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が経営者と現場を一体化させ、様々な経営課題を解決させるヒントとなると考える。
但し、他業種では検証できておらず、本研究ではこの理論は仮説であり、範囲は調査 対象とされた自動車販売会社という限界がある。また、安定期・拡大期において中小 企業には後継者候補が必要となっている。本研究では世襲が多い中小企業の自動車販 売会社の事例研究であったが、世襲であろうがなかろうが、経営者という地位には変 わりない。求められるのは生い立ちではなく、経営後継者に必要とされる経営ノウハ ウやフォロワーたる補佐役という人材である。一般的な企業を対象とした経営ノウハ ウの充実に本研究で業績の要因とした経営者のリーダーシップ、構造作り、組織特性 がいかに貢献するかという視点では研究ができていない。また補佐役であるが、営業 プロフェッショナルと業績に関し探求したものの、本来補佐役というのは経営者のマ ネジメント補佐であり、本研究対象であれば店舗責任者をしている担当役員や店長と いうミドルのリーダーシップ(中間管理職)が相当と考える。しかし、本研究では業績 とミドルのリーダーシップに関する探求はしていない。よって、本研究の結果をもっ て中小企業は抱える多様な経営課題を解決するには限界があると考える。
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よって、中小企業の自動車販売会社においては、経営者のリーダーシップが目標、課 題の達成に不可欠な要因であると考える。また、中小企業の自動車販売会社において は、リーダーシップの下位尺度を分析した結果や定性データに基づく印象管理から、
交換型リーダーシップではなく変革型リーダーシップが有効である可能性がある。特 に経営者のカリスマ性、理想的影響行動が重要であると考える。但し、1店舗(TS店) は、経営者のリーダーシップ(評価値 4)がなくとも業績がよい存続レベルであった。
今後の課題として、リーダーシップがない場合、店長のミドルのリーダーシップや営 業プロフェッショナルがどのような要因で活性化され、業績を挙げるか明らかにする 必要があると考える。
次に2.リーダーシップの代替要因は存在するか、については業績とリーダーシップ
と代替要因となる構造作り、組織特性の関わりを注目する。経営者のリーダーシップ の平均値が「存続(14.15)」→「警告(5.80)」と大幅に落ち込む中、分散分析での多重比 較の結果、リーダーシップは高業績である存続レベルと低業績である警告、閉店レベ ルに有意な差があった。また、リーダーシップが剥落した警告グループを閉店に至ら せなかった要因として、有意の差があったものはなかった。そして、構造作りも、事 業継続が黄色信号の警告→赤信号の閉店に至る過程では、必ずしも構造作りの欠落が 要因であるとは言い切れないものの、平均値や分散分析での多重比較により高業績の 存続レベル→低業績の警告、閉店レベルとなるか否かの重要な要因と判断できる。更 に、低業績と高業績の相関分析では、共にリーダーシップと構造作りは正の相関が認 められた。しかし、存続レベルでは、リーダーシップもあり構造作りもあり、低業績 では双方ともなかったので、構造作りがリーダーシップの代替要因であるとは考えら れない可能性がある。そして、この構造作りは相関分析で示されたようにリーダーシ ップと強い関わりを持つ可能性が考えられる。また、組織特性は分散分析での多重比 較により存続→閉店には有意な差があるものの、平均値においては高業績「存続(7.71)」
>低業績「警告(7.00)」>「閉店(5.64)」であり、高業績の存続と低業績の警告に、リー ダーシップのような平均値の差があるとは言えないと考える。そして本章で述べた通 り、組織特性があっても業績が悪い店舗がある。よって、業績が低い場合、組織特性 の下位尺度となっている会社のルールや社員の結束が著しく低いとは言い切れない。
また、表4.8よりリーダーシップと組織特性は相関が認められなかった。リーダーシ ップとの関わりがなく、業績の優劣にもあまり差がないということにより、組織特性 がリーダーシップの代替要因になるとは考えられない可能性がある。つまり、組織特 性は業績水準に差を与えるものとは言えないと考える。よって、中小企業の自動車販 売会社においては、Kerr&Jermier(1978)が提唱するリーダーシップの代替要因が存在す るとは言えないと考える。以上より、リサーチ・クエスチョンの2.リーダーシップの 代替要因は存在するか、という問いには、中小企業の自動車販売会社においては構造
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作り、組織特性はリーダーシップの代替要因として存在しないと考える。
リサーチ・クエスチョンの3.研究職以外の営業プロフェッショナルがリーダーシッ プの代替要因となるか、に関して、本研究では経営者のリーダーシップがなくとも営 業プロフェッショナルが存在し、存続レベルとなっていた店舗(TS店)があった。TS店 は店長が経営者に心理的距離を感じており、リーダーシップの評価が総計4と存続レ ベルでは著しく低いものの、営業プロフェショナルが2名おり業績を支えており、営 業プロフェッショナルが経営者のリーダーシップを代替した可能性があると考える。
しかし、営業プロフェッショナルが唯一存在する存続レベルのグループで、表4.7が 示すように、相関分析において営業プロフェッショナルは、リーダーシップや組織特 性に正のやや相関が認められ、構造作りに正の高い相関が認められた。営業プロフェ ッショナルが経営者のリーダーシップの代替要因となるなら、リーダーシップとの相 関係数は低いか、ない、または負の相関と考える。
また、営業プロフェッショナルの確保、育成に関しては、営業プロフェッショナ ルが存在しない店舗ではリーダーの個別的配慮は低く、営業プロフェッショナルが いる業績が高い店舗では、個別的配慮の高まりが確認できた。そして、業績がよい 存続レベルにおいては、表5.43、図5.5より、営業プロフェッショナルがいない場合 を除き、個別的配慮の評価は存続平均1.91以上であった。要するに、営業プロフェ ッショナルの確保、育成に影響がある経営者のリーダーシップの要因として、経営 者のカリスマ性、個別的配慮があり、理想的影響行動、モチベーションの鼓舞、知 的刺激は営業プロフェッショナルの確保、育成に影響がない可能性があると考え た。組織特性は表5.44、図5.18より営業プロフェッショナルの人数問わず、評価
7.00~9.00に入っており、評価に差があまりなく、営業プロフェッショナルの確保、
育成に影響がない可能性があると考える。また、構造作りの評価が高ければ高いほ ど、営業プロフェッショナルの人数が多くなっている。このことより、構造作りが 営業プロフェッショナルの確保、育成に影響する可能性があると考える。しかし、
第4章でリーダーシップの下位尺度得点から個別的配慮は業績が高くとも必ずしも あるとは言えなかった。よって、本研究においては、個別的配慮とは業績への直接 的な要因ではないが、営業プロフェッショナルの確保、育成には有効であり、営業 プロフェッショナルが育成、確保された場合、業績向上の要因となると考える。
以上より中小企業の自動車販売会社では、リーダーシップがない状態では、企業は 目標達成を実現できない可能性があると考える。また、存続レベルにおいて、組織特 性と構造作りに正の高い相関が認められた(r=0.884, p<0.01)。競争が激しい自動車販売 業で生き残るためには、経営者のリーダーシップ、構造作り、組織特性のコンビネー ションが有効であり、このような環境の中で、特にリーダーの個別的配慮やカリスマ 性が強く、構造作りもある場合、営業プロフェッショナルが存在する可能性があると
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考える。
野中(1980)によれば、経営管理と組織論はマリッジ関係にあるという。本研究でも、
存続において、組織特性と構造作りに正の高い相関が認められた(r=0.884, p<0.01)。ル ーチン化された仕事や現場の内的なモチベーションを指す構造作りと組織が公式化 されており手続きがきちんと定まっており、社員の結束力が強い組織特性に正の強い 相関が見られた。成功する企業の構造作りと組織特性には強い正の相関があることを 示していると考える。