第 3 章 船 型 データベースの構 築 とその評 価
3.3 船型データベース
3.3.2 船型データベース(749GT)
① 749GT DB1
船型データベース749GT DB1は、排水量が一定で船長(𝐿𝑃𝑃)、船幅(𝐵)、喫水(𝑑) の異なる358船型の船型データベースであり、2.3.2項に述べた749GT原船型を基に 船型データベースを構築する。
船型データベースの構築にあたり、実用的な設計空間について検討する。内航船 プロジェクトにおいて日本船舶明細書 [87]の中から集計した749総トン型一般貨物船 の建造実績 [72]をFig. 3.5 に示す。Fig. 3.5 から、総トン数に制限を有する749総トン 型一般貨物船の船長(𝐿𝑃𝑃)、船幅(𝐵)、喫水(𝑑)には、一定の設計範囲があることが わかる。そのため、本研究では、船型データベースの設計変数として船長(𝐿𝑃𝑃)、船幅
(𝐵)、喫水(𝑑)の 3変数を採用し、設計変数の範囲を Table 3.4に示す範囲と定める。
一方、このサイズの内航船は税制上等の観点から総トン数が 750 トン未満に制限さ れていること [88]を考慮し、排水量一定の条件を船型データベースに課す。この場合、
方形係数(𝐶𝐵)が要目に応じ Fig. 3.6 のように変化する。本研究では、船型変形の試 行錯誤の結果から実現性のある𝐶𝐵の範囲として、0.68から0.80の範囲を設定する。本 研究の 749 総トン型一般貨物船の船型データベースの設計空間を Fig. 3.7 に示す。
ここで、図中①~⑧は船型ブレンディングの基本船型である。
749GT DB1は設計空間が船長(𝐿𝑃𝑃)、船幅(𝐵)、喫水(𝑑)の設計パラメータで、Fig.
3.7 のような比較的複雑な設計空間となるため、簡易化のため[0, 1]の実数パラメータ 𝛿𝜉、 𝛿𝜂、 𝛿𝜁を用いて、Fig. 3.8 に示すような設計パラメータの正規化を行う。正規化は
Table 3.5 に示すとおり、船長(𝐿𝑃𝑃)、船幅(𝐵)、喫水(𝑑)の設計パラメータを正規化さ
れた設計パラメータ𝛿𝜉、 𝛿𝜂、 𝛿𝜁に対応するように設計空間を線形写像することで実施 する。
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Fig. 3.5 The construction record of 749GT-type domestic general cargos [72].
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Table 3.4 Principal dimensions in 749GT DB1.
𝐿𝑃𝑃 73.0 m - 83.0 m
𝐵 12.8 m - 14.5 m
𝑑 3.8 m - 4.8 m
𝐶𝐵 0.68 - 0.80
Fig. 3.6 Distribution of CB in design space for 𝐿𝑃𝑃, 𝐵 , 𝑑 .
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Fig. 3.7 Design space with CB in 0.68-0.80 for 𝐿𝑃𝑃, 𝐵 , 𝑑 .
Fig. 3.8 Normalized expression of 749GT DB1 design space.
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Table 3.5 Correspondence of parameters of 749GT DB1.
[𝐿𝑃𝑃, 𝐵, 𝑑] [𝛿𝜉, 𝛿𝜂, 𝛿𝜁]
① [ 81.0, 14.2, 3.8 ] [ 0, 0, 0 ]
② [ 83.0, 13.8, 3.8 ] [ 1, 0, 0 ]
③ [ 83.0, 14.5, 3.8 ] [ 1, 1, 0 ]
④ [ 79.0, 14.5, 3.8 ] [ 0, 1, 0 ]
⑤ [ 73.0, 12.8, 4.8 ] [ 0, 0, 1 ]
⑥ [ 83.0, 12.8, 4.8 ] [ 1, 0, 1 ]
⑦ [ 77.0, 13.8, 4.8 ] [ 1, 1, 1 ]
⑧ [ 73.0, 14.5, 4.8 ] [ 0, 1, 1 ]
8 船型の船型ブレンディングの基本船型は、749GT 原船型の拡大縮小(アフィン変 換)とステーション移動法を用いて生成する。ここで、ステーション移動法とは、対象船 型の𝐶𝑝カーブを変更する際の船型形状変形手法であり、基準ステーション(船長方向 断面)のオフセット形状を船長方向前後移動させることで変形後の新しい船型のオフ セットデータ(形状データ)を作成する手法である。ステーション移動法では、形状変更 後の船型が目的の𝐶𝑝カーブとなるように、元の対象船型の基準ステーションを、元の 𝐶𝑝カーブと同じ𝐶𝑝値(同一横断面積)を持つ形状変更後のステーションの基準位置ま で移動する。
749 総トン型一般貨物船は、設計フルード数(𝐹𝑟)が 0.22 と比較的高いために造波 抵抗が大きく、船首部の肥大度を落とすことにより大きな性能改善が期待できる。設計 空間の船長(𝐿𝑃𝑃)、船幅(𝐵)、喫水(𝑑)の三つの設計パラメータを排水容積(𝛻)一定 条件で変更すると、(3.8)式で定義される方形係数(𝐶𝐵)は三つの設計パラメータの従 属変数となる。
𝐶𝐵 = 𝛻
𝐿𝑃𝑃 𝐵 𝑑 (3.8)
造波抵抗の低減を目的に、船首部肥大度を低減する適当な浮心位置 LCB[%𝐿𝑃𝑃]
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を方形係数(𝐶𝐵)の関数として設定する。本研究では、𝐶𝐵 に対する LCB の算定式とし て海技研で開発した HOPE Light [89] の浮心位置評価式のフルード数(𝐹𝑟)、船幅喫 水比(𝐵/𝑑)項を省略し、749GT 原船型の浮心位置を通る(3.9)式を用いる。
𝐿𝐶𝐵 = −23.02𝐶𝐵+ 16.35 (3.9)
𝐶𝐵と LCB を設計パラメータ𝐿𝑃𝑃、𝐵、𝑑の従属変数として定式化すると1 − 𝐶𝑝法 [90]
によって、船型群の𝐶𝑝カーブは Fig. 3.9 の例に示すように定められる。Fig. 3.9の例は
749GT 原船型に対して𝐶𝐵が小さくなる例であり、前記目的のとおり船首部の肥大度を
効果的に削減していることがわかる。
8 船型の船型ブレンディングの基本船型は、設計パラメータ𝐿𝑃𝑃、𝐵、𝑑 と前記のとお り定めた𝐶𝑝カーブに従い、749GT 原船型の拡大縮小とステーション移動法によって生 成する。船型群のプロファイルは、749GT 原船型の拡大縮小に従い、749GT 原船型 に対して船長計画喫水比でスケールしたFig. 3.10に示すプロファイル形状となる。
一方、船尾プロファイル形状に合わせてプロペラの設置位置およびプロペラ直径を 設定することで、推進効率の最適化が図られ実用的な船型データベースとなる。特に、
749GT 船型は中速エンジンを採用し減速ギアを使用するのが一般的で、プロペラ回
転数を比較的自由に設定できる。このため、プロペラが大直径であるほどは推進効率 が高くなる。本研究では、船尾プロファイルに合わせた大直径プロペラを適用するため、
大直径プロペラを搭載した原船型を基準に、船型群のプロペラ直径、シャフトセンター 高さおよびプロペラ前後位置を船尾プロファイルに合わせて設定し、それぞれの船型 でCFD計算を実施する。
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Fig. 3.9 An example of sectional-area-curve deformation (red: original, green: deformed).
Fig. 3.10 Comparison of 8 basic hull forms arranged based on A.P.
(top: bow, bottom: stern).
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② 749GT DB2
船型データベース 749GT DB2 は、船首形状が同じで、船尾形状のみ異なる船型 群のデータベースである。749GT DB2 の構築にあたっては、現在の造船所での実用 設計を想定し、3次元 CADによる手作業で船尾プロファイル、𝐶𝑝カーブ、フレームライ ン形状の異なる 16 隻の基本船型を作成した。その後、その内 8隻の基本船型を用い た 3 次元船型ブレンディング(8 船型ブレンディング)を、異なる基本船型で 3 回実施
し2,730船型の船型データベースを作成した。
749GT DB2 はその生成過程において、手作業の船型生成が行われているため、船
型データベースの船型群を船型パラメータで一意に表現できない。造船所で設計され ている船型は、ほぼ全てが 3 次元 CAD による手作業で船型生成される。そのため、
749GT DB2 は船型パラメータのみで船型生成される749GT DB1に対してより造船所
の設計資産に近い船型データベースとなる。
Fig. 3.11と Fig. 3.12 に船型データの例を示す。これらの図から、749GT DB2 は船 尾プロファイル、𝐶𝑝カーブ、フレームライン形状について実用上十分に豊富な船型形 状を含んでいることがわかる。
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Fig. 3.11 Examples of DB2 (frame lines at S.S. 1.0).
Fig. 3.12 Examples of 749GT DB2 (aft profiles).
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