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第 4 章 高機能半導体表面洗浄技術の開発と理論的考察

4.3 表面洗浄における高機能乾燥技術

4.3.1 イソプロピルアルコールを用いたウォーターマークが発生しない乾燥法

4.3.1.4 実験結果

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この結果は、希釈IPAによるリンス・乾燥によりウォーターマークの形成が抑制されて いることを示唆している。さらに粒子汚染量も親水面の結果とほぼ同じ量で、希釈IPAに よる残留物や化合物などが形成されないことが明らかになり、この結果は、希釈IPAが素 子性能に悪い影響を及ぼすことが無いことを示している。

次に、さらに希釈IPA+N2乾燥によるウォーターマーク抑制を向上させるために、乾燥 に使用する N2にIPAを混合し、その効果を調べた。図 4.3.1-7に希釈 IPAによるリンス後 の乾燥に N2を使用した場合と N2/IPAを使用した場合の粒子汚染状態を調べた結果を示す。

ここで、シリコン基板上の自然酸化膜を DHF = 1:100のより除去し、粗水面を形成した。

また、希釈IPAの濃度を20%とし、回転速度100 rpmでスピンN2乾燥を行い、N2/IPAの濃

度を1500 ppmとした。さらに、効果をより詳細に調べるため粒子径65nm以上の粒子汚染

について測定した。

4.3.1-7. 希釈IPAによるリンス後の乾燥にN2を使用した場合とN2/IPAを使用した場合の

粒子汚染状態。希釈IPA濃度:20 %、微粒子径:> 65 nm、DHF:HF:H2O=1:100、回転数:

100 rpm、乾燥回転数:1500 ppm。

粒子汚染パターンは、N2乾燥、N2/IPA乾燥のどちらの乾燥でも観測されなかったが、

汚染粒子数は、N2乾燥の186個に対して、N2/IPA乾燥では65個とな1/3に抑制される。さ らに、処理前後の粒子数の変化はN2乾燥では125個増加したが、N2/IPA乾燥では95個減

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少した。この結果から、希釈IPAによるリンスとN2/IPA乾燥を併用することにより、さ らにウォーターマーク抑制に効果があることが見出された。

さらに、希釈 IPA+N2/IPA 乾燥によるウォーターマーク抑制効果の再現性を確認するた め、3枚のベアシリコンを連続処理した結果を図 4.3.1-8に示す。ここで、再現性をより詳 細に調べるため粒子径55nm以上の粒子汚染について測定した。

その結果、全てのウェハでウォーターマークの形成を示す筋状の特異パターンは観測さ れず、さらに 55nmの微小粒子でも、全てのウェハで 100個以下の値を示した。この結果

は、希釈 IPA+N2/IPA乾燥により安定してウォーターマークを抑制できることを示唆して

いる。

図 4.3.1-8.希釈 IPA+N2/IPA乾燥によるウォーターマーク抑制効果の再現性。希釈 IPA濃 度:20 %、微粒子径:> 55 nm、DHF:HF:H2O=1:100、回転数:100 rpm、乾燥回転数:1500 ppm。

ここまでの実験結果は、パターンの無いベアシリコン上での評価であり、実際にウォー ターマークが発生し易いパターンを有するウェハでの希釈 IPA+N2/IPA乾燥によるウォー ターマーク抑制効果を確認する必要がある。そのため、IMEC にてウォーターマーク評価 に使用されているPoly-Si DTウェハを用いた実験を行った。このパターンウェハ上には、

親水面と粗水面が混在するため、ベアシリコン上よりもウォーターマークが発生し易い表 面状態を有している。図4.3.1-9に光学顕微鏡の暗視野観察によるPoly-Si DTウェハ上のウ ォーターマークの観察を行った結果を示す。

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DIW+N2乾燥では、多くのウォーターマークが観測される。一方、希釈 IPA+N2/IPA乾 燥ではウェハ中心および端面でもウォーターマークは一つも観測されず、希釈 IPA+

N2/IPA乾燥がウォーターマークの抑制に大きな効果があることが明らかである。この結果

は、希釈 IPA+N2/IPA乾燥が親水面と粗水面が混在する実際の素子を用いた処理において

ウォーターマークを抑制する高い効果があることを示している。

図 4.3.1-9. 光学顕微鏡の暗視野観察によるPoly-Si DTウェハ上のウォーターマークの観察。

希釈IPA濃度:20 %、DHF:HF:H2O=1:100、回転数:100 rpm、乾燥回転数:1500 ppm。

4.3.1.4.2 静電気帯電の抑制

枚葉回転湿式処理では、ウェハが回転しているため DIW との摩擦によりリンス時に静 電気がウェハに帯電し、素子特性に悪影響を及ぼす問題が指摘されている。そのため、希

釈IPA+N2/IPA乾燥による処理によるウェハへの静電気帯電について評価を行った。

図 4.3.1-10 に希釈 IPA の濃度変化によるウェハの静電気帯電の変化を示す。DIPW+N2

乾燥では、処理前は負の帯電を示すが、処理中に急激に正に帯電し、処理後も大きな正帯 電が残留する。しかし、DIW に IPA を混合すると処理中の帯電は大きく減少し、処理後

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の帯電量はほぼ 0Vに近い値を示す。この結果から、希釈IPAはウォーターマーク抑制効 果と共に、IPAの高い濡れ性により、ウェハへの静電気の帯電抑止にも効果があることが 明らかになった。

図 4.3.1-10. 希釈IPAの濃度変化によるウェハの静電気帯電の変化。回転数:100 rpm。