第Ⅲ部 テクスチャーによる色印象の喚起
5.2 方法
触刺激は、稲葉(2016a)が用いたものと同じ樹脂板で、シボ深さが段階的に変化する 5種類であった。サイズは、170mm×40mmで、先端の40mm程度を実験参加者の触覚に 提示した(Table 5-1)。
色サンプルも、稲葉(2016a)が色刺激として用いたものと同じカラーシートで、有彩 色系列9色と無彩色系列5色であった。それらをコニカミノルタ製色彩色差計CR-400に より測定した結果をTable5-2に記した。色刺激のサイズは、30mm×30mmで、明灰色(N7)
の台紙(A4サイズ)に、有彩色系列9色は、縦横3×3の配列で上下20mmの間隔で並 べた。無彩色系列5色は、横1列に20mm間隔で並べた。それぞれの並び順は、実験参加 者ごとにランダムに配置した。
5.2.2 尺度
v 本章の内容は、原著論文「触感における快評定に色彩が及ぼす影響」(稲葉, 2018b)として、日本 感性工学会論文誌 17 (2)に掲載された(pp. 321-328)。
また、日本感性工学会 第13回日本感性工学会春季大会(名古屋)において、2018年3月27 日に口頭発表された(TG4-2)。
触刺激を1つずつ提示し、その触感に適した色サンプルを1色ずつ選択する評定をおこ なった。その後、それぞれの触刺激の粗滑感を5段階尺度(1.かなりなめらかな、2.やや なめらかな、3.どちらでもない、4.ややざらざらした、5.かなりざらざらした)で言語評 定した。
Table 5-1 触刺激の一覧
触刺激 シボ深さ(㎛) JIDA
サンプルNo.
粗シボ 76.54 JTX-010
中粗シボ 58.10 JTX-007
細シボ 36.96 JTX-004
極細シボ 18.86 JTX-001
平滑面 0.00 Flat
注) 日本インダストリアルデザイナー協会製スタンダードサンプルを使用した。
Table 5-2 色サンプルの一覧
色相 (H) 明度 (V) 彩度 (C)
高彩度色 赤系 5.8R 5.3 11.6 5R/S1
緑系 6.4G 5.6 7.9 5G/S1
青系 5.3PB 5.2 9.4 5PB/S1
中彩度色 赤系 6.9R 6.1 6.5 5R/L4
緑系 4.9G 5.9 5.6 5G/L4
青系 5.5PB 5.2 6.3 5PB/L4
低彩度色 赤系 6.5R 6.0 1.8 5R/Gr
緑系 3.7G 6.0 2.0 5G/Gr
青系 4.8PB 5.9 2.1 5PB/Gr
白 6.7Y 9.4 0.3 N9.5
明灰色 4.6BG 6.9 0.1 N7
灰色 6.1B 5.0 0.2 N5
暗灰色 9.0B 4.0 0.2 N3.5
黒 10.0Y 1.8 0.1 N1.5
色サンプル マンセル値 Hue&Tone 記号
注)日本カラーデザイン研究所製MMカラーチャートのカラーシートを使用し た。表中に、同カラーシートのHUE&TONE記号を記した。
5.2.3 実験環境
実験室の照明は、演色性の高い蛍光灯であり、机上の照度は1000~1100lxであった。
実験は、実験者と実験参加者が対面式でおこなった。
5.2.4 実験参加者
21歳から49歳までの19 名(男性11名・女性 8名)が実験に参加した。平均年齢は、
31.2歳(SD = 7.6)であった。色覚が正常であることと、指先に怪我などがないことを実
験前に口答で確認した
5.2.5 手続き
実験者は、明灰色(N7)の厚紙(A3サイズ)を実験参加者と触刺激の間に位置させ、実験参 加者が直接、触刺激を見ることができないようにした。実験参加者は、触刺激の上で利き 手の指先を左右に数回動かして、(1) 粗滑感の言語評定、(2) 有彩色系統の色サンプルの中 から触印象に適した1色を選択する評定、(3) 無彩色系統の色サンプルの中から触印象に 適した1色を選択する評定をおこなった。触刺激の提示順は、実験参加者ごとにランダム にした。
5.2.6 実験計画
実験は、触刺激要因(粗シボ、中粗シボ、細シボ、極細シボ、平滑面の5水準)の1要 因で、被験者内要因であった。