や泰豚な   どによって,経営が多角化していることに関連するものであろう.またNo.19およびNo.15が比較的経営規   模の小さい農家であるにも拘わらず動力農具を共有の形にしろ所有しているのほ,共有者からの勧奨によること  

もあろうが,前者は反当労働能力単位が小さいこと,後者は経営規模が/J、さい割庭蜜柑の盛果樹令換算面積が   3.75反で比較的大きく,しかも園が2ケ所に集団していることにも関係があるものと考えられる.従って動力   農放真の整備は経営規模と大きく関係するものではあるが,その場合さらに経営力式とか,新地の分散状態や農   道条件が大きな関係をもっているといえるのである 

(2)次に,調査農家における調査年度間の大農具の購入状況をみると,反当労働能力単位が小さい上に,調査   年度中一層小さくなったNo…1,No.7およびNo.3では動力農機具が強化されているのが目立つ.また多くの   農家で人力噴霧機の追加購入が行われているが,これは主として肩掛式又は背負式のものであって,No。.8や   No‖19における凍菜栽培の拡大とも関連して従来からの手押式との併動こよって薬剤撒布を集約化するものとい   えよう∩ またNo8とNo19に家計兼用の農用バイクの購入がみられるが,これはこのこ農家では京菜および   養豚を導入しており,近在の豊浜町背巣箱場への個人出荷や飼料運搬などに利用するためである.また燻兼幕の   所有数は摂しで大規模農家ほど多くなっている.   

2.喪章の構成   

次に建物,特に農舎の構成せ見ると(弗35袈),経営規模の大きい良家ほど概して建物の充実がみられるよう   であるが,ここで注目されるのは, い)No3,No.14,No.17,No−19には専用堆肥舎を欠いていること,  

匝)Noい1が土蔵17‖5坪を童しており,旧地主の風格を示していること,レ1No8およびNo.17に・サイロ   がみられること,巨)No3およびNo‖8に煙草乾燥室がみられること,㈹ No 3,No.14,No一19,No  20の農家では蜜柑貯蔵膵がなく,物置や納屋に貯蔵され,No.19では居宅の−・部が利用されていること,HNo 

3,No.7では天水貯水槽および私有の潤池があること,(ト)No.7では31年1月24,700円を投じてエスロ  

ンパイプ延長204mの配管工串が行われていることなどであるい なお調査年度中における建物の増減について   は,No1が30年9月,♪b3が30年11月にそれぞれ13,000札 22,534円を投じて母屋ゐ修理をしたこと,  

No。.7が配管工事と一緒に31年1月に山/ト屋2.75坪を4,590円で,No.8が30年1月豚舎(トタン丑)10坪  

を−8,708円で,No14が29年4〜5月に鵜舎(トタン茸)2坪を16,847円で,No‖19が29年3〜5月に畜堆肥   舎(トタン昇)1.5坪を23,528Pトでそれぞれ新築している一,なおNo′17は30年1月に盈細貯蔵庫建築用地に