本研究で提案するインダクタンスマップの特徴について述べる。その上で配線構造 とインダクタンス値の関係性を定量的に明確化可能であることを示す。
5.2.1 1 本のバスバー配線の自己インダクタンス
本研究ではバスバー配線の断面形状は厚さh = 1 mm,幅w = 100 mmとし,バ スバー配線の長さℓを0 ∼ 400 mmまで変化させ各点におけるインダクタンスを計算 しマップ化した。図5.16,図5.17に1本のバスバー配線の自己インダクタンスLAの 計算結果を示す。図5.16では横軸はバスバー配線の長さℓ,縦軸はバスバー配線の自 己インダクタンスLAであり,図 5.17では横軸にバスバー配線の長さℓ,縦軸は間隔 dであり,25 nH毎に等インダクタンス線を抽出した。ここで文献[43]では(5.26)式 よりバスバー配線の長さに起因する内部インダクタンスの計算も行っているが,文献 [94]より幅の広いバスバー配線ではその内部インダクタンスは無視できることが明記 されている。そこで本研究では分割後の円柱導体の自己インダクタンスはその内部イ ンダクタンスと外部インダクタンスにより計算するが,バスバー配線の長さに起因す る内部インダクタンスは考慮しない。
図5.16より1本のバスバー配線の自己インダクタンスLA はバスバー配線の長さℓ
0 100 200 300 400 0
50 100 150 200
Inductance[nH]
Bus bar length ℓ [mm]
図5.16 1本のバスバー配線の自己インダクタンス
0 100 200 300 400
0 10 20 30 40
50 25 nH
50 nH 75 nH
100 nH 125 nH
150 nH 175 nH
200 nH
Busbardistanced[mm]
Bus bar length ℓ [mm]
図5.17 1本のバスバー配線の自己インダクタンスマップ
が長いほど大きくなり,図5.17より間隔dには依存しないことがわかる。LAの最大 値はマップ内で最も長いバスバー配線ℓ = 400 mmの時,204 nHとなる。
0 100 200 300 400 0
10 20 30 40
50 25 nH 50 nH 75 nH 100 nH
125 nH
150 nH
175 nH
Busbardistanced[mm]
Bus bar length ℓ [mm]
図5.18 ラミネートバスバー配線構造の相互インダクタンスマップ
5.2.2 ラミネートバスバー配線構造の寄生インダクタンス
図5.18に図 5.3(a)のラミネートバスバー配線構造の相互インダクタンスMA,B を
計算した結果を示す。MA,BはLAと同様にバスバー配線の断面形状を固定すると,バ スバー配線の長さℓと間隔dがパラメータとなる。バスバー配線の長さℓは0 ∼ 400
mm,間隔d は0 ∼ 50 mmまで計算を行い,各点における計算値をマップ化し,25
nH毎に等インダクタンス線を抽出した。図5.18 のインダクタンスマップは20,000 通りの構造について計算を行い,計算時間は180 分である。
バスバー配線の長さℓが一定であっても2本の間隔dが離れているほど相互インダ クタンス値が小さくなるが,自己インダクタンスと同様にバスバー配線の長さに依存 して大きな値となる。MA,Bの最大値はd ≈ 0 mm,ℓ = 400 mmのとき202 nHと なる。
図5.19はラミネートバスバー配線構造の寄生インダクタンスマップを示す。本マッ プは図5.17の1本のバスバー配線の自己インダクタンスLAと図5.18のラミネート バスバー配線構造の相互インダクタンスMA,Bから,(5.17)式を用いて算出した。ラ ミネートバスバー配線構造は間隔dが近い場合,自己インダクタンスと相互インダク タンスがほぼ同等の値となり配線の寄生インダクタンス を低減することができ
0 100 200 300 400 0
10 20 30 40
50 25 nH 50 nH 75 nH 100 nH 125 nH
Busbardistanced[mm]
Bus bar length ℓ [mm]
図5.19 ラミネートバスバー配線構造の寄生インダクタンスマップ
る。例えば,d ≈ 0 mm,ℓ = 400 mmのとき4 nHとなる。
5.2.3 平行線路構造の寄生インダクタンス
図 5.20に図5.3(b)の平行線路構造の相互インダクタンスを計算した結果を示す。
バスバーの断面形状や各パラメータの変動範囲はラミネートバスバー配線構造と同様 である。
間隔dが離れているときにはラミネートバスバー配線構造と同様に相互インダクタ ンス値は小さな値となるが,間隔dが近いときにおいてもラミネートバスバー配線構 造に比べて小さい。これは(5.7),(5.8)式内の導体間(図 5.3(b)の1-n’)の相互イン ダクタンス値が小さくなるためである。MA,B の最大値はd ≈ 0 mm,ℓ = 400 mm
のとき136 nHとなるため,ラミネートバスバー配線構造に比べて配線の寄生インダ
クタンスLbusは大きくなる。
図5.21は平行線路構造の寄生インダクタンスマップを示す。本マップは図5.17の 1本のバスバー配線の自己インダクタンスLA と図5.20の平行線路構造の相互イン ダクタンスMA,Bから,(5.17)式を用いて算出した。平行線路構造はラミネートバス バー配線構造に比べて相互インダクタンスが小さいため,配線の寄生インダクタンス Lbusは大きくなる。例えば,d ≈ 0 mm,ℓ = 400 mmのとき136 nHとなる。
0 100 200 300 400 0
10 20 30 40
50 25 nH 50 nH 75 nH
100 nH
125 nH
Busbardistanced[mm]
Bus bar length ℓ [mm]
図5.20 平行線路構造の相互インダクタンスマップ
0 100 200 300 400
0 10 20 30 40
50 25 nH
50 nH 75 nH
100 nH 125 nH
150 nH 175 nH
200 nH
Busbardistanced[mm]
Bus bar length ℓ [mm]
図5.21 平行線路構造の寄生インダクタンスマップ