第 3 章 船 型 データベースの構 築 とその評 価
3.2 船型表現手法および船型変形手法の検討
3.2.1 船型ブレンディング
𝑁個の基本船型形状(𝑓𝑖)を、パラメータ(𝑎𝑖)を用いて形状モーフィングした船型(𝑓𝑝) は(3.1)式で定義される。
𝑓𝑝 = ∑ 𝑎𝑖∙ 𝑓𝑖
𝑁
𝑖=1
(3.1) ここで、
∑ 𝑎𝑖
𝑁
𝑖=1
= 1
基本船型形状(𝑓𝑖)をその船型特徴を表現するために必要十分と判断された離散数 の離散化点(𝑃⃗ 𝑖)で表現すると、形状モーフィングした船型の離散化点(𝑃⃗ )は(3.2)式で 求められる。本研究では、CFD の構造格子における船体表面格子を船型の離散化点 として採用し、この手法を船型ブレンディングと呼ぶ。
𝑃⃗ = ∑ 𝑎𝑖𝑃⃗ 𝑖
𝑁
𝑖=1
(3.2)
40 ここで、
∑ 𝑎𝑖
𝑁
𝑖=1
= 1
ここから、実用船型設計に使用するパラメータ(𝑎𝑖)の具体例を示す。
船型(𝑃⃗ 1)と船型(𝑃⃗ 2)との2船型ブレンディングは、1次元パラメータ𝛼(0 ≤ α ≤ 1)か
ら(3.3)式で表現できる。このとき、1次元パラメータ𝛼を 1 から 0 まで連続的に変化させ
たとき、船型(𝑃⃗ )は船型(𝑃⃗ 1)から船型(𝑃⃗ 2)に連続的に変化する。
𝑃⃗ = 𝑎1𝑃⃗ 1+ 𝑎2𝑃⃗ 2 (3.3) ここで、
𝑎1 = 𝛼, 𝑎2 = (1 − 𝛼)
Tahara ら [84]は、(3.4)式で示す 3 船型(𝑃⃗ 1, 𝑃⃗ 2, 𝑃⃗ 3)の船型ブレンディングを提案し た。
𝑃⃗ = 𝑎1𝑃⃗ 1+ 𝑎2𝑃⃗ 2+ 𝑎3𝑃⃗ 3 (3.4) ここで、
{
𝑎1 = 𝛼 𝑎2 = (1 − 𝛼)𝛽 𝑎3= (1 − 𝛼)(1 − 𝛽) よって、
𝑎1+ 𝑎2 + 𝑎3 = 1
しかし、実用船型の設計においては、この 2 船型や 3 船型ブレンディングでは、船 型表現の自由度が不十分であることがある。そのため、本研究では船型ブレンディン グ法を次項以降に示す方法により、2 次元または 3 次元の設計パラメータ空間に拡張 する。
41
3.2.2 2 次元船型ブレンディング
Fig. 3.1 2-dimensional hull form blending parameters.
Fig. 3.1 に示す2次元の各頂点に基本船型(4 船型:𝑃⃗ 1〜𝑃⃗ 4)配置し、正規化した 2 つの実数設計パラメータ𝛿𝜉、𝛿𝜂で表現することを考える。このような船型ブレンディング を定義することにより、船首バルブの長さ(長短)と船首バルブの幅(細太)の 2 変数を 設計パラメータとした船型表現が可能となる。
ここで、この 2 次元船型ブレンディンと前記(3.4)式の 3 船型ブレンディングとの違い について説明する。まず、3 船型ブレンディングで船首バルブの長さ(長短)と船首バ ルブの幅(細太)の船型を表現することを考える。このとき、𝑃⃗ 1:船型(短・細)、𝑃⃗ 2:船型
(長・細)と𝑃⃗ 3:船型(短・太)の 3 船型ブレンディングを考えると、この 3 船型ブレンディ ング(内挿表現)では船型(長・太)を表現できないことがわかる。そのため、このような 設計パラメータを 2 変数とする船型表現には、4 隻の基本船型(𝑃⃗ 1〜𝑃⃗ 4)の船型ブレン ディングが必要である。
Fig. 3.1に示す4船型ブレンディングの船型ブレンディングパラメータ(𝑎𝑖)を考える。
まず、船型ブレンディングパラメータ(𝑎1〜𝑎4)と実数設計パラメータ𝛿𝜉、𝛿𝜂とは、Table 3.1 に示す条件が成立する必要がある。
42
Table 3.1 Requiremts of hull form blending parameters.
𝛿𝜉 𝛿𝜂 𝑎1 𝑎2 𝑎3 𝑎4 0 0 1 0 0 0 1 0 0 1 0 0 1 1 0 0 1 0 0 1 0 0 0 1
Table 3.1に示す条件が成立する船型ブレンディングパラメータ(𝑎1〜𝑎4)の定式化と
して、本研究では(3.5)式を採用する。
𝑎1= (1 − 𝛿𝜉 − 𝛿𝜂 + 𝛿𝜉𝛿𝜂) 𝑎2 = 𝛿𝜉(1 − 𝛿𝜂)
𝑎3 = 𝛿𝜉𝛿𝜂 𝑎4 = 𝛿𝜂(1 − 𝛿𝜉)
(3.5)
このとき、4 船型(𝑃⃗ 1〜𝑃⃗ 4)の設計パラメータ𝛿𝜉、𝛿𝜂による船型ブレンディングは、(3.6) 式で表現できる。
𝑃⃗ = (1 − 𝛿𝜉 − 𝛿𝜂 + 𝛿𝜉𝛿𝜂)𝑃⃗ 1 + 𝛿𝜉(1 − 𝛿𝜂)𝑃⃗ 2+ 𝛿𝜉𝛿𝜂𝑃⃗ 3+ 𝛿𝜂(1 − 𝛿𝜉)𝑃⃗ 4
= 𝑃⃗ 1 + (−𝑃⃗ 1 + 𝑃⃗ 2)𝛿𝜉 + (−𝑃⃗ 1+ 𝑃⃗ 4)𝛿𝜂 + (𝑃⃗ 1− 𝑃⃗ 2− 𝑃⃗ 4+ 𝑃⃗ 4)𝛿𝜉𝛿𝜂 (3.6)
43
3.2.3 3 次元船型ブレンディング
Fig. 3.2 3-dimansional hull form blending parameters.
次に Fig. 3.2 に示す 3 次元設計空間で船型ブレンディングを定義する。三つの設
計パラメータとして、船型設計では船長(𝐿𝑃𝑃)、船幅(𝐵)、喫水(𝑑)の 3 パラメータなど が考えられる。
Fig. 3.2 の各頂点に基本船型(8 船型:𝑃⃗ 1〜𝑃⃗ 8)を配置した場合、[0,1]の実数パラ
メータ(𝛿𝜉, 𝛿𝜂, 𝛿𝜁)に対応する船型ブレンディングパラメータ(𝑎1〜𝑎8)を、2 次元船型 ブレンディングと同様に定義すると 3 次元船型ブレンディングによる船型(𝑃⃗ )は(3.7)式 で求まる。
𝑃⃗ = (1 − 𝛿𝜉 − 𝛿𝜂 − 𝛿𝜁 + 𝛿𝜉𝛿𝜂 + 𝛿𝜉𝛿𝜁 + 𝛿𝜂𝛿𝜁 − 𝛿𝜉𝛿𝜂𝛿𝜁)𝑃⃗ 1 + (𝛿𝜉 − 𝛿𝜉𝛿𝜂 − 𝛿𝜉𝛿𝜁 + 𝛿𝜉𝛿𝜂𝛿𝜁)𝑃⃗ 2+ (𝛿𝜉𝛿𝜂 − 𝛿𝜉𝛿𝜂𝛿𝜁)𝑃⃗ 3 + (𝛿𝜂 − 𝛿𝜉𝛿𝜂 − 𝛿𝜂𝛿𝜁 + 𝛿𝜉𝛿𝜂𝛿𝜁)𝑃⃗ 4
+ (𝛿𝜁 − 𝛿𝜉𝛿𝜁 − 𝛿𝜂𝛿𝜁 + 𝛿𝜉𝛿𝜂𝛿𝜁)𝑃⃗ 5+ (𝛿𝜉𝛿𝜁 − 𝛿𝜉𝛿𝜂𝛿𝜁)𝑃⃗ 6 + 𝛿𝜉𝛿𝜂𝛿𝜁𝑃⃗ 7+ (𝛿𝜂𝛿𝜁 − 𝛿𝜉𝛿𝜂𝛿𝜁)𝑃⃗ 8
(3.7)
44
= 𝑃⃗ 1+ (−𝑃⃗ 1+ 𝑃⃗ 2)𝛿𝜉 + (−𝑃⃗ 1+ 𝑃⃗ 4)𝛿𝜂 + (−𝑃⃗ 1 + 𝑃⃗ 5)𝛿𝜁 + (𝑃⃗ 1− 𝑃⃗ 2− 𝑃⃗ 4+ 𝑃⃗ 3)𝛿𝜉𝛿𝜂 + (𝑃⃗ 1− 𝑃⃗ 2− 𝑃⃗ 5+ 𝑃⃗ 6)𝛿𝜉𝛿𝜁 + (𝑃⃗ 1− 𝑃⃗ 4− 𝑃⃗ 5+ 𝑃⃗ 8)𝛿𝜂𝛿𝜁
+ (−𝑃⃗ 1+ 𝑃⃗ 2− 𝑃⃗ 3+ 𝑃⃗ 4+ 𝑃⃗ 5− 𝑃⃗ 6 + 𝑃⃗ 7− 𝑃⃗ 8)𝛿𝜉𝛿𝜂𝛿𝜁
なお、本研究のデータベースは、設計空間内に船型データを広く分散させるため、
実数パラメータ(𝛿𝜉, 𝛿𝜂, 𝛿𝜁)にはFig. 3.8に示す一様乱数を採用する。
また、船型ブレンディングは基本船型に制約条件を与えることで、例えば排水量一 定のような制約条件を船型群に課すことが可能である。
45