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自動車販売業の営業プロフェッショナルの研究

ドキュメント内 JAIST Repository https://dspace.jaist.ac.jp/ (ページ 33-37)

2.2 リーダーシップの代替要因に関する先行研究

2.2.6 自動車販売業の営業プロフェッショナルの研究

企業業績に直接貢献する営業職だが、経営学など学術の研究対象となることは少な い中で自動車販売会社の専門性が高い営業職(営業プロフェッショナル)に関し先行研 究がある。宮下(2005)は、日本国内の日米自動車企業(国産2社、米系2社)とその系列 販売会社のマネジャーを対象にヒアリング調査を行い、営業職務にあたる専門性と人 材育成を考察した。宮下(2005)によれば、ヒアリング対象を販売会社管理部門マネジ ャー、販売店店長を対象にしたのは、営業職または営業管理・支援の職務を経験して おり、営業職の専門性やその育成を伺うには適任と思われたからだと説明している。

ヒアリング対象が総計4社というのは標本として少なさは否めないが、宮下は、この 調査を含め研究の中で、営業プロフェッショナルに関し定義をしている。ヒアリング 調査の内容と結果をそれぞれ表2.3、表2.4で示す。

2.3 自動車販売会社へのヒアリング調査内容

調査企業 (販売会社所 在地域)

日系J社、J社系自動車販売会社 J1J2社(東京都、神奈川県)

米系U社、U社系自動車販売会社 U1U2社(東京都、埼玉県) 実施時期 20037-9 20043-5

目的 自動車販売営業職の内容(特に専門性、人材育成について) を明らかにする

ヒアリング対象 本社販売管理部門のマネジャーおよ び販売会社の店長

統括会社販売管理部門のマネジャー および販売会社の店長

ヒアリング事項 および特徴

販売店の組織、営業の一日、営業の 職務と課題、営業の難しさと矛盾、営 業職の広がり、情報システム、営業の 資格、営業職の育成、新しい販売形態

販売店の組織、販売施策、ブランド 戦略、商品ラインの課題、営業の職 務、中古車ビジネス、顧客管理カー ド、営業職の育成、店長のメモ

出所 宮下(2005), 305ページ。

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2.4 ヒアリング調査結果

調査企業 (販売 会社所在地地域)

日系J社、J社系自動車販売会社 J1J2社(東京都、神奈川県)

米系U社、U社系自動車販売会社 U1U2社(東京都、埼玉県) 営業職 真摯な態度、コミュニケーションをはじめとする能力、知識が求められる

営業職の専門性 知識は当然必要。ベースは真面目で粘り強く、お客様に対応する行動であ る。顧客の思っていることを理解する能力、傾聴能力が重要(全社共通)

営業に必要なこと 真面目、うそつかない、月1回顧客

を訪問すること 未記入

営業プロフェッショ ナルの定義

営業の専門性である営業マネジメント、営業関連知識、営業活動技術を生 かし、顧客との優れたコミュニケーション、信頼関係を構築できる人材。企 業にとっての貴重な能力、高い市場価値をもつ人材

販売会社の姿勢 営業職務の合理化、組織化、

改善、社員教育に関心高い。 簡素化された組織形態。

営業の育成 研修講座によるロープレ(Off-

JT) 、現場でのOJT、社内検定有り 現場でのOJT, 資格等関心薄い

出所 宮下(2005) , 306~308ページ。

Morita & Nakamori(2012)は、中小企業の自動車販売会社の営業職に関し、宮下(2005) により表2.4で示された「真摯な態度」、「知識」が業績の高い営業職にいかに重要な のか検証するために調査を実施した。

調査方法は自動車メーカーA 社の全国自動車販売会社網(各社独立した中小企業の フランチャイズ網)の各店舗責任者(店長)、販売会社責任者を対象に全国113店舗に属 する529名の中で販売成績が優れた営業職上位38名および下位30名に関し、調査項 目(1.知識レベル、2.自己啓発をしている、3.仕事への姿勢、4.性格)を内容とした質問 紙を作成し、留置法、自記式で全数調査を行った。分析方法は、上位38名と下位30 名の2グループの定義を明確し、クラス分けをした。このクラス分けを表2.6で示す。

また、調査期間は2011年1月~3月実施した。

自動車産業においてはメーカーに関し多数の研究は存在するものの、自動車販売会 社の営業職に関しては、数は少ない。本研究で対象とする中小企業の自動車販売会社 における営業職は、取り扱うブランドA社が主催するセールスアカデミー、ロープレ によるセールストーク全国コンテスト、年間販売台数のコンテスト等に参加し、車両 についての知識や販売に関する知識を習得したセールスマンのみ登録することが正 規ディーラーとしてマスト要件になっている。また、車両以外にも自動車保険の取り

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扱いも公的資格が必要である。無論、通常の業務に必要な知識や資格があれば誰もが プロフェッショナルというわけではない。

2.5 名称、定義、サンプル数、決定クラス

名称 定義 サンプル数 決定クラス

優秀販売員 月平均販売 6 台以上、月平均売上推定

1700 万円以上の販売員 38 Positive

不振販売員

全国販売員 529 名中下位 30 人、但し勤 続年数首都圏 7 年以上、地方 4 年以上 の販売員

30 Negative

出所 Morita & Nakamori (2012), p. 34.

回答に選択肢を使用した「1.専門知識レベル、2.自己啓発」をカイ 2 乗検定で分析 した。また、記述式で調査した「3.仕事への姿勢、4.性格」は可変精度ラフ集合論によ り分析した。カイ 2 乗検定の分析結果を表 2.6、可変精度ラフ集合論の分析結果を表 2.7で示す。

2.6 カイ 2 乗検定結果(Pearson のカイ 2 )

出所 Morita & Nakamori (2012), p. 36.

自由度 漸近有意確率(両側) 知識レベル 6.725 3 0.081

自己啓発 0.955 1 0.328

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2.7 可変精度ラフ集合論による性格、仕事の姿勢の分析結果

出所 Morita & Nakamori (2012), p. 36.

尚、可変精度ラフ集合論において Cover Index(以下 CI)は下近似の属性変数の適 合度合である。また、決定ルール(p→q)の正確度を以下の通り計算する(水口 et al.,

2004)。尚、pは条件、qは結論、|q|は論理式qを満たす対象の数を表す

分析の結果、「知識」は有意確率0.081であり、有意差は認められなかった(p>0.05)。 よって、知識があれば優秀販売員であるとは言えなかった。「自己啓発」は有意確率

0.328であり、有意差は認められなかった(p>0.05)。よって、「自己啓発」があれば優秀

販売員であると認められなかった。また、仕事の姿勢として、「真面目」は正確度0.67、

CI 0.16と低く、真面目だから優秀とは言えないと判断する。仕事の姿勢としては、「情

情熱的 9 0 1.00 0.24

威圧的 5 1 0.83 0.13

一匹狼 4 1 0.80 0.11

顧客により態度変える 11 3 0.79 0.29

謙虚 14 5 0.74 0.37

真面目 6 3 0.67 0.16

協力的 13 14 0.48 0.34

Cover Index 仕事の姿勢 Excellent Bad 正確度

正直 3 0 1.00 0.08

こだわりがある 12 2 0.80 0.32

器用 3 2 0.60 0.08

紳士的 20 19 0.51 0.53

礼儀正しい 2 3 0.40 0.05

Cover Index

性格 Excellent Bad 正確度

 

q q p q p

Cer

|

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熱的」(正確度100、CI 0.24)、「顧客により態度変える」(正確度0.79、CI 0.29)、「謙 虚」(正確度 0.74、CI 0.37)が「真面目」より正確度、CI ともに高かった。性格は、

「正直」(正確度 100、 CI 0.08)は正確度が高いものの、CI は低く、「こだわりがあ

る」(正確度0.80、CI 0.32)が目立った。

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