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新しい乾燥技術の概念

第 4 章 高機能半導体表面洗浄技術の開発と理論的考察

4.3 表面洗浄における高機能乾燥技術

4.3.1 イソプロピルアルコールを用いたウォーターマークが発生しない乾燥法

4.3.1.3 新しい乾燥技術の概念

基板表面が親水面である場合、ウォーターマークは発生しにくい。しかし、表面が粗水 面の場合は、容易にウォーターマークは形成される。回転乾燥時の親水面と粗水面での振 舞の大きな違いは、親水面の場合、水はゆっくりと乾燥していくが、粗水面の場合は一瞬 の内に水は振り切られてしまう点である。そのため、疎水面ではウェハ表面上に均一な水 膜が形成されず、ウェハの回転による遠心力だけで乾燥されるため、図 4.3.1-2 に示すよ うにウェハの端面に乾燥不良が生じ、ウォーターマークが発生してしまう。これらのこと から、疎水面の乾燥も親水面と同様にウェハ全面に均一な水膜を形成し、ゆっくり乾燥さ せることができれば、ウォーターマークは形成されないと推測できる。粗水面上に均一な 液膜を形成するためには、DIW の表面張力を低くする必要があるが、酸などの薬液や界 面活性剤のようなものは残留物が素子特性に影響を与えるため使用できない。

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4.3.1-2. 微粒子汚染測定によるウォーターマークの面内分布。

そこで、マランゴニ乾燥やロタゴニ乾燥に用いられている素子特性に影響を与えない IPAをDIWに混合することにより(希釈IPA)、DIWの表面張力を低減させ、同時にIPA の高い揮発性を併用することにより、ウォーターマークを抑制する手法を考案した。

図4.3.1-3に示すように、DIWにIPAを混合していくと表面張力が低下する(8)。DIWの表

面張力を低減させることにより、粗水面上でも均一な水膜が形成される。さらに図 4.3.1-4 に希釈IPAの濃度を変化させた場合の粗水面上の液の状態を示す。ここで、シリコン表面 の自然酸化膜はHF:H2O=1:100の希釈弗化水素酸により除去した。

DIWだけの場合は、接触角が大きく、水膜の範囲が狭い。しかし、IPAの濃度が上昇す ることにより接触角は小さくなる。50%の濃度では、粗水面でも水膜が大きく広がる。さ らに、実際にウェハが回転している状態で、希釈IPAの濃度の違いによる粗水面上の水膜 の挙動について調べた。ここで、回転速度は 100 rpmとした。その結果、20%以下の濃度 では均一な水膜を形成することが難しく、ウェハが回転中でも粗水面を完全に覆う水膜を 形成するには、20%以上の濃度が必要であることが明らかになった。

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図 4.3.1-3. IPA濃度の変化による表面張力の変化。

これらの結果から、DIW中の IPA の濃度を最適化することにより、粗水面上でも均一な 水膜を形成できる。

図 4.3.1-5 に処理の手順を示す。はじめに希釈 IPA がウェハ上に供給される。その際、

粗水面が完全に水膜により覆われるようにするため、低回転で処理をする。次に、水膜の 中心に N2を供給し、水膜の中心部に穴をあける。水膜は、ウェハの回転とともに徐々に ウェハ端面へ移動し、最終的にウェハ表面は乾燥する。このときIPAの高い揮発性の効果 により、ウェハ表面に水滴は残留しないため、ウォーターマークの発生を抑制できる。

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図 4.3.1-4. 希釈IPAの濃度を変化させた場合の粗水面上の液の状態。

図 4.3.1-5. 枚葉回転式処理における希釈IPAによる乾燥方法。

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