第 3 章 高機能湿式エッチング技術の開発
3.2 枚葉回転湿式前処理による CMP 工程における膜の平坦性の改善
3.2.4 結論
STI工程におけるCMPによるHDP酸化膜の平坦化前に枚葉回転湿式処理により膜厚補正膜 を行った結果、以下の結論を得た。
1. ブランケット・ウェハ上のHDP酸化膜厚の補正 1) 凸型膜厚分布
ウェハ中心部でのエッチングレートが速くなるように、ノズルをウェハ中心部 に固定し、ウェハ端面ではエッチングが進まないように、中心部からの薬液の供 給と同時に、端面部ではDIW供給を同時に行い、更にノズルの動作の最適化を行 った。その結果、HDP酸化膜の膜厚分布は大きく改善され、そのばらつきは(膜 厚の最大値と最小値の差)は37 nmから17 nmまで減少し、更に膜厚の均一性は成膜 時の11.8%から5.4%へ大きく改善された。
2) 凹型膜厚分布
ウェハ端面でのエッチングレートが速くなるように、ノズルをウェハ端面に固 定し、ウェハ中心部ではエッチングが進まないようなノズル動作の最適化を行っ た。その結果、ばらつきは89 nmから20 nmまで減少し、更に均一性は3シグマで
成膜時の7.85%から1.95%へ大きく改善された。
3) 凹凸複合型膜厚分布
第一段階として凸型部分を補正、第二段階で凹型部分の補正を行った。はじめ に凸型の膜厚分布補正の処理条件を用い、ウェハ中心部の膜のエッチングを行っ た。凸型部分の補正では、均一性は成膜時の 2.66%から 3.83%に悪化したが、ウェ ハ中心部の膜厚分布は平坦化され、膜厚分布の形状は凹型になった。次に凹型の 膜厚分布補正の処理条件を用い、ウェハ端面部の膜のエッチングを行った。その 結果、膜厚分布は完全に平坦化され、成膜時の均一性 2.66%から 1.30%に大きく改 善された。
2. STI素子上のHDP酸化膜厚補正 1) CMP平坦化前
実際の STI素子に埋め込まれた HDP酸化膜の膜厚補正を行った結果、成膜後の
均一性は 4.6%であったのに対し、膜厚補正後の均一性は 1.5%まで改善された。
55
STI 素子上でも本技術を適用することで HDP酸化膜のウェハ径方向の膜厚分布が 大幅に改善された。
2) CMP平坦化後
HDP酸化膜厚分布が補正された後にCMP研磨を行うことにより、研磨後のアク ティブ上の窒化膜厚はウェハ径方向でほぼ一定になり、膜厚均一性は補正無の
6.4%と比較し2.8 %と半分以下に大きく改善された。また、トレンチ上のHDP酸化
膜圧もウェハ径方向でほぼ一定となり、膜厚均一性は補正無の 9.1%と比較し 6.8%
に大きく改善された。
3. シミュレーション
ウェハ径方向の薬液吐出位置でのエッチングレートおよび、エッチング量分布 の特性を用い、膜厚補正後の膜厚分布のシミュレーションを行った。その結果、
計算結果と実際の実験結果の膜厚分布に大きな差異は無く、シミュレーションが 可能であることが分かった。このシミュレーション技術を使うことで、膜厚分布 補正のための枚葉回転湿式処理条件を容易に最適化できる。
以上の結果から、本技術を CMP による平坦化工程の前工程として適用することにより、
ディッシングやエロージョンが確実に抑制でき、素子分離特性を大きく向上できる。 更 に CMP による平坦化の前に様々な膜厚分布を持つウェハを、シミュレーションによる処 理条件の自動計算とこの膜厚補正技術で全てのウェハで常に同じような膜厚分布に補正で きるため、膜厚分布依存による平坦性の違いを考慮する必要がなくなる。結果として、
CMP 工程で常に高い平坦性の安定化を容易に実現でき、更に多大な時間や費用がかかる エンジニアによる作業を抑制することが可能になり、運用コストの面でも大きな利益が得 られる。
【参考文献】
1) Jae-Hong Kim et al., Proceedings of CMP-MIC, pp.375 (1999) 2) J. Warnock, J. Electrochem. Soc., 138, pp.2398, August (1991) 3) P. A. Burke, Proceedings of VMIC-Conf., pp.379-384, (1991)
4) P. Renteln, M. Thomas, J. Pierce, Proceedings of VIC-Conf., pp.57-63, June (1990) 5) S. Runnels, J. Electrochem. Soc., 141, July (1994)
56
6) G. Nantz and Camilletti, IEEE Trans. of Semi. Manuf., 8141, July, pp.382, (1995) 7) Y. Hayashida, et al., Proceedings of VIMIC-Conf., pp.464, (1995)
8) B. Stine, et al., Proceedings of VMIC-Conf., pp.266, (1997)
57