(1)1厳括
本研 究では、小学校 体育科 の体つ く り運 動の実態及 び小学生 の身体接触 に対す る意識 を 把握 した うえで、身体接触 を段階的に取 り入れ た体 ほ ぐし運動 の教授 法 を開発 し、その教 授 法 が学習者 の 「気付 き」「調整」「交流」 の3側面に与 える影響 につ いて検討 した。 具体 的 な研 究の 目的は、3つで あつた。1つ日は、体つ く り運動及 び体 ほ ぐ し運動 の実態 の把握
と課題 を明 らかにす る こと。2つ目は、事前調査で児童の 「気付 き」「調整」「交流 」の実態 を明 らかにす るこ と。3つ目は、身体接触 を段 階的に取 り入れ た体 ほ ぐ し運動 の授 業 を行 い
「気付 き」「調整」「交流」 に対す る影響 を検討す ること。
本研 究では、小学校 の体育科現職教員 を対象 に体つ く り運動 の実態及 び小学 生の身体接 触 に関す る意識の調査 を1つ、小学校 高学年及び低学年 を対象 に身体接触 を段 階的 に取 り 入れ た体 ほ ぐ し運動 が、心 と体 と人 間 関係 の意識 及 ぼす影 響 に関す る2つの実験 を行 つた。
以 下に各調 査 の考察及 を基 に本研 究で明 らか になつた こと及 び今後 の課題 につい て述 べ る。
第 1調査では、3名の小学校 の体育科現職 教員 を対象 にイ ンタ ビュー形 式で行 つた。小学 校 体育科体つ くり運動 の実態 を把握す るた め、年 間の時間数及 び取 り組 んでい る内容や ね
らいにつ いて質問 を行 つた。 王様 ドッジボール及びお しくらまん じゅ うを例 に体 ほ ぐ し運 動 の授業構想 を説 明 し、そ こか ら予見 され る問題 点や予想 され る児童 の反応 につ いて質 問 を行 つた。第 1調査段 階での研 究概要であ つた、交流 を伴 う体つ く り運動 が友 人関係 に も た らす よい影響 についての仮説 を説 明 し、それ に対 しての コメン トを受 けた。
小学校体育科 「体つ く り運動」の実態 につ いては、低学年 にお ける多様 な動 きを作 る運 動遊びの時間は10時間以上 と時間が多 く設 け られ ていた。 しか し多様 な動 きを作 る運 動や 体 力 を高める運動 に関 しては時間が多 く設 け られ てい る とは言 い難 い結果 であつた。 多様 な動 きを作 る運動や体 力 を高める運動 はま とまつた単元 と して も位 置付 けてお られ ず 、次 単元の準備 のための運動 と して設 け られ ていた。体 ほ ぐし運動 は新 しい クラス メイ トとの 交流 を 目的 と して年度 始 めの2時間のみ時 間が設 け られ ていた。体 ほ ぐ し運動 は現場 の教 員 に とつて も交流す るために有効 な手段 と して理解 され てい る と考 え られ る。
しか し、全 体的 に時間が設 け られ ない こと、そ してま とまった単元 と して扱 われ に くい こ とが明 らか になつた。授 業構 想 については、王様 ドッジボール は体ほ ぐし運動 ではな くゲー ム領域 、 ボール運動領域で あ るこ とが示 された。技術 が伴 う運動 においては、体 ほ ぐ し運動 とは捉 えに くい ことが伺 えた。 お しくらまん じゅ うは体 ほ ぐ し運動 として扱 える内容 では あ る も のの、他 の単元の授 業始 めに体 ほ ぐし運動 と して取 り入れ るこ とは難 しい ことが明 らか に な つた。他 の授業 で取 り入れ る場合 には主運動 と関連 してい る必要 があ り、そ うな つた場 合 に体 ほ ぐし運動 とい うよ りは体つ く り運動 となつて しま う。この こ とか らも45分授 業の 小学校 において、短時 間の体 ほ ぐし運動で あつて も授 業始 めに行 うこ とは難 しい とい う結 果 であつた。 お しくらまん じゅ うにお いては、身体が触れ合 うとい う点において も取 り扱
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い の難 しさが伺 えた。低学年 は身体接触 を受 け入れやすいが、高学年 においては現場 の体 育教員 において も意見が割れ るものであ り、高学年 にお ける身体接触 は慎 重 に行 つてい く 必要 が あ るよ うに考 え られ た。 また、身体接触 においては低学年 の頃か ら継 続 的 に経験 し て いれ ば高学年 にお いての身体接触 の意識 に も影響 を及 ぼす 可能性 が示唆 され た。研 究概 要 につ いては、交流 を伴 う体つ く り運動 は友人関係 を良好 にす る可能性 が示 され た。 しか し、体育科の授業場面 においては子 ども間の小規模 な トラブル が発 生す る可能性 が高い こ とが明 らかになつた。 しか し、
トラブル は必ず と言 つていいほ ど起 こるもので あ り、
トラ
ブル を回避す るこ とばか り考 えるのではな く、その トラブル を教師が適切 に対処す る こ と が 良好 な友人 関係 を築 くきっかけにな るこ とが明 らか になつた。
以 上の結果 か ら、体 ほ ぐし運動 は交流 を行 うに 当た つて好意的 な活動 で あ る と理解 が あ るが、体育科 にお いては他 の単元 が重視 され るこ とか らも時間 を多 く設 けるな ど重要視 さ れ ていない こ とが示 され た。 また、他 単元 の授業 にお いて体 ほ ぐ し運動 を取 り入れ る こ と は時 間的 に厳 しい こ とか らも、体 ほ ぐ し運動 を行 う場合 は単元 と して行 うこ とが必要 だ と 考 え られ た。 また、技術 が伴 う運動では交流の在 り方 が変 わつて しま うた め、体 ほ ぐ し運 動 においては技術 の向上が伴 わない授 業 をす る必要が ある と考 え られ た。 また、小学生 に お いて身 体接触 を取 り入れ る場合 は、低学年 ではそ こまで慎重 にな る必要 は ない こ とが示
され たが、高学年 では慎重 に取 り扱 って授 業 に取 り入れ る必要 が示 され た。
第 1実験では、事前調 査、教授活動 、事後調査 の順 で小学校5年生 を対象 に調査 を行 つ た。 教授 活動 では運動前 の脈拍数 の測定 を行 つた。 その後 、運動活動 で風船 を用 いて身体 接 触 の含 まない個 人活動 を行 い 自分 自身 の得意不得意 につ いての理解 を深 め る活動や身 体 接 触 のない集 団活動 を行 つた。 そ して、運動活動 を行 つてか らの脈拍数 を測 定 し運動 前 と の比較及 び現在の脈拍数 にお ける気持 ちの状態 に気付 く活動 を行 つた。 また人 間の体 内の 水 分量や 1日 にツト出す る水分量、最大心拍数 についての教授 を行 つた。最後 に身体接触 を 含 むペ アの活動や集 団の活動 、身体接触 の度合 いが大 きいペ アの活動 を行 つた。
心 と体 と人間関係 のほ ぐれ度 と気付 き度 に関す る課題 では、事前調査か ら事後調査 にか けてポジテ ィブ項 目群 が肯定的に、ネ ガテ ィブ項 目群 が否 定的 にわず かに変化 したが ほ と ん ど変わ らない結果 であつた。全体的 に見れ ば教授 活動 の影響 はみ られ なか った。気付 き。 調整・ 交流の3側面 に関す る課題 では、風船の教 材に関す る項 目は、好意的 に示 され てい た。 風船 は子 どもつぽ さがあ るよ うに思 える教材 だが、高学年 にお いて も十分活用 で きる 教材 であ るこ とが示 され た。 気付 きに関す る項 目では、10名中6名と6割にあた る児童 が
自分 の得意な ことや不得意 な ことに気付 けた としてい る。 体の特徴 は10名の 10割が分 か った と示 している。体 の特徴 に関 しては、体への気付 き課題 の正答率で も示す よ うに、人 間の体 について理解 がな され てい る といえる。調整 に関す る項 目では、積極 的 に運動 がで きた と9名の9割が回答 してい る。 これ は風船教材 が好意的 に受 け止 め られ た結果 、運動 に対 し積極的 にな つていた と考 え られ る。 交流 に関す る項 目では、身体接触 に関 しては8 割 が肯定的に回答 していた。 身体接触 の度合 いを、手 を繋 ぐや腕 を組 む とい つた範囲 に留
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めた こ とが好意的 に受 け入れ られ た と要因 だ と考 え られ る。 しか し、1名は否 定的 に とらえ てい る こ とか らも、好意的 に捉 え るものが多か っただ けで あ り全員 に 当て はま る ものでは ない とい うこ とが明 らかになつた。友達 と協力す るこ とは楽 しかった と10名中9名 と9割
の児 童が回答 して いた。協力す ることに対 して、否定的に とらえてい る者 はお らず 、多様 な協力場 面を取 り入れ た ことが要因だ と考 え られ る。 運動 の好 き嫌 いに関す る課題 は、事 前 では10名の 10割が好 き と回答 してお り、事後 では10名 中9名 と9割で あった。1名が 否 定的 に変化 して い るが、 自由記述か らは もともと運動が嫌 いだつた と示 され てい る。 そ の こ とを踏ま えて も、事前調査か らの変化 はほ とん どみ られ なかつた。教授活動が運動の 好 き嫌 い に影響 を及 ぼす ことはなかった と考 え られ る。体への気付 きに関す る課題 では、
人 間の体 内の水分 量の正答率 は事前では10名中4名の4割で あったが、事後 では 10名の 10割で あった。人 間の体内水分量 につ いての知識 は定着 してい る とい え る。 1日 のツト出水 分量 の正答率 は事前で10名 中4名の4割であったが、事後では 10名の 10割で あった。1
日の排 出水分量につ いての知識が定着 して い る とい える。 小学校5年生の最 大心拍 数 の正 答率 は事前で10名 中1名の1割であつたが、事後 では10名中8名の8割で あ った。 事前 調 査 か ら事後後調 査へ正答者 の割合が有意 に増加 してい ることか らも、小学校 5年生 の最 大心拍数 につ いて の知識 が定着 してい る といえる。 これ らは、パ ワー ポイ ン トを用 いた学 習活動 を取 り入れ て運動活動 と連動 させ て行 つた ことが要因だ と考 え られ る。 自由記述課 題 では、10名 中6名の児童 が楽 しかったや 面 白かつた と示 してい ることか らも教授活動 を 好意 的に捉 えてい る と考 え られ る。体育科 の授 業 に も関わ らず 、遊び と表現 してい る児童 が10名 中4名い るこ とか らもスポー ツ競技 とは区別 された運動 になつていた ことが明 らか になつた。 この よ うに遊び と表現 され てい ることは、児童 の遊び の幅 の広 が りが あつた可 能性 が考 え られ る。 個別 の児童の変化 に着 日した分析 では、心 と体 と人間関係 のほ ぐれ度
と気付 き度 に関す る課題 において肯定的 に伸びた児童Aと否 定的 に伸 びた児童
Bに
お いて 、 他 の課題 と比較 したが、他 の課題 にお いて は両者 ともに肯定的 な回答 であつた。 この こ と か らも、他 の課題 に対 し大 きな影響 を及 ぼ してい る とは考 え られ ない。 また、反転項 目に お いて矛 盾す る点 がい くつかみつ かつた。 事前で運動 が好 きに肯定的 だった ものが 、事後 で否 定的 になつた児童Cに
おいて も、他 の課題 と比較 した。児童Cは
自由記述 で 「も ともと運動が嫌いだつた」 と示 してい るこ とか ら、運動 が嫌 いだった と判断 した。 しか し、他 の課題 においては、肯定的に示 してい ることか ら、運動が嫌いな児童 にも好意 的な教授 活 動 だ つた可能性 が あ る。
以上の結果 か ら、ほ ぐれ度 と気付 き度 にほ とん ど変化がみ られ なか った こ とか ら教授活 動 において更 なる改善 の必要 があ るこ とが示 され た。身体接触 にお いては、手 を繋 ぐや腕 を組 む程度 な ら授 業 に用 い ることがで きる可能性 が示 され た。 また、学習活動 と運動活動 を混ぜ た教授 活動 を行 うこ とで体への気付 きに関す る課題 の理解 が深 まった と考 え られ 、 学習活動 と運動活動 を繋 げて教授 活動 を行 う必要が ある と考 え られ た。
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