第 Ⅱ章 実践授業 I
第 6節 結果 と考察
(1)作 文の変容 【 全体】
1年 2組 33名 の第 1次 作文、第 2次 作文、最終作文について、評価規準
(表2‑2)を 基に分析を行つた。ただ し、第 1次 作文は 2名 、第 2次 作文は 6名 回収できていない。
評価規準は先行研究 を基に以下の 5項 目に決め、 1項 目につ き 001・ 2点 の 3段 階で点数 をつけ、 10点 満点の設定 とした。
表
2‑2
作文 の評価規準項 目 具体的な観点 点 数
分析 的項 目
①内容
主題が明確 であるか題名 と内容が合 つているか
例示や対比 を使 つて表現 しているか
0・ 1・ 2
②構成
・一段落―内容か。論の構造 (問い〜説明〜答え)を使 つているか
。ナンパ リングを使つているか
0・ 1・ 2
③表現 ・ 文体は統一 されているか
・ 一文の長 さは適切か
。読み手の ことを考えて、わか りやす く効果的 に表現 しているか
0・ 1・ 2
④表記 ・ 誤字脱字はないか
。ことばの選び方、使い方が正 しく行われているか
0・ 1・ 2
総合項 目 ⑤全体の完成度 0・ 1・ 2
全体の評価結果は次ページの表 2‑3の とお りである。 また、第 1次 作文、
第 2次 作文、最終作文における項 目別の平均点の変動
(図2‑10)を 次に示す。
■1次作 文
■2次作 文 最 終 作 文
表記
完成度 表 現
構 成 内 容
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 6 4 2 0 8 6 4 2 0 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0
図
2‑10
項 目別 の平均点 の変動表
2‑3
作文 の評価 結果評価結果か ら次の 5点 の傾 向が明 らかになった。
①書 き直すたびに点数が上昇
第 1次 作文か ら第 2次 作文へ、 さらに最終作文へ と書 き直すたびに点数が上 昇 してい る。 それ ぞれ の作文 にお いて合計 の平均 点 が
4.32→6.52(+2.2)→7.52(+1.00)へ
と上昇 している。
②第 1次 作文か ら第 2次 作文にかけて、点数が大き く上昇
第 1次 作文か ら第 2次 作文における点数の増減 と、第 2次 作文か ら最終作文 における点数の増減 を調べた
(表2‑4)。 結果は次のよ うになつた。
第 1次作 文 第2次作 文 最 終 作 文
内 容 構 成 表 現 表 記 壱成 月 合 計 内 容 構 成 表 現 表 IE 壱成燿合 計 内 容 構 成 表 現 表 記 宅成層合 計
男 子
S‑1 1 2 2 2 1
S‐2 1 1 1 7 1
S‑3 l 1 1 1 2 1
S‑4 0 1 1 C 1
S‑5 1 1 7 0
S‑6 1 1 1 1 C 1 2
S‑7 2 2 1
S‑8 0 0 1 1 C 1 : 2 1 1 1
S‑9 1 1 1 1 l
S‑10 1 0 1 1 1 1
S 1 1 1 C : 2 1
S‑12 1 1 2 1 2 9 2 2
S 3 1 1 2 1
0 0 C 2 1 1 1 7 2 1 2
S 5 0 1 1 : 0 , 1 1 1
女 子
1 1 1 0 1 2 0 1 6 1 2 2 1 1
1 1 1 2 9 2 2 1 2
1 1 2 7 1 1
1 C 1 1 2 2 2 1
S‑20 1 C │ 1 0 1 1 1 1 7
S‑21 1 C 1 4 1 1 1 0 1 2 2 1 1 1
S‑22 1 1 1 1 1 1 1
S‑23 0 1 1 1 1 1 l 1 2 2 1 7
S‑24 0 1 : 1 1 4 1 1 1 1
S‑25 0 1 1 1 2 1 1 2 2 2 2
0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
S‑27 0 0 1 0 1 1 1 ! 2 2 1 7
S‑28 0 0 1 1 2 2 1 1 1
S‑29 1 : 0 1 1 1 1
S‑30 0 1 2 :
S‑31 0 0 1 1 0 1 1 1 1 ! 1 1
2 1 1 2 2 2 1 1 2 2 : 2
1 1 1 1 1 1 1 1 1
数 の 数 点 毎 人
0点(人 1 3 0 5 ! : 1
1点(人
2点(人 3 6 1 1
合計点 248
平均点 103
第 Ⅱ章
実践授 業I
表
2‑4
点数 の増減点数の増減
+5点 +4点 +3点 +2点 +1点 +0点
第 1次作 文 〜第
2次作文 (26人)
1人
(3.8%)
3人
(11.5%)
8人
(34.6%)
フ人 (30.8%)
2人
(7.7%)
3人
(ll.5%) 第2次作 文 〜最
終作文 (27人)
0人
(鰯)
0人
(O16)
2人
(7.4%)
6人
(22.2%)
16人
(59.3%)
3人
(‖.1%)
この結果か ら、第 1次 作文か ら第 2次 作文にかけて、 3点 以上上がった生徒 が 12名 、 2点 上がった生徒は 7人 お り、点数が大きく上昇 した生徒が多い。 こ の理由として、教材文の工夫点を取 り入れ ることにより、作文の内容、構成、
表現が大 きく変わつたため、点数が上がった と考えられ る。生徒の作文が どの ように変わつたのかは、 (3)作 文の変容 【 個別】
(本論文 p.51)で 詳述する。
③第 1次 作文か ら第 2次 作文では、内容、構成、表現の項 目が大きく上昇 第 1次 作文か ら第 2次 作文にかけては、内容が
0。62点 、構成が 0.5点 、表現 が 0.49点 、それぞれ大きく上昇 している。 このことか ら、教材文の工夫点を取 り入れ ることは、生徒作品の内容、構成、表現に大きく影響を与えたことがわ かる。
④第 2次 作文か ら最終作文では、表記の項 目が大きく上昇
第 2次 作文か ら最終作文にかけて、表記が
0。48点 と大きく上がっている。一 方、内容、構成、表現に関 して、あま り点数の変動が見 られない。 しか し、第 2次 作文か ら最終作文にかけて、内容、構成、表現を推敲 している生徒は見 ら れ る。点数の変動が少ないのは、すでに第 2次 作文の段階で点数が高 く、それ 以上点数が上が らなかつたためである。
⑤項目ごとの分布 と変動
項 目ごとで点数別の人数の変動を調べた
(図2‑11)。 結果は以下の とお りで ある。
なお、 それぞれの作文において合計人数が異なっている。第 1次 作文は 31人 、 第 2次 作文は 27人 、最終作文は 33人 である。
容 構 成
2点伏)
内
L 雌
0
5
0
5
0 2 1
1 日1次作文
■2次 作文 最終作 文
1点
00 2点
伏)■1次作丈
●2次 作丈 最 終作文
L 雌
0
5
0
5
0 2 1 1
1点0ゆ
10
0 "
0点〔人)
表 現
)2点
{人)表 記
口1次作文
■2次 作文 最 終作文
・点亡人
■1次作 文
●2次 作文 最 終作 文
25
2︒
15
・0 5
0
L
0点(人}
図
2‑11
項 目ごとの分布 と変動 (第1次作文か ら最終作文)第
1次
作 文 か ら第2次
作文 にか けて は 、内容 と構成 に 関 して 、0点
の生徒 が減 り、
2点
の生徒 が増 えた。 また、表 現 に関 して、1点
か ら2点
に上 が った生 徒 が多 い。 これ らは 、教材 文 の工夫 点 を取 り入 れ る こ とに よ り、作 文 の構 造 を 大 き く変 え る こ とに繋 が ったか らで あ ろ う。第
2次
作文 か ら最 終作 文 にか けて は、表現 と表 記 に関 して、2点
の生徒 が多くな った。 これ らは 自 らの文 章 を推 敲す る こ とに よ り、表 現や表 記 の間違 い を 正 しく書 き直す こ とが で きたか らだ と考 え られ る。しか し、最終作文 の段 階で、
表 記 の間違 いが見 られ る生徒 もい た。 自 らの文 章 を 自分 一人 で読 み 返す だ けで は甘 い評価 とな り、間違 い に気 づ けない よ うで あ る。 また、推 敲 の段 階 では、
表記 を直す程 度 に と どま って い る生徒 が多 く見 られ 、文 章 の 内容・ 構 成 を大 き く変 えてい る生徒 は あま り見 られ なか った。 自分 一 人 で読 み返 す だ けで は、内 容 、構成 の改 善点 に気 づ けない よ うで あ る。
(2)項
目別 の変容内容 0構成・表 現・表記 の項 目ご とに どの よ うな特徴 が あ るのか を見 てい く。
i
第1次
作 文 か ら第2次
作 文 にか けて第
1次
作 文 と第2次
作 文 の結 果 に関 して 、項 目ご とに見 てい く。 それ ぞれ の 項 目に対 して対応 の あ るt検
定 を行 った。①内容
内容の項 目に関 しては、有意な差が見られた
(表2‑5)。
表
2‑5 t検
定の結果 (内容)1次作文
2次
作文t検
定 平 均 0.69SD O.68
N=26
0.57 t(25)=6.428梓 中
P<.05
‐P<.01
1.38
=
1点〔人
狙
第 Ⅱ章
実践授業I
第
1次
作 文 に比 べ て第2次
作 文 で は、主題 を明確 に して書 き直 してい る生徒 が見 られ た。 具体 的 には以 下 の よ うな書 き直 しを行 つてい た。。「序論 。本論 。結論」 で述べ るこ とを一貫 させ る
。本論で述べ る事柄 を絞 る
0対
比 を使 う。例示 を使 う
。「この よ うに」 とい う表現でま とめる
②構成
構成の項 目に関 しても、有意な差が見 られた
(表2‑6)。
表
2‑6 t検
定 の結果 (構成)1次作 文
2次
作 文t検
定 平 均0.85 1.42 N=26
SD O.73 0.64 t(25)=5.091**
ネ
P<.05 **P<.01
生徒 は文 章構 成 を意識 して書 き直 した。 生徒 は次 の よ うな書 き直 しを行 つて い る。
・「問い ―説 明 ―答 え」 とい う構成 で書 く
。内容 ごとに段落 を分 ける
。ナ ンバ リングを使 う
。「序論 。本論 。結論 」 の構成 で書 く
特 に この 中で 「問 い ―説 明 ―答 え」 とい う構成 で書 き直 して い る生徒 が多 く なった。第
1次
作文 で は4名
い たが、第2次
作文 で は10名
に増 えていた。また、第
1次
作文 で は説 明 した い事 柄 につ い て 、思 いつ くま ま に書 い てい るだ けの生 徒 が、第2次
作文 で は 「序論 。本 論 。結 論 」 の構 成 で分 か りや す く書 き直 して い る生徒 も見 られ た。③表現
表現の項 目に関 しても、有意な差が見られた
(表2‑7)。
表
2‑7 t検
定 の結果 (表現)1次作 文
2次
作 文t検
定 平 均1.00 1.54 N=26
SD O.28 0.51 t(25)=4.719**
*P<.05 **P<.01
生 徒 は教 材 文 の 工 夫 点 を取 り入 れ る こ とに よ り、 よ り分 か りや す い表 現 に書 き直 して い た。 主 な特 徴 は以 下 の
3点
で あ る。・ 具 体 的 な言 葉 や 数 字 を使 う
。適切 な接 続 語 を使 う
・読者への呼びかけを行つている
④表記
表記の項 目に関 しては、有意な差が見 られなかった
(表2‑8)。
表
2‑8 t検
定 の結果 (表記)1次 作 文
2次
作 文t検
定平 均
1.00 1.04 N=26
SD O.81 0.46 t(25)=0.328 ns
*P<.05 **P<.01
有意 な差 が見 られ な か つた理 由 と して、第
1次
作 文 にお け る表 記 の間違 い を 正 してい る もの の 、第2次
作文 で は生徒 が教材 文 の工夫 点 を取 り入 れ て 、初 め か ら文章 を書 き直 して い るた め、第1次
作文 とは別 の箇 所 にお い て 間違 ってい るか らで あ る。ii 第
2次
作 文 か ら最 終作 文 にか けて第
2次
作文 と最 終 作文 の結 果 に関 して、項 目ご とに見 てい く (表2‑9)。
そ れ ぞれ の項 目に対 して対応 の あ るt検
定 を行 つた。 なお 、有意 な差 が見 られ た 表記 の項 目のみ詳 しく見 て い く。 他 の項 目に関 して は、有 意 な傾 向が見 られ た が、顕著 な変化 は ない。表
2‑9 t検
定の結果 (第2次
作文から最終作文にかけて) 内容2次作 文
最 終 作 文
t検
定平 均
1.33 1.48 N=27
SD O.62 0.57 t(26)=2.726*
*P<.05 **P<.01
構 成
2次作文
最終作文
t検
定 平 均1.37 148 N=27
SD O.69 0.57 t(26)=2.126*
*P<.05 *キP<.01
表 現
2次作 文
最 終 作 文
t検
定 平 均1.52 1.74 N=27
SD O.51 0.45 t(26)=2.726*
ホ
P<.05 **P<.01
第 Ⅱ章
実践授業 I
表 記
2次作 文
最 終 作 文 t検定
N=27
t(26)=4.507*ホ
*P<.05 **P<.01
最 終作文 で は表 記 の 間違 い に気 づ く生徒 が多 か った。 最 終 作文 にお い て表記 の間違 いが無 か つた生徒 は
33名
中22名
お り、1つ
だ け間違 いが あ る生徒 は32 名 中7名
、2つ
以 上 間違 えてい る生徒 は4人
で あ つた。 第2次
作文 と最終作文 が揃 つてい る27名
の うち、推 敲活動 を とお して、表記 の評価 が上 が った生徒 は18名
で あつた。 これ らの生徒 は推 敲活 動 を とお して表記 面 の間違 い に気 づ き、よ り分 か りや す い文 章 に書 き直す こ とが で きた。 評価 が 上 が った生徒 は以 下 の よ うな書 き直 しを行 つてい た。
・誤字脱字 を訂正す る
。ひ らがなを漢字 に直す
。一字下げる
。句読点 を適切 につ ける
一方 、
2つ
以 上 間違 えて い る4名
の 中には、第1次
作 文 か らず っ と同 じ表記 の間違 い を してい る生徒 もお り、 自分 で読み返す だ けで は間違 い に気 づ くこ と がで きないのだ ろ う。(3)作
文の 変容 【個 別 】次 に、教材 文 の 工夫 点 の活 用 、推 敲活動 を とお して、 生徒 の作 文 が どの よ う に変化 したのか を、以 下の
2つ
のカテ ゴ リー に分 けて個別 で見てい く。①教材文の工夫点の活用が有効であった例
②教材文の工夫点の活用、推敲活動が有効であつた例 まずは教材文の工夫点の活用が有効であった例を見ていく。
①教材文の工夫点の活用が有効であつた例
S‑14の 作文の変容を見ていく。まず初めに、 S‑14が 書いた第 1次 作文を次 頁に提示する。
平 均
SD
1.07 0.68
1.55 0.71