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1.1 総括的安全性評価計画及び安全性試験の記述 1.1.1 背景及び概観

1.1.1.1 緒言

フェキソフェナジン塩酸塩(以下、本薬)は、成人及び7歳以上の小児に対して「アレルギー性 鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒」を効 能・効果とし、7~11歳の小児には「フェキソフェナジン塩酸塩として1回30 mg 1日2回投与」、

12歳以上には「フェキソフェナジン塩酸塩として1回60 mg 1日2回投与」の用法・用量で既に承 認されている。

小児(7~15歳)適応拡大では、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そ う痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒に対する本薬の安全性が示され、類薬と比較して特に問 題となるものはないと判断された。今回、本薬の対象年齢を0.5~6歳の小児に拡大するために通年 性アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎の患者を対象に実施した国内臨床試験成績を中心に、同 年齢(0.5~5歳)の小児を対象に実施した海外臨床試験における安全性データも参考として、本薬 の安全性を以下に記載する。

1.1.1.2 類薬の安全性情報

ヒスタミンはアレルギーや炎症のメディエーターとして重要であるが、中枢神経では覚醒と認知 機能賦活という役割を果たしている。抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬は重篤な副作用に遭遇する ことは少ない薬剤である。最も頻度の高いものは中枢神経系に対する作用で、抗ヒスタミン薬は脳 の血液脳関門を通過するため、鎮静性の抗ヒスタミン薬はヒスタミン神経系の覚醒作用を遮断する ことにより鎮静作用を惹起する。一般には眠気、集中力の低下、倦怠感という訴えとなって現れ、

また大量に服用した場合には、興奮状態を引き起こすこともある。小児に抗ヒスタミン薬を使用す るときの注意点として、特にけいれんに注意が必要である(表 1)。非鎮静性の抗ヒスタミン薬は 薬物トランスポーターの働きにより脳内移行が少なく、中でも本薬は脳内H1受容体占拠率が極め て低いことからインペアード・パフォーマンス(作業能率が低下した状態)を起こしにくいことで 知られている。その他の副作用としては、抗コリン作用により口渇、粘膜乾燥感、尿閉などを生じ ることがある。また、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状を生じることがある。

表 1 - 類薬の安全性情報(小児)

薬剤(年齢) 小児に関する使用上の注意

アレグラ錠30 mg

(7歳以上)

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児に対する安全性は確立していない。[使用経験が少ない。]

ザジテンドライシ ロップ0.1%

(6ヵ月以上)

禁忌

てんかん又はその既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させることがある。〕

慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

てんかんを除く痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させることがある。〕

重大な副作用

1. 痙攣、興奮(頻度不明)

痙攣、興奮があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止 し、適切な処置を行うこと(乳児、幼児では特に注意すること)。

小児等への投与

乳児、幼児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。〔痙攣、興奮等の中枢神経 症状があらわれることがある。〕

ゼスラン小児用シ ロップ0.03%

(1歳以上)

重要な基本的注意

1. 本剤の投与により眠気を催すことがあるので保護者に対し注意を与えること。また、高年齢の小児 に対し本剤投与中には危険を伴う機械操作や遊戯などを行わないよう十分注意を与えること。

2. 小児では一般に自覚症状を訴える能力が欠けるので、投与にあたっては保護者に対し患者の状態を 十分に観察し、異常が認められた場合には速やかに主治医に連絡する等適切な処置をするよう注意を 与えること。

3. 本剤は甘みがあるので、誤飲を避けるため、保護者に対し保管および取扱いについて十分注意を与 えること。

小児等への投与

低出生体重児、新生児(使用経験がない)及び乳児(使用経験が少ない)に対する安全性は確立して いない。

セルテクトドライ シロップ2%

(-)

慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

2. 幼児[「小児等への投与」の項参照]

小児等への投与

幼児(特に2歳以下)において錐体外路症状が発現するおそれがあるため、過量投与を避けること。

ジルテックドライ シロップ1.25%

(2歳以上)

慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

4. てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣を発現するおそれがある。〕

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児に対する安全性は確立していない(国内における使

用経験が少ない)。

アレロック顆粒 0.5%(2歳以上)

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児に対する安全性は確立していない(使用経験が少な

い)。

アレジオンドライ シロップ1%

(3歳以上)

重要な基本的注意

1. 眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には危険を伴う機械の操作に注意させること。また、

保護者に対しても注意を与えること。

小児等への投与

1. 低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない。[低出生体重児、新生児には使用 経験がない。乳児には使用経験は少ない。]

薬剤(年齢) 小児に関する使用上の注意 クラリチンドライ

シロップ1%

(3歳以上)

重大な副作用

2. てんかん(頻度不明) 注1)

てんかんの既往のある患者で本剤投与後に発作があらわれたとの報告があるので使用に際しては十分 な問診を行うこと。[注1) 外国での市販後等の報告であり頻度不明]

小児等への投与

低出生体重児,新生児,乳児又は3歳未満の幼児に対する安全性は確立していない。[使用経験がな

い。]

添付文書から小児での安全性に関する記載を抜粋した。

1.1.1.3 非臨床データに関連して安全性上問題となる可能性のある事項

フェキソフェナジン塩酸塩の毒性評価については、成人を対象とした初回申請及び小児適用拡大 申請時に実施済みである。その際、テルフェナジンを経口投与すると速やかに代謝され、血漿中に はフェキソフェナジンが主代謝物として存在することから、フェキソフェナジン塩酸塩の毒性評価 は一部テルフェナジンの毒性試験結果(ラット3ヵ月及び6ヵ月反復投与毒性、イヌ24ヵ月反復投 与毒性、マウス及びラットがん原性、ラット及びウサギ生殖発生毒性)を用いて行っている。本申 請においては適用年齢が0.5歳からとなるため幼若動物を用いた毒性試験の結果を用いて追加評価 を行ったが、その試験もテルフェナジンを投与したものを用いた。評価の結果、本薬を0.5~6歳の 乳幼児に投与するにあたって、特に大きな懸念は生じないものと判断した。

1.1.2 安全性評価に使用した試験

1.1.2.1 試験の概観

今回提出する8試験の一覧表を表 2に示す。

国内試験は、第3相2試験(SFY10717試験及びSFY10718試験)を評価資料とした。海外試験は、

第3相3試験(I3112試験、T3001試験及びT3002試験)及び第1相3試験(I1005試験、I1114試験

及びT1123試験)の計6試験を参考資料とした。試験製剤は、SFY10717試験及びSFY10718試験で

は5%ドライシロップ製剤を用いた。I1005試験では6 mg/mL経口懸濁液、I1114試験、T1123試験、

I3112試験、T3001試験及びT3002試験では顆粒製剤を用いた。

国内第3相2試験は無対照試験で、SFY10717試験では0.5~11歳の通年性アレルギー性鼻炎患者、

SFY10718試験では0.5~11歳のアトピー性皮膚炎患者を対象とした。投与期間は主要投与期として

4週間及び延長投与期として8週間の計4~12週間(最大13週間)とした。両試験では0.5~1歳の 小児に本薬1回15 mg、2~11歳の小児に本薬1回30 mg(ただし、2歳以上で体重10.5 kg以下の小

児には本薬1回15 mg)を1日2回経口投与したときの4週間の安全性及び12週間の安全性を評価 した。

海外第3相3試験はプラセボ対照試験で、アレルギー性鼻炎患者を対象とした。I3112試験では2

~5歳の小児に本薬1回30 mgを1日2回2週間経口投与したときの安全性を評価した。T3001試験 では0.5~1歳未満(又は1~2歳未満)で体重10.5 kg以下の小児に本薬1回15 mgを1日2回、T3002 試験では1~2歳未満(又は0.5~1歳未満)で体重10.5 kgを超える小児に本薬1回30 mgを1日2 回7日間以上経口投与したときの安全性を評価した。なお、T3001試験では1~2歳未満で体重10.5 kg 以下の小児、T3002試験では0.5~1歳未満で体重10.5 kgを超える小児についても試験への参加を可 能としたため、両試験では組み入れられたこれらの年齢層の小児も含めて安全性を評価した。

海外第1相3試験は無対照試験で、I1005試験及びI1114試験では2~5歳の小児に本薬30 mgを 単回又は1日2回5~8日間反復経口投与、T1123試験では0.5~1歳の小児に本薬15又は30 mgを 単回経口投与したときの安全性を評価した。

表 2 - 臨床的安全性で評価した試験一覧表 試験番号

添付資料番号

試 験 の 目

試験デザイン及び対照の 種類

被験薬/対照薬 投与方法

被験者数 対象 投与期間

SFY10717 5.3.5.2-1a

安全性 有効性 PPK

多施設共同、非盲検、無 対照試験

フェキソフェナジ ン(DS):

0.5-1歳 15 mg BID

2-11歳 30 mg BID(体重10.5 kg 以下 15 mg BID)

109 15 mg 7 30 mg 102

0.5-11 アレルギー性鼻炎

4-12 間(最大 13週間)

SFY10718 5.3.5.2-2a

安全性 有効性 PPK

多施設共同、非盲検、無 対照試験

フェキソフェナジ ン(DS):

0.5-1歳 15 mg BID

2-11歳 30 mg BID(体重10.5 kg 以下 15 mg BID)

103 15 mg 50 30 mg 53

0.5-11 アトピー性皮膚炎

4-12 間(最大 13週間)

I1114 5.3.3.1-2a 5.3.3.1-3b

薬物動態 安全性

多施設共同、非盲検、反 復投与試験

フェキソフェナジ ン(顆粒):

30 mg BID

26 2-5

抗ヒスタミン薬の適 応又は忍容性のある 被験者

5-8

T1123 5.3.3.1-4a 5.3.3.1-5b

薬物動態 安全性

多施設共同、非盲検、単 回投与試験

フェキソフェナジ ン(顆粒):

15又は30 mg QD 48 15 mg 23 30 mg 25

0.5-1

抗ヒスタミン薬の適 応又は忍容性のある 被験者

単回

I1005 5.3.3.2-1a

薬物動態 安全性

多施設共同、非盲検、単 回投与試験

フェキソフェナジ ン(6 mg/mL経口 懸濁液):

30 mg QD

50 2-5

アレルギー性鼻炎

単回

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