• 検索結果がありません。

1.1 緒言

フェキソフェナジン塩酸塩は、7~11歳の小児に対して、国内で実施された小児通年性アレルギー 性鼻炎及びアトピー性皮膚炎を対象とした第3相比較試験(O3101試験及びO3102試験)の結果に 基づき、「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚 炎)に伴うそう痒」を効能・効果とし、「フェキソフェナジン塩酸塩として1回30 mg 1日2回投 与」を用法・用量として既に承認されている。

本薬において既承認の成人及び7歳以上の小児と本申請の対象となる0.5~6歳の乳幼児では、対 象疾患の経過が類似しており、治療結果の比較が可能であると推定できるため、ICH E11に基づいた

「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス(平成12年12月15日医薬審第1334号 別添)」に従って、成人及び7歳以上の小児から6歳以下の乳幼児への有効性の外挿が可能であると 考えた([Module 2.5.1.2.5])。アレルギー疾患の臨床評価は主に患者日誌を用いた自覚症状に対する 評価を用いているため、今回の適応拡大の対象となる乳幼児での有効性評価は困難である。そのため、

患者自身ではなく保護者による日誌を用い、アレルギー性鼻炎及び小児における代表的な皮膚疾患で あるアトピー性皮膚炎に対する有効性を参考データとして評価することとした(SFY10717試験及び

SFY10718試験)。また、成人及び7~11歳のデータの0.5~6歳への外挿可能性を確認するために、

ドライシロップ製剤でも7~11歳の小児に過去の試験と同様な効果が得られ、さらに6歳以下の小児 でも同様の効果があるかを補足的に確認することとした。

1.2 試験の方法

有効性を主要目的とした試験は実施していない。本項では、副次目的として0.5~11歳の小児に対 する有効性データを収集したSFY10717試験及びSFY10718試験の方法について述べる。

1.2.1 試験の目的

0.5~11歳の小児通年性アレルギー性鼻炎(SFY10717試験)及び小児アトピー性皮膚炎

(SFY10718試験)患者でのフェキソフェナジン塩酸塩(ドライシロップ)1回15 mg又は30 mg 1日

2回投与の4週間の有効性を副次目的として検討するために実施した。

1.2.2 試験のデザイン

SFY10717試験及びSFY10718試験は、日本で実施した4週間投与及び8 週間延長投与による第III

相、多施設共同、非盲検、無対照試験である。最長9日間のスクリーニング期(SFY10717試験)又 は1 週間のスクリーニング期(SFY10718試験)、4週間の主要投与期、8週間の延長投与期、及び投 与後観察期(治験薬最終服薬後3~5 日)の4 期で構成された。

1.2.3 有効性評価及びパラメータ

4 週間の有効性を評価するため、SFY10717試験では「全観察期間(Day 2 からDay 28±3)を通し

ての患者日誌による3 鼻症状合計スコア及び各鼻症状スコアのベースライン(Day -1)からの変化量

(2 ~11 歳の患者)」、SFY10718試験では「全観察期間(Day 2 からDay 28±3)を通しての患者日 誌(顔面及び頭部及びおむつ部位を除く被験部位)による主要かゆみスコアのベースラインからの変 化量(ベースライン=本登録日直前3 日間の平均主要かゆみスコア)」を評価項目とした。患者日 誌は、保護者が被験者から症状についての話をよく聞くとともに被験者の状態を把握し記入すること とした。

1.2.4 データ解析の考察

有効性を評価するデザインの試験ではないため、検定は実施せず、全観察期間を通してのスコア 及びスコアのベースラインからの変化量を記述的に要約した。

2 個々の試験結果の要約

表 1 - 日本人0.5~11歳小児を対象とした臨床試験一覧表 試験番号

添付資料番号

目的 デザイン及び 対照の種類

被験薬 投与方法

被験者数 対象 投与期間

SFY10717 5.3.5.2-1 5.3.3.5-2*

安全性 有効性

PPK

多施設共同、

非盲検、無対 照試験

0.5-1歳: 15 mgドラ イシロップ BID 2-11歳: 30 mg ドラ

イシロップBID

計:109 15 mg: 7 30 mg: 102

0.5-11歳 アレルギー 性鼻炎

4週間

(12週 間)

SFY10718 5.3.5.2-2 5.3.3.5-2*

安全性 有効性

PPK

多施設共同、

非盲検、無対 照試験

0.5-1歳: 15 mg ドラ イシロップBID 2-11歳: 30 mg ドラ

イシロップBID

計:103 15 mg: 50 30 mg: 53

0.5-11歳 アトピー性 皮膚炎

4週間(

12週間

PPK=母集団薬物動態、BID=12回、投与経路=経口、試験の進行状況=完了、報告書の種類=完全な報告書

*SFY10717/SFY10718/POP6489/J002試験の母集団薬物動態解析報告書

2.1 日本人0.5~11歳小児通年性アレルギー性鼻炎における無対照試験(SFY10717試験)

[添付資料5.3.5.2-1]

日本人小児(0.5~11歳)の通年性アレルギー性鼻炎患者(目標被験者数約100名)を対象に、本 剤の安全性を検討するため、多施設共同、非盲検、無対照試験を実施した。用法・用量は、本剤をフ ェキソフェナジン塩酸塩として15 mg(0.5~1歳又は2歳以上で体重10.5 kg以下)、30 mg(2~11 歳かつ体重10.5 kgを超える)1日2回(朝・夕)経口投与、投与期間は4週間(安全性評価のため +8週間)とした。

本登録109名の全例109名(0.5~1歳7名、2~6歳51名及び7~11歳51名)が安全性解析対象集 団及び有効性のmITT集団であった。

有効性評価項目である2~11 歳の患者の鼻アレルギー日記から得られる3鼻症状(くしゃみ、鼻汁、

鼻閉)合計スコア変化量(投与前値[本登録の前日]から全評価期間[本登録日より2日目から28 日目±3日]の 1日あたりの平均スコアの変化量 ± SD)は、mITT集団において-1.78 ± 1.88であった。

表 2 - 3鼻症状合計スコア変化量(SFY10717試験、mITT集団)

Age (years)

<2 2 to <7 >=7 All

Total score of 3 symptoms (N=7) (N=51) (N=51) (N=109) Baseline

Number - 51 51 102

Mean (SD) - 5.7 (1.3) 6.2 (1.4) 5.9 (1.3)

Median - 6.0 6.0 6.0

Min : Max - 3 : 8 4 : 9 3 : 9

Treatment period

Number - 51 51 102

Mean (SD) - 4.07 (1.86) 4.26 (1.61) 4.16 (1.73)

Median - 4.00 4.39 4.04

Min : Max - 1.0 : 8.5 0.6 : 7.5 0.6 : 8.5

Change from baseline

Number - 51 51 102

Mean (SD) - -1.63 (1.99) -1.92 (1.77) -1.78 (1.88)

Median - -1.87 -2.16 -1.94

Min : Max - -6.3 : 3.5 -5.5 : 2.0 -6.3 : 3.5

95% CI for mean - (-2.19 to -1.07)(-2.42 to -1.42)(-2.15 to -1.41)

本剤投与4週間の有害事象は、63.3%(69/109名)に認められたが、死亡、重篤な有害事象及び有 害事象による中止例は認められなかった。副作用は、傾眠0.9%(1/109名)のみであった。投与12 週間でも同様であった。有害事象と判断された臨床検査値は、投与12週間で白血球数減少0.9%

(1/109名)に認められたが、治験薬との因果関係は否定された。

0.5~11歳の小児通年性アレルギー性鼻炎患者に対して、フェキソフェナジン塩酸塩(ドライシロ

ップ)1回15 mg又は30 mg を1日2回投与したときの安全性及び忍容性は良好であり、小児通年性

アレルギー性鼻炎の症状の改善が確認された。

2.2 日本人0.5~11歳小児アトピー性皮膚炎における無対照試験(SFY10718試験)

[添付資料5.3.5.2-2]

日本人小児(0.5~11歳)のアトピー性皮膚炎患者(目標被験者数約100名)を対象に、本剤の安 全性を検討するため、多施設共同、非盲検、無対照試験を実施した。用法・用量は、本剤をフェキソ フェナジン塩酸塩として15 mg(0.5~1歳又は2歳以上で体重10.5 kg以下)、30 mg(2~11歳かつ

体重10.5 kgを超える)1日2回(朝・夕)経口投与、投与期間は4週間(安全性評価のため+8週

間)とした。スクリーニング期(1週間)及び主要投与期の観察期間中(4週間)は、0.1%ヒドロコ ルチゾン酪酸エステル軟膏を塗布した(スクリーニング期及び投与2週間は用法を変更しない)。

本登録103名の全例103名(0.5~1歳49名、2~6歳31名及び7~11歳23名)が安全性解析対象 集団及び有効性のmITT集団であった。

有効性評価項目であるかゆみ日誌から得られる主要かゆみスコア変化量(投与前値[本登録日直 前3日間の平均]から全評価期間[本登録日より2日目から28日目±3日]の1日あたりの平均値 スコアの変化量 ± SD)は、mITT集団において-0.46 ± 0.53であった。

表 3 - 主要かゆみスコア変化量(SFY10718試験、mITT集団)

Age (years)

<2 2 to <7 >=7 All

Main itching scores (N=49) (N=31) (N=23) (N=103)

Baseline

Number 49 31 23 103

Mean (SD) 1.96 (0.52) 2.09 (0.71) 2.26 (0.54) 2.06 (0.59)

Median 2.00 2.00 2.00 2.00

Min : Max 0.7 : 3.0 0.7 : 3.7 1.3 : 3.7 0.7 : 3.7

Treatment period

Number 49 31 23 103

Mean (SD) 1.50 (0.67) 1.58 (0.74) 1.87 (0.56) 1.60 (0.68)

Median 1.48 1.64 2.00 1.66

Min : Max 0.1 : 2.9 0.0 : 3.3 0.3 : 2.8 0.0 : 3.3

Change from baseline

Number 49 31 23 103

Mean (SD) -0.46 (0.55) -0.51 (0.54) -0.39 (0.47) -0.46 (0.53)

Median -0.41 -0.55 -0.34 -0.40

Min : Max -1.7 : 0.9 -1.6 : 0.4 -1.2 : 0.4 -1.7 : 0.9 95% CI for mean (-0.62 to -0.30)(-0.71 to -0.31)(-0.59 to -0.19)(-0.56 to -0.36)

本剤投与4週間の有害事象は、56.3%(58/103名)に認められたが、死亡例及び有害事象による中 止例は認められなかった。また、重篤な有害事象は、1名(肺炎)に認められ、因果関係は否定され た。副作用は、白血球数減少1.0%(1/103名)のみであった。有害事象と判断された臨床検査値は副 作用の白血球数減少のみであった。投与12週間でも同様であった。

以上より、フェキソフェナジン塩酸塩ドライシロップは投与4週間では十分な安全性を示し、投与 12週間でも長期安全性を示した。本試験では本剤の使用経験が少ない0.5~1歳及び2~6歳の小児ア トピー性皮膚炎患者を対象に、それぞれ15 mg、及び30 mg のフェキソフェナジンを投与したが、7

~11歳の小児アトピー性皮膚炎患者を対象に30 mgのフェキソフェナジンを投与した場合と比較し て安全性における新たな問題点は認められなかった。また、小児アトピー性皮膚炎患者を対象とした フェキソフェナジン塩酸塩(ドライシロップ)1回15 mg 又は30 mgを1日2回投与したときの4週 間の有効性が確認された。

3 全試験を通しての結果の比較と解析

抗ヒスタミン作用を主とする薬剤については、薬理学的に「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾 患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒」への有効性が認められると考 えられること、本薬は成人及び7歳以上の小児の本適応症に対してすでに承認されており、乳幼児の 本適応症との病態的な差がないと考えられること、乳幼児では鼻症状及びそう痒などの自覚症状を適 切に評価することができず、検証的な臨床試験を実施することは困難であると考えられることなどか ら、本薬を検証的な試験を実施せずに7歳以上の小児及び成人で確認されている有効性を外挿して 0.5~6歳の本適応症患者に使用しても差し支えないものと考える。

以下に、副次目的で収集した参考データとなるが、アレルギー性鼻炎及び小児における代表的な 皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎を対象としたSFY10717試験及びSFY10718試験の有効性に関する 成績を示す。

3.1 試験対象集団

3.1.1 患者の内訳

SFY10717試験では、本登録109名の全例109名(0.5~1歳7名、2~6歳51名及び7~11歳51 名)が安全性解析対象集団及び有効性のmITT集団であった。

SFY10718試験では、本登録103名の全例103名(0.5~1歳49名、2~6歳31名及び7~11歳23 名)が安全性解析対象集団及び有効性のmITT集団であった。

3.1.2 試験対象集団の人口統計学的特性及びその他の特性

SFY10717試験では、本剤をフェキソフェナジン塩酸塩として15 mg(0.5~1歳又は2歳以上で体

重10.5 kg以下)投与されたのは7名、30 mg(2~11歳で体重 10.5 kgを超える)は102名であった。

SFY10718試験では、本剤をフェキソフェナジン塩酸塩として15 mg(0.5~1歳又は2歳以上で体

重10.5 kg以下)投与されたのは50名、30 mg(2~11歳で体重 10.5 kgを超える)は53名であった。

関連したドキュメント