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結 語
海洋生物を対象とした生物活性物質探索の一環として、今回筆者は海綿動物および海洋微 細藻を生物材料としその成分検索を行った。その結果を以下にまとめる。
第一章では、沖縄産のLu・ffa rie〃a属海綿のメタノール抽出物よりLuffariolide・A〜Eを単離 し、Luffariolide Bとの化学相関に基づいて、絶対立体配置を含めてそれらの構造を決定す ることができた。また既知化合物Neomanoalideのこれまで未決定であった4位の立体化学 を明らかにした。Luffariolide Aには、ヒト好中球の血小板活性化因子の産生を顕著に阻害 する作用が認められ、また、Luffariolide A〜EおよびNeomanoalideは、培養腫瘍細胞に対 して殺細胞活性を示した。Luffariolide Aは、 P A F拮抗剤のリード化合物として、あるい
はPAF産生のメカニズムを解明するためのケミカルツールとして期待される。
第二章では、沖縄産のAmphimedon属海綿のメタノール抽出物よりManzamine類の生合 成過程を明らかにする上で重要と考えられる特異な環構造を持つ新規アルカロイドを単離
し、それらの構造を決定した。Keramaphidin Bは、1,4−Etheno−2,6−naphthylidine環部分に
11員環と13員環が結合したこれまでに例のない骨格を有する5環性アルカロイドである。
Baldwinらが提唱したManzamineAとBの生合成経路の5環性中間体に相当する構造である
ことが明らかとなった。Keramaphidin CとKeramamine Cは、 Manzamine Cの関連化合物 であり、その構造からManzamine・Cの生合成前駆物質と考えられる。 lrcinol・AとBは、lrcinal・AとBの1位アルコール体の鏡像異性体であり、これまで報告されているManzamine 類とは逆の絶対立体配置をもつ最初のManzamineアルカロイドである。今回本海綿より単 離したManzamine類の構造と収率という実験事実に基づいてManzamineアルカロイドの生 合成経路を推定した。
第三章では、沖縄産のヒラムシAηρhisco/oρs bre・viviridisの体内から分離した渦鞭毛藻 Amρhidinium sp.の培養藻体の抽出物から培養腫瘍細胞に対して殺細胞活性を示す新規27員 環マクロリド化合物Amphidinolide Lを単離し、その構造を帰属した。さらに天然物の過ヨ
ウ素酸酸化反応で得られたC−21〜C−26フラグメントを化学合成することにより、
Amphidinolide しの21位、22位、23位および25位の絶対立体配置をそれぞれ21 S、22S、
23R、25Rであると帰属した。 Amphidinolide Lは、テトラヒドロピラン環を含む27員環マ クロラクトン構造を有しており、ポリケチド生合成経路では説明のつかないメチル基とメ
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チル基が隣接する部分構造を有する天然物としてきわめて稀な化合物である。
さらに、系統的配座探査プログラムを用いた安定配座解析と溶液中の配座解析に基づいた 解析を行い、その結果、8位、9位、11位、16位、18位、および20位の6個の不斉炭素の立
体化学を8S、95、11R、16R、18S、205と推定した。鎖状化合物や大環状化合物の立体
化学を非破壊的に帰属するための一般法の確立を目的として種々の方法論が検討がなされ ているが、現時点では、いずれの方法論もすべての化合物に対して有効とはいいがたく、今後さらなる検討を行い、本方法論が複数の不斉炭素を有する天然物の立体化学の解析に 有用であることを実証することが望まれる。一方、Amphidinolide しの6個の不斉炭素につ
いて分解反応と合成的手法を用いて絶対立体配置の一環として、Amphidinolide しのオゾン 分解反応で得られると推定されるC15〜C26フラグメントの全炭素ユニットの立体選択的合 成法を確立した。今後、C15〜C26フラグメントの可能な全立体異性体を化学合成し、天然 物の分解生成物と比較検討することで、16位、18位、および20位の絶対立体配置を明らか
にできるものと期待している。
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実験の部
融点の測定には柳本製作所社製微量融点測定装置Yanaco MP−J3を使用し、未補正である。
比旋光度の測定は日本分光社製DlP−370型旋光計を使用した。紫外線吸収スペクトルおよび 赤外吸収スペクトルは、日本分光社製Ubest−35 UV〈11S型分光光度計およびIR Repo「t−100 型をそれぞれ用いて測定した。1H 13C NMRスペクトルは日本電子社製JNM−GX270・
JNM.EX270型、および日本ブルカー社製AMX600型により測定した。内部標準として残留
している溶媒の共鳴周波数(iH NMR=CHCI3,δ7.26;C6D6,δ 7.20;CD,OD,δ3・30・i3C NMR:
CDCI,,δ77.0;CD30D,δ49,0)を用い、化学シフトはδ値で、スピン結合定数はJ値(Hz)で
示し、開裂様式は、sニsinglet、 d=doublet、 t=triplet、 q=quartet、 m=multiplet、 br=broad
とそれぞれ略した。マススペクトルは日本電子社製JMS−DX303型およびJMS−HXI 1 O型を
使用した。
反応溶媒として使用したTHF、エーテル、ペンタンはベンゾフェノンケチルより・
CH2C12は五酸化リンより、 DMSO、 DMF、 Et3N、ピリジンは水素化カルシウムより・MEK はDrieliteよりそれぞれ蒸留したものを使用した。
シリカゲルクロマトグラフィーは和光純薬工業唱言Wako gel C−300およびC−200を担体 として使用し、逆相のカラムクロマトグラフィーは、野村化学工業社製Develosii LOP ODS 24Sカラムを使用した。
順相の薄層クロマトグラフィーにはMerck TLC plates Silica gel 60 F254を・逆相の薄層 クロマトグラフィーにはMerck HPTLC plate PR−18 WF254sを使用し、展開後UVランプ(主 波長254nm)によりスポットを検出した。また発色試薬としてドラーゲンドルフ試薬【1:硝
酸ビスマス0。119/酒石酸1,259/水5mL、 II:ヨウ化カリウム29/水5mL、 III:酒石酸109/水
50mL、(1+II)液にIH液を加える1、リンモリブデン酸試薬(リンモリブデン酸19/メタノール10mL)、アニスアルデヒド試薬(アニスアルデヒド9・1m]儂硫酸12・3mL/酢酸3・7mUエタノー ル370mL)を使用した。
高速液体クロマトグラフィーは、日立製作所製L−6000型送液ポンプと・日立製作所L 4200型UV−VIS検出器、昭和電工株式会社製Shodex Rl SE−61型出差屈折計・あるいは昭 和電工株式会社製Shodex OR−1型旋光検出器を使用した。
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第一章に関する実験
Luffariolide A〜Eの単離
沖縄本島にて採取したLuffariella属の海綿(SS−16)を実験に用いた。凍結保存しておいたこ の海綿1.Okg(湿重量)をメタノール1.2しおよび1.Oしで2回抽出した。抽出液を減圧濃縮して 得られたメタノール抽出物33.29をトルエン(500mLx2>と1M食塩水(500mL)で分配した。こ
のトルエン可溶画分(2.999)をクロロホルム/メタノールの混合溶媒でシリカゲルカラム(4.6 x43Cm)にかけ、95%クロロホルム/メタノールで溶出した画分を濃縮して、さらにヘキサン
/酢酸エチル(1:1)の溶媒系でシリカゲルカラム(2.3x43cm)、続いて逆相のHPLC(Develosil ODS・5,野村化学10 x250mm,30mm;流速,2.5mL/min, RI検出およびUV検出(230nm);溶 出液,90%メタノール)を用いて精製することにより、Luffariolide A(、L.7mg,湿重量から
O.OOO70/o, t, 13.8 min) . Luffariolide D (.4,. !.9mg, O.OOO190/o, tk 20.0 min). Luffariolide E
(轟》,3mg,0.0003%, tR 16.O min)をそれぞれ単離した。
85%クロロホルム/メタノールで溶出した画分をヘキサン/酢酸エチルの混合溶媒でシリ カゲルカラム(2.3x40cm)を行い、ヘキサン/酢酸エチル(3:7)溶出画分から6ZNeomanoalide
(£.・70m9,0・007%)および6E Neomanolide(、ゐ,130mg,0.013%)を単離するとともに、ヘキサ
ン/酢酸エチル(3:7)溶出画分をヘキサン/アセトン4:1の溶媒系でシリカゲルカラム(1.Ox10cm)を行うことにより精製し、 Luffariolide B(、&,!0mg,0.001%)を単離した。一方、ヘ
キサン/酢酸エチル(3二7)溶出画分をヘキサン/アセトン4:1の溶媒系でシリカゲルカラム(2.3 x43cm)続いて奇相のHPLC(Senshu Pak Silica−4251−S,センシュウ化学10 x250mln,30mm;流速,4mL/min, RI検出;溶出液酢酸エチル)を用いて精製することにより、 Luffariolide
C(、栽,16mg,0・0016%,ら12・2 min)を単離した。
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Luffariolide A (」!.)
無色油状物質
UV (EtOH)
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