本研究で提案する伴流設計システムは所望の伴流分布を入力として、入力伴流分 布 を 実 現 する船 型 を出 力 するシステムである。Fig. 5.1 にシステ ムの 概 要 を 示 す
( [98]〜 [101])。
Fig. 5.1 Overview of the proposed wake field design system.
伴流設計システムは、次の三つの技術要素から成り立つ。
• 船型・流場データベース
• ユークリッド距離に基づく伴流解析手法
• 船型ブレンディングに基づく船型生成手法
システムへの入力データは、所望のプロペラ面における任意伴流分布である。例え
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ば、この入力伴流は省エネ付加物の効果を最大とする伴流または現在の伴流よりもプ ロペラキャビテーションの低減が見込まれる伴流等である。所望の伴流分布の実際の 形状については次節で議論する。
一方システムの出力データは、入力の伴流に近い伴流分布を誘起する船型形状で ある。この出力船型はデータベース上の 3 船型から船型ブレンディングによって得られ るものであり、データベース上の船型のうちの 1 隻ではない。この仕組みにより、船型 データベースの密度が薄い場合についても、一定水準を満たす船型形状が伴流設計 システムから出力される。
伴流設計システムの詳細について動作順序にしたがって述べる。まず、入力伴流 分布の速度成分(𝑢、𝑣、𝑤)を、プロペラ極座標系(半径方向 10分割、周方向 36分割)
に座標変換する。
𝑞𝑟𝑖𝜃𝑗
⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗ = (𝑢𝑟𝑖𝜃𝑗𝑞 , 𝑣𝑟𝑖𝜃𝑗𝑞 , 𝑤𝑟𝑖𝜃𝑗𝑞 ) (5.1) ここで、
𝑖 = 1,2, ⋯ ,10, 𝑗 = 1,2, ⋯ ,36
ここで、プロペラボス範囲に相当するデータは解析範囲から除外する。
次に、入力伴流(𝑞⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗ 𝑟𝑖𝜃𝑗)と船型データベース上の全ての伴流(𝑝⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗ 𝑟𝑖𝜃𝑗
𝑘)とのユークリッド 距離(𝑑𝑘)を次式で算定する。
𝑑𝑘(𝑝⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗ 𝑟𝑖𝜃𝑗
𝑘 , 𝑞⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗⃗ )𝑟𝑖𝜃𝑗 2
= ∑ (𝑢𝑟𝑖𝜃𝑗𝑝𝑘 − 𝑢𝑟𝑖𝜃𝑗𝑞 )2
1≤ 𝑖 ≤ 10 1≤ 𝑗 ≤ 36
+ ∑ (𝑣𝑟𝑖𝜃𝑗𝑝𝑘 − 𝑣𝑟𝑖𝜃𝑗𝑞 )2
1≤ 𝑖 ≤ 10 1≤ 𝑗 ≤ 36
+ ∑ (𝑤𝑟𝑖𝜃𝑗𝑝𝑘 − 𝑤𝑟𝑖𝜃𝑗𝑞 )2
1≤ 𝑖 ≤ 10 1≤ 𝑗 ≤ 36
(5.2)
このユークリッド距離は提案システムの評価関数であり、伴流のユークリッド距離に よって提案システムは、船型および伴流データベースの次元縮約を行う。なお、本シス
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テムでは、将来的にデータマイニングの高度化が可能となるよう、船型データベースの 処理やユークリッド距離の算定に Python 言語を基盤としたオープンソース・ライブラリ
であるScipy [102]を使用している。
ユークリッド距離に基づき伴流設計システムは船型データベースから入力伴流に類 似する伴流を誘起する船型形状を複数選定する。本研究ではこの過程で類似の 3 船 型を選定し、この 3 船型を入力伴流からのユークリッド距離が近い順に HF1、 HF2、
HF3と呼ぶ。
前章で議論したとおり、特徴線である稜線を持たない滑らかな船型について、その 船型変化が連続的である場合、その船型が誘起する伴流もまた連続的に変化する。
そのため、伴流の類似性の高い船型同士の線形重ね合わせ(船型ブレンディング)に よって、船型および伴流の線形補間が可能であると考えられる。
本研究では所望の入力伴流に近い伴流を誘起する出力船型を、選定された3船型 の船型ブレンディングによって生成する。類似 3船型(HF1, HF2, HF3)の船体表面離 散点を(𝑃⃗ 1, 𝑃⃗ 2, 𝑃⃗ 3)で表すと、出力船型の船体表面離散点(𝑃⃗ )は次式で得られる。
𝑃⃗ = 𝑎1𝑃⃗ 1+ 𝑎2𝑃⃗ 2+ 𝑎3𝑃⃗ 3 (5.3) ここで、
𝑎1+ 𝑎2+ 𝑎3 = 1
提案する伴流設計システムでは、船型ブレンディングバラメータ(ai)を入力伴流と類 似 3船型とのユークリッド距離(𝑑1, 𝑑2, 𝑑3)で次式のとおり算定する。
𝑎1 = 2
3− 𝑑1 𝑑1+ 𝑑2+ 𝑑3
𝑎2 =2
3− 𝑑2 𝑑1+ 𝑑2+ 𝑑3
𝑎3 =2
3− 𝑑3 𝑑1+ 𝑑2+ 𝑑3
(5.4)
伴流設計システムの出力船型は、(5.3)式および(5.4)式で得られる船型形状である。
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