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結果と考察

ドキュメント内 色彩による視覚的な触感効果に関する研究 (ページ 33-40)

第Ⅱ部 色彩による触印象の喚起

2.4 色彩の 3 属性による触印象の喚起

2.4.3 結果と考察

(1)触印象に対する色彩属性の影響の分析

触印象の言語評定の結果(M・SD)と触サンプルの選択評定の結果(M・SD)をTable2-4、

Table 2-5に示す。

それぞれの評定結果に対する色彩属性の影響を検討するため、各評定値を従属変数、各 系列の色彩属性(色相、明度、彩度)を独立変数とする1要因の分散分析をおこなった(Table 2-6)。

(2)色相が喚起する粗滑感

色相系列では、柔硬感において1%水準で有意となり(F (9,81)= 3.332, p <.01, ηp2 = .27)、

温冷感においても1%水準で有意となった(F (9,81) =33.539, p <.01, ηp2 = .79)。しかし、

粗滑感においては有意な差は生じなかった。よって、色相は粗滑感の喚起に影響をもたな いことが示唆された。

Table 2-4

言語評定の結果(M、SD)

系列 色刺激

M SD M SD M SD M SD M SD 1 1.90 0.57 4.10 0.99 3.90 0.57 1.60 1.07 3.00 1.05 2 2.00 0.47 3.50 0.97 2.80 1.03 1.50 0.53 2.90 0.99 3 1.80 0.63 4.30 0.67 3.10 1.10 2.60 0.70 2.60 0.70 4黄緑 1.90 0.57 4.00 0.82 2.50 0.71 3.40 0.52 3.10 0.74 5 2.10 0.88 3.90 0.88 3.40 0.97 3.20 0.63 3.00 0.94 6青緑 1.80 0.42 3.90 0.88 3.50 0.85 4.00 0.47 3.30 0.95 7 1.80 0.63 3.90 0.88 3.80 0.79 4.60 0.52 3.30 1.06 8青紫 1.90 0.74 3.80 0.79 4.00 0.94 4.60 0.52 3.20 1.23 9 2.10 0.74 3.80 0.63 3.20 0.79 3.10 0.57 3.90 0.74 10赤紫 2.50 0.85 3.50 0.85 3.10 0.74 2.30 0.48 3.60 0.52 1高彩度 2.40 0.70 3.70 0.82 3.30 0.48 1.50 0.53 3.30 0.82 2中彩度 3.20 1.14 3.20 0.92 2.60 0.52 2.20 0.42 3.50 0.71 3低彩度 3.70 0.67 2.80 1.48 2.80 0.79 3.10 0.57 3.80 0.79 4高彩度 2.80 0.63 3.60 0.70 3.30 0.67 4.30 0.95 3.50 0.85 5中彩度 3.60 0.52 3.40 1.17 3.60 0.70 4.20 0.63 3.80 0.42 6低彩度 3.90 0.57 3.00 1.41 3.70 0.95 4.20 0.63 3.80 0.63 7高彩度 2.60 0.70 3.80 0.63 2.80 0.79 3.00 0.47 3.10 0.74 8中彩度 3.50 0.71 3.10 0.99 2.60 0.84 3.10 0.32 3.40 0.84 9低彩度 3.50 0.85 3.10 1.10 3.20 0.63 3.50 0.53 3.30 0.82 1 2.00 0.67 4.60 0.52 2.90 1.10 3.80 0.79 2.60 1.07 2明灰色 3.40 0.97 3.20 1.23 3.30 0.95 3.70 0.67 3.70 0.67 3灰色 3.70 0.67 2.90 0.99 4.30 0.48 3.90 0.57 3.60 0.70 4暗灰色 3.30 0.82 3.70 1.16 4.30 0.67 3.90 0.74 3.10 0.57 5 2.70 0.95 3.90 0.88 4.60 0.52 3.90 0.74 3.50 0.71

言語評定

1)なめらかな-

ざらざらした

2)でこぼこした

-平らな

3)やわらかい-

かたい

4)あたたかい-

つめたい

5)さらっとした

-しっとりした

a.色相系列

b.彩度系列

(有彩色)

赤系

緑系

青系

c.明度系列

(無彩色)

Table 2-5

触サンプルの選択評定の結果(M・SD) 系列 色刺激

M SD

1赤 11.16 15.62

2橙 14.94 14.62

3黄 7.47 12.99

4黄緑 9.35 13.16

5緑 11.24 13.02

6青緑 15.01 11.77

7青 15.16 19.75

8青紫 9.43 9.94

9紫 24.52 15.74

10赤紫 18.71 12.32

1高彩度 26.63 18.73

2中彩度 47.56 16.86

3低彩度 57.05 22.53

4高彩度 26.33 16.06

5中彩度 45.75 18.96

6低彩度 57.32 20.51

7高彩度 22.40 11.61

8中彩度 45.72 14.12

9低彩度 57.32 20.51

1白 22.48 7.63

2明灰色 45.18 18.95

3灰色 57.29 16.17

4暗灰色 49.41 19.01

5黒 26.44 18.50

c.明度系列

(無彩色)

a.色相系列

b.彩度系列

(有彩色)

赤系

緑系

青系

触サンプルの 選択評定 シボ深さ(㎛)

Table 2-6

分散分析の結果のまとめ

な め ら か な

ざ ら ざ ら し た

で こ ぼ こ し た

平 ら な

や わ ら か い

か た い

あ た た か い

つ め た い

さ ら っと し た

し っと り し た

** **

3.332 33.539

** ** * **

19.399 11.495 4.333 36.957

** **

13.108 16.472

** ** ** *

25.759 14.878 6.211 4.846

** ** ** ** **

10.193 10.739 8.918 12.256 4.146

数値はF値  * P < .05   ** P < .01 系列

言語評定

触サンプル 選択評定

色相系列

赤系

緑系

青系

明度系列 彩度系列

(3)明度が喚起する粗滑感

粗滑感の言語評定では、明度系列において0.1%水準で有意な差があり(F (4,36)=10.739,

p <.001, ηp2 = .10)、Bonferroniの方法による多重比較により白と明灰色、白と中灰色、白

と暗灰色、中灰色と黒の間に有意差が認められた。粗滑感の言語評定値を従属変数、無彩 色の明度値を独立変数とする重回帰分析をおこなうと、明度(x)と言語評定値(y)との関係は y = -0.0862x2 + 0.8847x + 1.3312(決定係数R² = 0.9698、5%水準で有意)の逆U字型 の曲線回帰式であらわされた(Figure 2-10)。

触サンプルの選択評定でも、明度系列(F (4,36)= 10.193, p <.001, ηp2 = .04)におい

て0.1%水準で有意な差があり、Bonferroniの方法による多重比較により粗滑感の言語評

定と同じ色刺激間で有意差が認められた。選択評定した触サンプルのシボ深さ(㎛)を従属 変数、明度値を独立変数とした重回帰分析をおこなうと、明度(x)とシボ深さ(y)との関係は y = -2.0375x2 + 22.051x - 5.9236(決定係数R² =.963、5%水準で有意)の逆U字型 の曲線回帰式であらわすことができた(Figure 2-11)。

粗滑感の言語評定と触サンプルの選択評定との関係を、ピアソンの相関係数により検討 すると、両者の間に中程度の正の相関が認められた(r = .545, p < .001)。

以上から、無彩色の明度系列では、中明度色(中灰色)が最も粗さを喚起し、高明度色

(白)が最も滑らかさを喚起すること、低明度色(黒)は中明度色よりも粗さが抑制され ることが示唆された。

y = -0.0862x2+ 0.8847x + 1.3312 R ² = 0.9698

1 2 3 4 5

0 2 4 6 8 10

明度(V) かなり

なめらかな やや なめらかな やや ざらざらした かなり ざらざらした

どちらでもない 評

定 尺 度

Figure 2-10. 明度系列での明度と言語評定値の関係。

y = -2.0375x2 + 22.051x - 5.9236 R ² = 0.963

10 20 30 40 50 60

- 2 4 6 8 10

シボ 深 さ(

㎛)

明度 (V)

Figure 2-11. 明度系列での明度とシボ深さの関係。

(4)彩度が喚起する粗滑感

彩度系列の粗滑感の言語評定では、赤系彩度系列(F (2,18)= 11.495, p <.001, ηp2 = .22)、

緑系彩度系列(F (2,18)= 16.472, p <.001, ηp2 = .12)、青系彩度系列(F (2,18)=14.878,

p <.001, ηp2 = .34)の全てにおいて0.1%水準で有意な差がみられた。多重比較

(Bonferroni)では、それぞれの色相で高彩度色と中彩度色、高彩度色と低彩度色との間 に有意差が認められた。粗滑感の言語評定値を従属変数、彩度値を独立変数とする重回帰 分析をおこなうと、彩度(x)と言語評定値(y)との関係はy = -0.1397x + 4.0702(決定係数

R² = .8414、1%水準で有意)の直線的な回帰式であらわされた(Figure 2-12)。

触サンプルの選択評定では、赤系彩度系列(F (2,18)=19.399, p <.001, ηp2 = .27)、緑 系彩度系列(F (2,18)=13.108, p <.001, ηp2 = .18)、青系彩度系列(F (2,18)=25.759, p <.001,

ηp2 = .12)それぞれにおいて触サンプルの選択に0.1%水準で有意な差が認められた。多重

比較(Bonferroni)の結果、粗滑感の言語評定と同じ色刺激間で有意な差が認められた。

選択評定した触サンプルのシボ深さ(㎛)を従属変数、彩度値を独立変数とする重回帰分析 をおこなうと、彩度(x)とシボ深さ(y)との関係はy =-3.7954x + 65.336(決定係数R² =.855、

1%水準で有意)の直線的な回帰式であらわされた(Figure 2-13)。

粗滑感の言語評定と触サンプルの選択評定との間には、ピアソンの相関係数で弱い正の 相関が認められた(r =.385, p < .001)。

以上から、有彩色の彩度系列では、彩度が高いと滑らかさが喚起され、彩度が下がるに つれて粗さが増し、低彩度色が最も粗さを喚起させることが示唆された。

y = -0.1397x + 4.0702 R ² = 0.8414 1

2 3 4 5

0 2 4 6 8 10 12

彩度 (C) かなり

なめらかな やや なめらかな やや ざらざらした かなり ざらざらした

どちらでもない 評

定 尺 度

Figure 2-12. 彩度系列での彩度と言語評定値の関係。

y = -3.7954x + 65.336 R ² = 0.8553

10 20 30 40 50 60

- 2 4 6 8 10 12

シボ 深 さ(

㎛)

彩度 (C)

Figure 2-13. 彩度系列での彩度とシボ深さの関係。

ドキュメント内 色彩による視覚的な触感効果に関する研究 (ページ 33-40)